日本生気象学会雑誌
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32 巻, 4 号
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  • 森谷 〓, 新田 裕子
    1995 年 32 巻 4 号 p. 125-134
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    近年, 植物によって産生される様々な芳香物質の生理作用が, 脳波, 自律神経機能などから, また心理的効果もCNVや質問紙などから科学的に検討されるようになってきたが, 香り成分の種類と濃度に対応し, 人間の性別・年齢・好み・健康状態などを考慮した体系的な検討は, 未だ充分とはいえない状況である.われわれは「花の芳香, フローラル」と「森林の芳香, ウッディ」という化学的に合成された2種類の香りをそれぞれ気化させた人工気候室内で, 脳波・呼吸・皮膚温・自律神経機能の生理指標を主にして, 心理指標も測定・評価し, 芳香療法の基礎的研究を行ったところ, 香りフローラルと香りウッディがともに, リラックス効果をもつことが示唆された.この効果は女性で男性より顕著であったが, 個人によって反応パターンに大きな違いが観察された.
  • 村田 高明, 大川 渡, 佐藤 広隆, 萬 秀憲
    1995 年 32 巻 4 号 p. 135-141
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    「冷え性」の人に対するイチョウ緑葉エキス配合人工炭酸ガス浴剤の有用性について検討した.冷え性男性のイチョウ緑葉エキス配合人工炭酸ガス浴剤 (以下被験浴剤) 浴後 (40℃5分間) のサーモグラフィーによる皮膚表面温度については, 人工炭酸ガス浴剤 (以下対照浴剤) に比較して経時的な低下が小さい傾向が認められた.冷え性の女性 (41名) を対象にした被験浴剤10日間の使用では, 浴中の温まり感, 浴後の温まりの持続性, 冷えに対する高い効果が示唆された.また, 被験浴剤浴と対照浴剤の各5日間ずつの比較使用では, 被験浴剤浴の方が対照浴剤浴よりも浴中の温まり感, 浴後の温まりの持続性に優れていた.また, 冷え性に対する効果の比較でも, 被験浴剤浴の方が効果あると感じた人39%, 対照浴剤浴の方が効果あると感じた人23%であり, 被験浴剤浴の方が対照浴剤浴よりも優れていた.通常の投薬で難治の女性冷え性患者 (16名) に対する被験浴剤の4週間の使用では, 有意の冷え症状と冷えによる痛みの緩和が認められた.また, 有用性の判定では, 有用31%, やや有用69%であり, その効果に併用薬の有無による差はなく, 副作用も認められなかった.被験浴剤は, 冷え性に対して, 副作用もなく簡便に行える補助療法として有用であると思われる.
  • ―長野市を中心とした一戸建住宅の場合―
    加藤 友也, 山岸 明浩, 山下 恭弘
    1995 年 32 巻 4 号 p. 143-150
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    本論文では, 長野市を中心とした一戸建住宅の資料を基に, 窓面積の特徴, 住宅全体の断熱性能に窓が与える影響および室内温熱環境と窓仕様の関係を示すことを目的としている.調査測定は, 居間を中心とした室内温熱環境測定, 図面から算出した床, 窓, 壁などの面積の整理を行った.対象住宅は, 長野市を中心とした地域に立地する70棟の一戸建住宅であった.結果より, ペアガラス使用の住宅ほど住宅全体の窓面積率の平均値, 標準偏差が小さくなる傾向が認められた.しかし, 居間の窓面積率では, 明確な差は現れなかった.窓種類による居間の明け方室内外温度差, 団らん時の上下温度差係数に差が認められ, ペアガラス使用の住宅ではシングルガラス使用の住宅に比べ, 明け方の外気温最低時の室内外温度差が大きくなった.また, ペアガラス使用の住宅では団らん時に室内外温度差が20℃の時, 上下温度差が3℃程度に抑えられることが示された.
  • 林 千穂, 登倉 尋実
    1995 年 32 巻 4 号 p. 151-157
    発行日: 1995/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    手袋の素材の違いが, 主として手袋内温湿度に及ぼす影響を検討するため実験を行った.用いた手袋は, ポリウレタン製 (A) とAの手袋の前腕部のみ高透湿防水布を用いた, 手袋 (B) とした.被験者は7名で, 自転車エルゴメーターによる運動を行い, 手袋内外の温湿度, 直腸温, 皮膚温, および実験前後の衣服重量変化から衣服付着汗量を算出した.得られた結果は, 以下のとおりである.1) 手袋内の絶対湿度は, Bの方がAより有意に低い値を示したのに対し, 手袋外はBの方がAより有意に高い値を示した.また手袋内外の絶対湿度差はBの方が顕著に小さかった.2) 手袋内と手袋外の衣内温度は共にBの方がAより有意に低い値を示した.3) 手袋への付着汗量は, Bの方がAより有意に低い値を示した.4) 前腕皮膚温は, Bの方がAより有意に低い値を示した.今回の実験結果から, 暑熱環境下における防除衣着用時の手袋内の温湿度の改善には, 手袋の素材が大きく関与する事が示唆された.
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