日本生気象学会雑誌
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34 巻, 4 号
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  • 藏澄 美仁, 大和 義昭, 山本 志津恵, 松原 斎樹
    1997 年 34 巻 4 号 p. 101-112
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    日本人の生活実態に則した熱環境評価を進めるための平均皮膚温算出法として, 姿勢別に平均皮膚温算出用の重み係数が定義された.居住空間におけるくつろぎ時間の姿勢として立位と椅座位, 正座位, 胡座位, 立て膝位, 投げ足位, 側臥位の各姿勢が選定され, 人体と床面との接触部位と接触面積が実測により明確にされた.頭部と躯幹部, 腕部, 手部, 大腿部, 下腿部, 足部の各区分毎の接触面積比には体型・体格による大きな相違は認められなかった.
  • ―人体腹側面上半身と下半身の冷却効果の比較―
    緑川 知子, 坂本 千鶴, 周防 五月, 登倉 尋実
    1997 年 34 巻 4 号 p. 113-120
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    体温調節反応に対する部分的冷却効果を調べるために実験を行った.アンダーパンツとテニスパンツのみを着用した被験者が, 環境温・壁温 (天井温を含む) とも33℃の人工気候室において, 熱平衡に達した後30分経過後, 被験者の腹側面前方50cmの壁面の温度のみを10℃に10分間で下降させた.彼らはさらに30分間, 寒冷壁面から次の3通りの方法で腹側面を冷却された.1) 上半身と下半身の腹側面全体が冷却される場合 (W) .2) 上半身のみ放射冷却の影響が及ぶ場合 (U) .3) 下半身のみが放射冷却される場合 (L) .得られた主な結果は次の通りである.1) 前額部の皮膚温がWとUの方がLよりも低くなった (前額部W: 34.92±0.22℃, U: 35.04±0.15℃, L: 35.95±0.22℃) .2) 鼓膜温低下 (W: -0.11±0.02℃, U: -0.04±0.02℃, L: -0.00±0.02℃) がWとUの方が大きくなり, その結果発汗量減少量 (W: 58%, U: 48%, L: 17%) がWとUの方が大きくなった.3) より涼しい温冷感, より好い快適感がWとUにおいて得られた.これらの事実は, 上半身の方が下半身よりも温熱負荷を減少させるのに役割が大きいことを示唆している.
  • 三上 春夫
    1997 年 34 巻 4 号 p. 121-129
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    第29次南極地域観測隊の越冬期間中に, 昭和基地および内陸旅行において, 観測隊員の協力を得て寒冷曝露実験を行い, 寒冷負荷により誘発される寒冷利尿のデータを収集した.30分間の短期寒冷曝露では, 尿量・尿中Na+排泄量・尿中K+排泄量ともに増加した.また尿量及び尿中電解質排泄量の日内変動を昭和基地と内陸旅行で比較した結果, 内陸旅行で寒冷負荷による日内変動パターンの変化を認めた.帰国後, 冷凍室を用い短期寒冷曝露実験を行って寒冷利尿を再現し, 血中カテコラミン (アドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミン) とその他のホルモン (レニン活性・アルドステロン・抗利尿ホルモン・心房利尿ペプチド) の測定を行った.その結果, 複数のカテコラミン等のホルモンが連動して末梢循環を減少させ, その過程が寒冷利尿として観察されると考えられた.また短期寒冷曝露試験が耐寒能力を定量的に評価する指標となりうることを指摘した.
  • 宮島 成江, 森谷 〓, 阿岸 祐幸
    1997 年 34 巻 4 号 p. 131-138
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    湯温37-39℃の入浴 (微温浴) とラベンダー精油の経鼻腔吸入はそれぞれ鎮静作用を持つことが確かめられてきている.しかし, ラベンダー湯入浴 (ラベンダー精油の混入された微温浴) のリラクセーション効果に関しては, 実証的な研究がなされていなかったので, 本研究で, 青年男女を対象とし, 39℃, 15分間のラベンダー湯入浴中及び出浴後の変化を, 同じ温度と時間の対照湯入浴における変化と比較し, 検討した.2入浴条件の差は特に出浴後に認められた.出浴後, ラベンダー湯入浴では対照湯入浴に比べて, 男性の心拍数が有意に低下し, 女性の心電図R-R間隔変動係数 (CVR-R) 並びにNowlisの質問紙を基にして評価した快適性の気分が高まり, リラックスした状態にあったことが示された.
  • 宮島 成江, 森谷 〓, 阿岸 祐幸
    1997 年 34 巻 4 号 p. 139-146
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/10/13
    ジャーナル フリー
    本研究では, 青年男女を対象とし, 39℃, 15分間のラベンダー精油を混入した微温浴 (ラベンダー湯入浴) のリラクセーション効果をラベンダー精油の入らない対照湯入浴との比較で検討した.ラベンダー湯入浴は, 対照湯入浴に比べて, 入浴中は女性で, 出浴後は男女で平均皮膚温を高く保持する効果が見られた.指尖部皮膚温にはラベンダー湯入浴の有意な影響は殆ど認められなかった.このことから, ラベンダー湯入浴は交感神経の緊張を一層低下させることによって末梢血管の拡張, 皮膚血流の増大を生じ, 皮膚温の上昇をもたらしたものと示唆された.入浴中にラベンダー精油を用いることは有用なリラクセーション法であることが示唆された.
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