日本生気象学会雑誌
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33 巻, 1 号
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  • 高田 裕之
    1996 年 33 巻 1 号 p. 7-9
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
  • 堀 清記
    1996 年 33 巻 1 号 p. 11-13
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    生物は必要な物質を外界から取り込み, これらの物質を用い, 代謝産物を外界に排泄する.生物が異なる環境条件に曝露されるとき, 生体内に生じる変化を減少させるために生理的反応の変化が生じる.異なる環境条件に頻回に曝露された後には, 生理的反応の適応的変化が現われ, 体内に生じる変化の大きさは減少する.最近は, 環境生理に関するほとんどの研究は人工気候室 (または実験室) 内で行われ, そのためフィールドワークの研究数は減少している.人工気候室内で行われる実験では, 生体に及ぼす環境条件の変化の効果は通常2, 3の因子を変化させて観察される.気候に含まれる多くの因子が, 変化するので, 生体に及ぼす気候の変化の真の影響は人工気候室内で行われた研究結果から推定できない.最近の科学と技術の進歩により家屋内の温度環境は快適な状態に維持されている.ヒトの適応能は, 家屋または仕事場における快適環境下で生活することにより低下してきている.ヒトの適応に関する研究のためにフィールドワークの研究が必要である.
  • ―第34次南極地域観測隊医学研究より―
    前田 倫, 堀内 修三
    1996 年 33 巻 1 号 p. 15-17
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    第34次南極観測越冬隊において1) ヒトの暗夜期の概日リズムの変化, 2) 寒冷地高所における呼吸循環生理について調べた. 1) については, 暗夜期に不眠, 睡眠相遅延症候群の傾向が認められたものの, 同調因子として社会的因子が強いことが示唆された. 2) については, 緩徐な高度上昇に対して生体の順応も緩徐に起こっていることが判った.極寒冷地高所に特異的な現象は認められなかった.
  • ―南極における心理テストならびに行動観察の実施―
    田中 正文
    1996 年 33 巻 1 号 p. 19-24
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    南極越冬という一種の閉鎖・隔離環境の中で生活する日本南極地域観測隊隊員の行動や心理状態を合計12種類の心理質問紙の実施, ならびに直接観察によって調査した.質問紙の内7種類は, PPP (Polar Psychology Project) として, 南極に越冬基地を持つ他の4力国でも実施され, 社会・文化の差による越冬中の行動特性への影響についても検討した.日本の観測隊においては, 質問紙に対してかなりの障壁を示し, 結果として「建前式」の回答が多く見られた.また集団内における行動特性として, かなり早い時期から小集団形成が観察された.今回, PPPの基に採択, 使用された各質問紙は本来カナダの北極圏での越冬生活者選択時に使用されたものであり, 南極での越冬中という場面での行動特性を測定するのに果たして妥当であったのかどうかさらなる検討が必要であるだろう.
  • 白木 啓三
    1996 年 33 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    アマの潜水パターンを二つに分類することができる.おもりや縄の補助をうけながら潜水, 浮上を行うのがフナドであり, 他はカチドであって, このような補助道具は使用しない.コンピューターに連動したデーターロガーをアマに装着して潜水深度, 脈拍, 皮膚温度を日常潜水活動中終日モニターした.ウエットスーツの普及により低体温の危険は取り除かれ, 平均1日の潜水回数は100回以上になる.しかし1日の総潜水時間は場所によって異なるが4時間で, これは午前と午後とに分けられ, 連続して長時間の潜水を繰り返さない.これが減圧症の予防に役立っていると考えられる.降下速度はフナドでは1.3-1.5m/秒であるのに対しカチドでは平均0.8m/秒である.フナドでは潜水深度は15-20mに達する.実験室での息こらえや, 潜水ではかならず徐脈が観察されるアマにおいても実際の潜水作業では個人差があり必ずしも全員に徐脈が見られるとは限らない.
