水潅流スーツを用いて身体を冷却する面積比率と胸部皮膚血流量(胸部 SBF)の変化との関係について検討することを目的とした.実験は健康な女子 1 名とし,室温30.0±0.5℃,相対湿度50±3%,気流0.2 m/sec に調節された生活環境シミュレーター室で行なった.体表面積に対する冷却面積の比率は片腕部7%,両腕部14%,片脚部16%,両脚部32%,体幹部35%,四肢部46%の 6 種類とした.スーツ設定温を33℃一定に30分保持後,冷却部位のスーツ設定温を30℃,27℃,24℃と30分毎に 3℃ずつ下降させ,非冷却部位は33℃一定とする条件で行った.スーツ設定温24℃では胸部 SBF(y)と冷却面積比率(x)との関係を示す回帰直線の式はy=−0.37x+13.58(r=0.810, n=6, p<0.05)であった.この結果,回帰式の切片37%以下の範囲では正の値をとるので,体表面積37%以下の冷却では,胸部 SBF は増加することが観察された.
抄録全体を表示