日本生気象学会雑誌
Online ISSN : 1347-7617
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43 巻, 4 号
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原著
  • 侘美 靖, 森谷 きよし
    2006 年 43 巻 4 号 p. 117-129
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/03/13
    ジャーナル フリー
    本研究は,北海道の YOSAKOI ソーラン祭り参加者を対象に,練習及び祭りへの参加による感情及びメンタルヘルスの向上について調査することを目的とした.POMS テストの結果,約 4ヶ月の練習期間中にオーバートレーニングの様子は認められなかった.踊り練習前後の感情変化を Mood Check List-Short Form 1 により測定した結果,5, 15, 25回目練習日のいずれの時期においても快感情得点は練習後に有意に向上した.練習前に比べ練習後にリラックス感得点が有意に向上したのは15回目練習日以降であったが,対照群より低いレベルの変化であった.不安感得点に有意な変化は認められなかった.精神的健康パターン診断検査の結果,練習開始期に比べ,祭り後の心理的・社会的ストレス度は改善していた.YOSAKOI ソーラン祭りと練習への参加は,北国住民の感情及びメンタルヘルス改善に対する効果が期待される.
  • 入來 正躬
    2006 年 43 巻 4 号 p. 131-136
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/03/13
    ジャーナル フリー
    高濃度炭酸泉の治療効果については,古くから主にヨーロッパで詳しく研究されている.しかしその作用機序についての,特に基礎的研究はまだ十分とは言えない.本研究は,高濃度炭酸泉が生体機能に影響を及ぼす可能性を探るために,日常の臨床検査で常用されている血液検査と血液生化学検査の項目について検討した.短期入所療養介護施設利用者10名(男性 2 名,女性 8 名,年齢81.4±6.3歳)を被験者とし,週 2 回以上の高濃度炭酸泉(800–1000 ppm 下肢浴)を 3ヶ月間繰り返した.3ヶ月後に白血球数,ヘモグロビン濃度,平均赤血球ヘモグロビン濃度の値が有意に増加した.赤血球数増加の傾向が見られたが,有意ではなかった.血清蛋白濃度は有意に増加した.これらの結果は炎症,造血,蛋白質代謝など種々の生体機能が炭酸泉浴の影響を受ける可能性のあることを示している.
短報
  • 今田 尚美, 平田 耕造
    2006 年 43 巻 4 号 p. 137-144
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/03/13
    ジャーナル フリー
    水潅流スーツを用いて身体を冷却する面積比率と胸部皮膚血流量(胸部 SBF)の変化との関係について検討することを目的とした.実験は健康な女子 1 名とし,室温30.0±0.5℃,相対湿度50±3%,気流0.2 m/sec に調節された生活環境シミュレーター室で行なった.体表面積に対する冷却面積の比率は片腕部7%,両腕部14%,片脚部16%,両脚部32%,体幹部35%,四肢部46%の 6 種類とした.スーツ設定温を33℃一定に30分保持後,冷却部位のスーツ設定温を30℃,27℃,24℃と30分毎に 3℃ずつ下降させ,非冷却部位は33℃一定とする条件で行った.スーツ設定温24℃では胸部 SBF(y)と冷却面積比率(x)との関係を示す回帰直線の式はy=−0.37x+13.58(r=0.810, n=6, p<0.05)であった.この結果,回帰式の切片37%以下の範囲では正の値をとるので,体表面積37%以下の冷却では,胸部 SBF は増加することが観察された.
  • 横山 太郎, 福岡 義隆
    2006 年 43 巻 4 号 p. 145-151
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/03/13
    ジャーナル フリー
    本報では熱中症の発生は地方によってどのように違いが見られるのかを明らかにすることを目的とした.一般的には熱中症の発生は日中,特に昼間に集中しているが,人口流出入が一日の中の発生頻度に影響を及ぼしていると考えられる.また,全国各地の熱中症の発生頻度は34℃台で地方ごとの顕著な違いが見られ,同じ気温であれば北日本,東日本,西日本の順に高いことが分かった.同じような気候条件にも関わらず,西日本と東日本の発生頻度に差が見られた.60歳以上の高齢者は不快指数77から82にかけて急激に熱中症が増えることも分かった.
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