  • 田中 正敏
    1996 年 33 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    寒冷に関するフィールドには, 冬季の林業や漁業などの産業活動, スキー, スケートなどレジャーやスポーツなどの自然の寒冷条件から, 近年には冷蔵倉庫や人工スキー場などの人工的寒冷環境がみられ, 今後これらの数は増加するものと考えられる.これらのフィールドは人々の寒暑適応の観点からも生気象学にとって興味ある問題である.
    寒冷地に関するフィールドワークには, 目的や対象により方法や評価が異なる.野外での調査, 研究には測定機器や気象条件などにより制限をうける場合が多い.また寒冷地で生活する人々を調査する場合には, その時点での横断的計測のみならず縦断的な調査, 研究も大切である.
  • 中村 泰人
    1996 年 33 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    世界の代表的な室内の空調設計法では人の季節順化を考慮していない.しかし, 英国系の国や日本を中心にして数多く行われてきた至適温度に関するフィールドワークのなかから, 実例をひくことによって, 事務所・学校では季節川頁化が表れていないが, 住宅ではそれが表れており, 夏と冬で至適温度にして4K以上の差があることを示した.ついで, 小型のデータロガーとサーミスターを用いて, 耳内温, 皮膚温, 環境温を実生活の1日24時間にわたって測定を行い, 結果を示した.それによって, 季節順化の有無を調べるためのフィールドワークとしてその方法が有効であることを示唆した.
  • 土谷 彰男, 三船 崇, 福岡 義隆
    1996 年 33 巻 1 号 p. 41-53
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    樹木の場合, 年々の肥大生長量は年輪幅として記録される.本研究では, 津山・浜田・呉の3地点で採取した樹木サンプルの1960年―1993年の年輪クロノロジーを気象データ・大気汚染濃度データと対比し, 環境ストレスの影響を評価した.同一地点内において生長パターンの類似する個体を抽出し, その時系列を3地点間で比較すると, 生育トレンドの共通する特異年が確認され, その年の気象データにも平年と異なる傾向が検出された.1980年と93年は日本全国で記録的な日照不足と多雨に見舞われ, 両年の年輪幅が一様に抑制されていることから, 気候ストレスが樹木の肥大生長を抑制したと推定された.同様の傾向は1978年夏の乾燥年にも現われ, 長期間の水ストレスも維管束形成層の活動を阻害すると推察された.さらにこれらの気候ストレスは伸長生長を加味した幹材積の推定値にも現われ, 夏の気候が地上部の増加量も規定していることが判明した.また, 呉のサンプルの長期トレンドには大気汚染濃度との問に逆相関がみられ, 1970年代までの生長パターンと80年代以後のパターンの変化にSO2, NO2濃度の長期変化が関与していることが示唆された.これらの事象は林分そのものの持つ要因以外の環境によるものであり, 極端な環境ストレスが樹木の生育をコントロールすることを実証する根拠となる.
  • 入來 正躬
    1996 年 33 巻 1 号 p. 55-61
    発行日: 1996/04/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    酷暑といわれた1995年7月, 8月に山梨県で発生した熱中症の症例について, 山梨県医師会会員へのアンケート調査結果及び救急搬送データを用いて解析した.アンケート調査では発送490名, 回答66名, うち25名より27症例が報告された.救急搬送データでは34症例が報告されている.うち5例は両者でとり上げられていた.発症は, 27例中23例が晴天下での戸外の作業中又は運動中であった.環境温約30℃をこえると発症がみられ, 35℃をこえると発症数の著しい増加がみられた.発症は気温が急に上昇した日に最も多かったが, 気温の上昇が持続している間は発症がみられた.高齢者の症例は, 成人に比べやや多い傾向があった.ただ室内で発症した4例中3例は高齢者であった.高齢者の生活状態, 経済状態に特徴的な点は見当たらなかった.体内温 (直腸温または腋窩温) が40℃以上の症例4例中3例が死亡した.体内温40℃以下での死亡例はなかった.体内温40℃以下の症例では著しい発汗が, 40℃以上では意識障害や錯乱が特徴的にみられた.治療として輸液と体冷却 (体表冷却, 冷却点滴, 冷却胃洗浄など) 及び薬剤投与が行われて効果がみられていた.
  • 1996 年 33 巻 1 号 p. 65
    発行日: 1996年
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
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