日本生気象学会雑誌
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44 巻, 1 号
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原著
  • 星 秋夫, 稲葉 裕, 村山 貢司
    2007 年 44 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/02
    ジャーナル フリー
    東京都と千葉市における 2000~2004 年の熱中症発生について解析した.熱中症発生率は東京都(人口 10 万対:4.4 人)よりも千葉市(9.4 人)で高かった.年齢階級別熱中症の発生は両都市共,5~19 歳と 65 歳以上とに,発生のピークを示す二峰性を示した.5~19 歳における熱中症発生は東京都,千葉市共に平日よりも日曜日,祭日で多かった.千葉市において,スポーツ時の発生は大部分が 5~19 歳であった.高齢者(65 歳以上)では大部分が生活活動時に発生した.熱中症の発生した日の日最高気温分布は東京都よりも千葉市で低温域にあった.日最高気温と日平均発生率との間に東京都と千葉市にそれぞれ異なる有意な相関関係を認め,千葉市で急勾配であった.日最高気温時 WBGT 分布は東京都と千葉市で同様であり,東京都と千葉市における日最高気温時 WBGT と日平均発生率との間に有意な相関関係を認めた.多重ロジスティックモデルの結果,日最高気温時 WBGT,日平均海面気圧,日照時間,降水量の因子について有意性を認めた.
短報
  • 福井 洋子, 山本 佳奈, 鷹股 亮
    2007 年 44 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/02
    ジャーナル フリー
    立位や座位時など下肢への静水圧負荷は下肢への血液の貯留および組織への水分漏出による浮腫形成を引き起こす.下肢への血液の貯留量や組織への水分漏出量を決定する因子である静脈コンプラアンス,毛細血管水透過係数(Kf)を定量化し,これらパラメータに及ぼす局所加温および筋肉痛を惹き起こす筋運動の影響を検討した.10 名の健康な若年女性において安静臥位を 60 分間保持した後,大腿に装着したカフの圧力を 7 分ごとに 10 mmHg ずつ 50 mmHg まで上昇させ,その際の下腿の容積変化,皮膚血流量,血圧,心拍数を測定した.同様の測定を下腿加温時にも行った.1 日目の測定終了後,踵の挙上運動を 100 回,4 セット負荷して翌日筋肉痛が起こったことを確認した後 1 日目と同様の実験を行った.それぞれのカフ圧で得られた血液貯留量(下腿容積変化の第 1 相)および経毛細血管水分移動量(下腿容積変化の第 2 相)とカフ圧の関係から各々静脈コンプライアンスおよび Kf を算出した.静脈コンプライアンスは,下腿局所加温および筋肉痛を惹き起こす運動の影響を受けなかった.Kf は,筋肉痛を訴えた 2 日目に 1 日目に比べ有意に上昇した.下腿局所加温の影響は 2 日目にのみ認められ,皮膚温上昇により Kf は上昇した.以上より,筋肉痛を惹き起こす運動は Kf を上昇させ,その効果と皮膚温上昇には相互作用があることが明らかになった.
  • 松原 斎樹, 角田 弘樹, 入江 徹, 藏澄 美仁, 大和 義昭, 澤島 智明
    2007 年 44 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/02
    ジャーナル フリー
    本研究では,緑に対する意識と「散歩に対する意識・行動」との関連性を明確にすることを目的とした.冬期,夏期に渡り,京都市内の北白川(市街地・緑多い),西陣(市街地・緑少ない),洛西ニュータウン(郊外地・緑多い)の 3 地域の戸建住宅を対象にアンケート調査を行った.この結果,冬期・夏期を問わず,時間がないために散歩しない人は,遠方にハイキングなどに行く傾向が見られた.また夏期ではそれに加えて植物を育てることに興味がある傾向も見られた.緑に対する意識・行動が肯定的・積極的な人ほど,よく散歩する傾向が見られた.特に夏期の「緑にふれる行動」の間で強い相関が見られた.季節間においては,夏期の「散歩の頻度」と緑に関する項目で有意差が多く見られた.
  • 松原 斎樹, 角田 弘樹, 入江 徹, 藏澄 美仁, 大和 義昭, 澤島 智明
    2007 年 44 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/07/02
    ジャーナル フリー
    本研究では,緑に対する意識と「窓開放に対する意識・行動」との関連性を明確にすることを目的とした.冬期,夏期に渡り,京都市内の北白川(市街地・緑多い),西陣(市街地・緑少ない),洛西ニュータウン(郊外地・緑多い)の 3 地域の戸建住宅を対象にアンケート調査を行った.この結果,冬期・夏期を問わず,緑に対して肯定的・積極的な人ほど「窓開放の理由」で健康性や雰囲気・自然環境との関わりなどを重視する傾向が見られた.緑に対して肯定的・積極的な人ほど,冬期は室内の音や虫,防犯など,夏期は外の空気の汚れや虫などを「窓を開けにくい理由」として考える傾向が見られた.「窓開放時間」と緑に関する項目の間で相関が見られ,冬期では緑にやすらぎを感じたり緑を取り入れている人ほど,また夏期では食材を栽培したり菜園を欲しがっている人ほど,窓開放時間が長い傾向が見られた.
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