百歳長寿者は健康に生き抜いて来た“健康エリート”と評価されてよい.本調査は人間を健やかに育てる居住環境とは何かについて, 厚生省による「全国高齢者名簿」により, その居住分布状況を地図にプロットし, 海岸, 森林, 山岳などの居住や環境を気温要素, 植生要素などによって地域区分し, 生気象学および健康地理学の観点から検討した.気候区は関口武と前島郁雄のものを参考に, 北海道気候区, 日本海岸気候区, 太平洋海岸気候区, 三陸地方, 東海地方, 内陸地方, 瀬戸内地方, 北九州地方, 南海地方, それに南西諸島気候区の9つの気候区に分類した.1980年に集計された1, 349人の調査結果では瀬戸内地方気候区が最も多く, 375人で27.8%を占め, 人口10万人対で見ると1.67人であった。その理由としてあわせて調査した食事の結果などから, 温暖な気候, 多照時間, 豊富な海産物, 良好な物流経済立地などとの関連性が認められた.
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