日本生気象学会雑誌
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32 巻, 2 号
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  • 大野 都美恵, 小河 幸次, 大日向 浩, 黒島 晨汎
    1995 年 32 巻 2 号 p. 83-91
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    褐色脂肪紐織 (BAT) の脂肪酸 (FA) 組成の寒冷馴化による変化がBATの調節因子であるノルアドレナリン (NA) およびグルカゴン (G) の慢性投与によって再現できるかをラット肩甲骨問BATで検討した.1.NA, Gの投与はともに体重の増加を抑制したが, BATの重量, DNA含有量を増加させた.NA投与はトリグリセリド (TG) をBAT100mg当たりで低下させた.リン脂質 (PL) はBAT当たりでは増加したが, BAT100mg当たりでは変化しなかった.G投与はBAT当りのTGのみを増加させた.2.TGのFA組成: NAは単不飽和FAを低下させ, 多不飽和FA (PU) を増加させた.GはPUを低下させ, 飽和FA (SA) を増加させた.3.PLのFA組成: NAはMU, アラキドン酸指数を低下させ, PUを増加させた.GはSA, MU, PUを変化させなかった.
    これらの結果は, NA, G単独では寒冷馴化による変化をシミュレートできないこと, 複数因子の関与が必要なことを示している.
  • 岡本 和人, 谷本 信
    1995 年 32 巻 2 号 p. 93-101
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/12/10
    ジャーナル フリー
    温室効果は成層圏を寒冷化させ, 成層圏オゾン破壊に影響する.オゾン破壊には2種類ある.その一つでは関与する物質は皆気相であり, 反応は均一化学に属し低温では抑制される.もう一つでは関与する物質は異なる相であり, 反応は不均一化学に属する.その温度依存性は複雑だが, PSC (極成層圏雲) によって引き起こされるタイプでは成層圏寒冷化はPSC生成率を高めオゾン破壊を促進する.オゾン破壊への温室効果の最終的な影響は明らかでないが多分促進するであろう.最近のオゾン減少のデータからその結果起きる紫外線増加による皮膚癌の増加を1970~2000の間について評価した.紫外線はまた免疫能力の減少またはエイズウイルスの直接活性化を通じエイズを増加する可能性がある.これを調べるため疫学的研究を行ったところ, エイズ発生率は低緯度が高く同程度の緯度では白人国の方が非白人国より高いことが分かり, エイズ発生が紫外線で促進される可能性が示唆された.とすると将来予想される紫外線の増加が全世界的なエイズ増加を引き起こすかも知れない.
  • 都築 和代, 大中 忠勝, 栃原 裕, 加藤 佐枝子
    1995 年 32 巻 2 号 p. 103-109
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    本研究は母親と子供が同じ環境に居るときの温熱快適性と母子の温熱反応について明らかにすることを目的としている.13人の母親 (25~39歳) とその子供達 (9ケ月~4歳半) がこの実験の被験者になった.実験室は最初25℃に設定されていたが, 室内から0.4℃/分の速さで室温の上昇, 下降が可能である.温熱快適性が得られるように, 温度を上昇させるか低下させるかは, 母親自身がスイッチ操作をすることによってコントロールされた.また, 実験中, 平均皮膚温と直腸温が連続的に計測された.本研究で母親によって決定されたいくつかの温度データが, Ohnaka et al. (1993) で得られた青年女子のデータと比較され, 選択温度には有意な差を認められなかったが, 母親が決定した最高温度は有意に低く, 最低温度が有意に高く決定されたことが明らかになった.これらの結果は, 母親により決定された選択温度が狭い温度範囲でコントロールされていたことを示唆している.最高温度および最低温度時点での平均皮膚温と直腸温に関しては, 母子間に有意な差を認めなかった.しかしながら, 周囲気温の変化に対しては, 母親よりも子供の平均皮膚温の方がより速い反応を示しており, このことは温熱中性域においても周囲温熱環境に対する子供の体温調節反応は影響を受け易いことを示唆している.
  • 田村 憲治, 小野 雅司, 安藤 満, 村上 正孝
    1995 年 32 巻 2 号 p. 111-114
    発行日: 1995/08/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    気温上昇と熱中症の発生との関係を, 東京都の救急搬送者数で検討した.1993年と1994年の7月, 8月の救急活動記録データベースから, 傷病名の記載された130, 560人を対象とした.このうち熱中症のケースは386人であった.東京の気温と熱中症の搬送者数には, 一定温度以上では明らかな正の相関関係があった.また気温と搬送者総数との間にも, 弱いが有意な相関関係が認められた.1℃間隔でまとめた, 気温と1日当たり平均搬送者数との関係から, 平均気温では24℃以上, 最高気温では27℃以上で, 熱中症搬送者数が指数的に増加する傾向が示された.
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