日本生気象学会雑誌
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48 巻, 1 号
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総説
  • 佐藤 純, 溝口 博之, 深谷 佳乃子
    原稿種別: 総説
    2011 年 48 巻 1 号 p. 3-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/07
    ジャーナル フリー
    うつ病性障害に代表される気分障害の出現頻度は増加しており,現代社会での大きな問題となっている.以前より天候変化が気分障害の発症と悪化に影響すると考えられているが,実証研究は行われていない.そこで,筆者らは気分障害が前線通過や悪天候の際に悪化する現象の科学的実証とそのメカニズムを明らかにする目的で,抑うつモデルラットを用いて人工環境暴露実験を行ってきた.これまでに,天気変化で見られる程度の気圧低下(大気圧から 20 hPa 減圧)により,抑うつモデルラットが示すうつ様行動が増強することを明らかにし,気分障害(うつ病)が気圧低下時に悪化する現象を動物モデルで再現することに成功した.
  • 中井 誠一
    原稿種別: 総説
    2011 年 48 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/07
    ジャーナル フリー
    熱中症は古くは坑内労働などの労働場面と軍隊で発生していた.熱中症予防に関する歴史を辿ってみた.最近では,熱中症を暑熱障害の総称として用いているが,明治以前は暑熱による病気は霍乱,中暑,暍病,暍死などの語が用いられた.1950 年代以降は,炭坑等で多発するため,熱中症が用いられている.日光照射がある屋外の労働や軍隊では日射病が用いられた.
    1926~1940 年代の坑内では気温 34℃を上限としているが,1970 年以降のグラウンドで観測した温度では,乾球温度 33.5℃,湿球温度 24.0℃,WBGT 27.6℃であり,坑内温度と大差がない.また,対応策も 1937 年には 0.2~0.3%の食塩水を勧めており,経験的に塩分補給は常識的とされていた.労働衛生においは,作業環境管理,作業管理,健康管理,衛生教育による対策が職場においては行われている.日常生活においても熱中症予防のための保健教育の必要性を指摘した.
原著
  • 水野 貴正, 中野 匡隆, 松本 実, 松本 孝朗, 梅村 義久
    原稿種別: 原 著
    2011 年 48 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/07
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は人工炭酸泉浴が筋の弾性に影響を与えるかどうか腓腹筋内側頭において明らかにする事とした.被験者は男性 10 名であった.始めに足関節の受動背屈中の測定として,足関節を底屈位から最大背屈位まで 1°/s の速度で受動的に背屈させながら,受動トルク,足関節角度,腓腹筋の EMG,腓腹筋内側頭の筋腱移行部伸長量を測定した.その後,人工炭酸泉(CO2≥1,000 ppm,36℃)に右脚下腿を 5 分間入浴,または 5 分間の空気中座位安静を,それぞれ日を変えて行い,再び受動背屈測定を行った.空気中座位安静と比較して,人工炭酸泉入浴後,背屈 0°,5°,10° における筋伸長量,受動トルクに有意な差はなかった.また,背屈 0°~5° 及び,背屈 5°~10° の間の筋伸長量―受動トルク曲線の傾きにも有意な差はなかった.一方で,足関節の最大背屈角度は増加した(p<0.05).以上の結果から,炭酸泉入浴により筋の弾性は変化しないが,足関節背屈角度が増加することが明らかとなった.
  • 複合環境評価における快適・不快感の形成に関する基礎的研究(1)
    小東 敬典, 松原 斎樹
    2011 年 48 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/07
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,実験における評価語の妥当性を検討すること,および複合環境評価において尺度付言語選択法を適用することの妥当性を検討することを目的としている.実験は,2 段階の照度(50, 1000 lx)と 4 段階の室温(21, 24, 27, 30℃)の組み合わせによる複合環境の実験を行った.主観評価には尺度付言語選択法を使用した.本研究の結果以下のことが明らかにされた.
    1)まず,我々の採用した評価語の妥当性を明らかにした.また尺度付言語選択法が複合環境評価に適用できることを明らかにした.
    2)さらに複合環境評価実験に尺度付言語選択法を適用することにより,異系感性相互作用の解釈に新たな可能性を示唆した.
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