「冷え性」の人に対するイチョウ緑葉エキス配合人工炭酸ガス浴剤の有用性について検討した.冷え性男性のイチョウ緑葉エキス配合人工炭酸ガス浴剤 (以下被験浴剤) 浴後 (40℃5分間) のサーモグラフィーによる皮膚表面温度については, 人工炭酸ガス浴剤 (以下対照浴剤) に比較して経時的な低下が小さい傾向が認められた.冷え性の女性 (41名) を対象にした被験浴剤10日間の使用では, 浴中の温まり感, 浴後の温まりの持続性, 冷えに対する高い効果が示唆された.また, 被験浴剤浴と対照浴剤の各5日間ずつの比較使用では, 被験浴剤浴の方が対照浴剤浴よりも浴中の温まり感, 浴後の温まりの持続性に優れていた.また, 冷え性に対する効果の比較でも, 被験浴剤浴の方が効果あると感じた人39%, 対照浴剤浴の方が効果あると感じた人23%であり, 被験浴剤浴の方が対照浴剤浴よりも優れていた.通常の投薬で難治の女性冷え性患者 (16名) に対する被験浴剤の4週間の使用では, 有意の冷え症状と冷えによる痛みの緩和が認められた.また, 有用性の判定では, 有用31%, やや有用69%であり, その効果に併用薬の有無による差はなく, 副作用も認められなかった.被験浴剤は, 冷え性に対して, 副作用もなく簡便に行える補助療法として有用であると思われる.
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