日本生気象学会雑誌
Online ISSN : 1347-7617
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55 巻, 4 号
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総説
  • 宇野 勇治
    2019 年 55 巻 4 号 p. 123-133
    発行日: 2019/03/11
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

    和の住まい、伝統的な建築、気候風土に根ざした建築への関心の高まりがみられる中で、木や土や紙などの自然素材を活かした空間をどのようにデザインするのかが問われている。伝統的建築の特徴的な要素である、土壁の熱的な特徴と断熱の効果、針葉樹無垢床材などの体感への影響、開口部を活用した通風効果などについて知見を整理する。

    土壁住宅と非土壁住宅の比較実測では、土壁住宅の室内気温変動は緩やかであることを確認した。通風する夏季室内において日中室内気温は同等であったが、外断熱を施した住宅の方が夜間の温度低下は顕著だった。木質系床材の被験者実験では、畳、スギ、ヒノキなど熱伝導率の低い素材は冬季において温かい側、快適側で評価された。これらをふまえ、具体的な手法について事例を示した。

原著
  • 野本 茂樹, 小川 まどか, 石岡 良子, 都築 和代, 坂本 雄三, 高橋 龍太郎
    2019 年 55 巻 4 号 p. 135-154
    発行日: 2019/03/11
    公開日: 2019/07/03
    ジャーナル フリー

    居間の断熱改修が居住者の健康にどのように影響するかを明らかにすることを目的とした.東京都内とその近郊の中古住宅に住んでいる高齢者42名(平均年齢68.7±6.2歳,59~81歳)とその居宅29棟を対象に,居間の床暖房設置を伴う断熱改修を施工し,その前後の住環境と居住者の健康状態を測定した.居間の温度と床表面および床上10cmの温度は工事1年後に有意に上昇した.24時間血圧連続測定では全日と夜間の血圧が工事1年後に有意に低下した.1日5回の自己血圧測定では起床後と朝食後の血圧が工事1年後に有意に低下した.健康に関するアンケート調査では過活動膀胱症状とアレルギー症状が工事1年後に有意に改善された.他方,床暖房設置を伴わない断熱改修(9棟,10名,平均年齢75.1±8.3歳,61~85歳)の場合,工事前後で血圧や健康には有意な変化がみられなかった.以上のことから床暖房設置を伴う断熱改修の居住者の健康への効果が確認された.

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