日本生気象学会雑誌
Online ISSN : 1347-7617
Print ISSN : 0389-1313
ISSN-L : 0389-1313
30 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 相原 まり子, 入來 正躬
    1993 年 30 巻 4 号 p. 159-168
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    I.腋窩温について検討した.腋窩温10分値の平均値と標準偏差は, 36.67±0.36℃ (n=827) であった.左右差は認められなかった.しかし腋窩には温度勾配があり, 閉鎖30分後においても, 部位による有意差が認められた.個人差も大きかった.従って, 点として測定した値は再現性に乏しく, 平均的な温度を測定しうる水銀体温計のような体温計で測定することが必要と考えられる.II.口腔温について検討した.口腔温5分値の平均値と標準偏差は, 36.96±0.28℃ (n=242) であった.口腔内にも温度勾配が存在し, 舌下に最高温部があった.舌下であれば左側, 中央, 右側で有意差はなく, この部での測定が, 望まれる.III.口腔検温と腋窩検温を比較した.口腔温の方が腋窩温より有意に高かった.口腟の血流量は腋窩の血流量より有意に多かったことから, 口腔温の方が腋窩温より, 腔閉鎖後早く平衡に達することが説明できる.
    腋窩温, 口腔温とも正しく測定すれば, 核心温の指標として用いることができるが, 口腔温の方が短時間で測定できる点で優れている.
  • ―日本における21年間の観察―
    中井 誠一
    1993 年 30 巻 4 号 p. 169-177
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    日本における1970年から1990年までの熱中症死亡数と気象条件の関係を検討した.熱中症死亡数は21年間で1, 450件であり, 年平均にすると69件 (26件から155件の範囲) であった.熱中症死亡数1, 450件のうち65歳以上の年齢の占める割合は41.4%, 25歳から64歳までは37.2%であった.東京および大阪管区気象台の資料から熱帯夜 (日最低温度が25℃以上の日) 真夏日 (日最高温度が30℃以上の日) の日数を調査した.その結果年間熱中症死亡数と熱帯夜および真夏日の年間発生数との間に有意な相関関係が認められた.
  • 森谷 〓, 堀内 雅弘, 中川 功哉
    1993 年 30 巻 4 号 p. 179-186
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    青年女子の手指寒冷血管反応 (CIVD) と最大酸素摂取量 (VO2max) が, 性周期の卵胞期 (F相) と黄体期 (L相) で変化するのか否か, さらにCIVDとVO2maxの関係においてはどうかを明らかにする目的で, 本実験を行なった.その結果, 被験者全員で, F相とL相のCIVDとVO2max/kg体重に違いが認められ, F相とL相で変化することが示唆された.しかし平均値でみるとF相とL相の差に有意性はなく, F相とL相に分けて検討したCIVDとVO2max/kg体重の間に有意な相関を認めなかった.しかし, CIVDのL相とF相の差 (△CIVD, LF) とVO2max/kg体重のL相とF相の差 (△VO2max/kg体重, LF) の間に, 有意な正の相関が認められた.本結果から, CIVDとVO2max/kg体重に共通に影響する因子の存在が示唆される.一方体脂肪率 (%BF) はCIVDと相関を示さず, 両指標のL相とF相の差の間にも有意相関を認めなかった.
  • 西村 和久, 平田 耕造, 白水 智子, 竹森 利和
    1993 年 30 巻 4 号 p. 187-196
    発行日: 1993/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    体脂肪率の違いにより体幹部と末梢部の皮膚温挙動が異なるか否かを検討するために, 16名の被験者を体脂肪率により2群 (L群: 10.7±0.6%, O群: 19, 4±6.3%) に分類し, 環境温22, 28, 34℃に90分間暴露中の皮膚温, 皮膚血流量, 体重減少量, 温冷感を測定した.その結果, 体幹部の皮膚温は環境温22, 28, 34℃においてL群に比較してO群の方が有意に低かった.また, 手部皮膚温は環境温22, 28℃においてL群に比較してO群の方が有意に高く, 足部皮膚温は環境温28℃においてL群に比較してO群の方が有意に高かった.体脂肪率の増加とともに体幹部の皮膚温は低くなり, 逆に末梢部の皮膚温は高くなることが認められた.これらの結果から, 皮下脂肪により物理的に抑制された体幹部からの熱放散量は, 末梢部からの熱放散量を生理学的な血流調節反応により促進することで, 全身の熱バランスを維持していることが示唆された.
feedback
Top