寒冷馴化による褐色脂肪組織 (BAT) の増大を細胞増殖の面から検討した.常温 (WA, 25℃) と低温 (CA, 5℃) 環境下において4週間飼育したラットより, 血漿および肩甲骨間から採取したBATの抽出液を調製し,
in vitroでラット褐色脂肪細胞の増殖と血管新生に対する効果を検索した.寒冷馴化によりBATは著明に増大したが, WA, CAラットいずれの抽出液も,
in vitro褐色脂肪細胞とウシ血管内皮細胞の増殖を促進し, 両群間に差はみられなかった.一方, CAラット血漿はWAラット血漿に比べて
in vitroで各細胞の増殖を強く促進したばかりでなく, 血管新生に対しても高い効果を示した.以上の結果より, 寒冷馴化によるBATの増大は血漿中の液性因子により強く影響を受けると共に, 血管新生と密接な関係があることが示唆された.
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