日本生気象学会雑誌
Online ISSN : 1347-7617
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51 巻 , 4 号
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総説
  • 垣鍔 直
    2015 年 51 巻 4 号 p. 117-126
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2015/01/29
    ジャーナル フリー
    健常者の日常生活においては高濃度の酸素を呼吸する必要性は少ないが,激しい運動中及び運動後や低酸素になるような状態,例えば長時間作業や加齢などで生理上の障害が予想される場合,適切な高濃度酸素供給が役に立つ可能性がある.本論で紹介したように,運動中の高濃度酸素呼吸による訓練効果や運動後の回復効果を報告した研究例は数多いが,効果の有無に関しては,いまだに賛否両論がある.原因としては,種々な運動に対して適切な酸素濃度や吸入時間などを選択できる程のデータベースが構築されていないことと生理学的機序が完全に解明されていないことが挙げられる.今後の研究成果に期待するところも大きい.
原著
  • 辻 道夫, 久米 雅, 芳田 哲也
    2015 年 51 巻 4 号 p. 127-139
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2015/01/29
    ジャーナル フリー
    湿球黒球温度(Wet Bulb Globe Temperature, WBGT)28℃以上の輻射環境下において,四肢部露出の有無が運動時の温熱ストレスに与える影響を明らかにすることを目的として 7 名の被験者を対象に実験を実施した.輻射環境はスポットライト 2 基を用いて WBGT 28.3±0.1℃を設定し,着衣は長袖・長ズボン(L 条件)と袖なし・半ズボン(S 条件)の 2 条件で最大酸素摂取量の 20% と 50% 負荷の自転車漕ぎ運動を 20 分間,5 分間の休息を挟んで 3 回実施した.その結果,20% 時および 50% 時における食道温,平均皮膚温(Tsk),平均体温,衣服内温度・湿度,総発汗量,および運動後半の温冷感と主観的運動強度は着衣条件による顕著な差異は認められなかった.しかし,L 条件における Tsk の安静時からの上昇度(ΔTsk)や上腕,前腕,下腿の皮膚温は S 条件に比べて両運動時共に有意に低く,さらに 20% 時の心拍数は,L 条件が S 条件よりも有意に低くかった.したがって,WBGT 28℃以上の輻射環境下における中程度運動時の温熱ストレスは四肢部露出の有無による顕著な差異は認められないが,軽運動時には四肢を衣服で覆うことにより皮膚温や心拍数の上昇を抑制し,温熱ストレスを軽減できる可能性が示された.
  • 田中 英登, 梅田 奈々
    2015 年 51 巻 4 号 p. 141-150
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2015/01/29
    ジャーナル フリー
    高齢者における屋内熱中症発生の予防策として,冷房の使用が推奨されている.しかし,先行研究より冷房の苦手な高齢者が多く,冷房を使用していないことから,高齢者が好むあるいは苦手とならない冷房環境について,特に冷房気流の影響について明らかにすることを目的として研究を行った.研究調査は,先ず第 1 に高齢者の冷房使用実態を推測するため,生活温度環境の調査を行い,10 人中 3 人は 1 日中冷房を使用していなく,6 名は夜間使用していないことが示唆された.第 2 に,気温 28℃における気流条件を気流なし,微気流,マイルド間欠気流及び強い気流の 4 条件に設定し,高齢者及び若年成人の生理指標及び心理指標の測定を行い,比較を行った.高齢者は若年成人に比して,気流の影響を強く受け,気流が強いほど皮膚温低下,血圧上昇を示し,心理的にも不快感が強まることが示された.高齢者の冷房気流については,できるだけ小さくするか,あるいは皮膚温低下を起こさないような新たな気流条件を考えることが必要と考えられた.
  • 成澤 元
    2015 年 51 巻 4 号 p. 151-160
    発行日: 2015/01/10
    公開日: 2015/01/29
    ジャーナル フリー
    就眠時の環境や精神状態は睡眠の質に多大に影響する.しかし Rechtschaffen and Kales による睡眠段階の国際標準判定基準では,入眠困難者の入眠構造に健常者との違いがみられないとの報告がある.入眠困難が主観的な評価だけでなく,客観的な指標の変化を伴うものであるか検討することを目的とした実験を行った.客観的な指標には 9 段階の脳波段階基準と自律神経活動の指標を組み合わせ,不安喚起によって入眠困難を引き起こし,30 分間の仮眠を用いた.大学生および大学院生 20 名(男子 11 名,女子 9 名,平均年齢 21.0±1.76 歳)を統制群と不安喚起群に振り分けた.スピーチ不安を不安喚起刺激とした.結果,不安喚起群は仮眠直前に不安が高まり,入眠感が低かった.そして各脳波段階の平均出現潜時の比較では,段階 5~8 の潜時が統制群より延長しており,各段階の交感神経活動の亢進もみられた.これら客観指標の組み合わせにより,主観的な入眠困難を捉えられる可能性が示唆された.
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