日本生気象学会雑誌
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57 巻 , 2 号
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総説
  • 杉本 直俊
    2020 年 57 巻 2 号 p. 61-65
    発行日: 2020/11/12
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

    産業革命以降,平均気温が上昇した.21世紀はさらなる平均気温の上昇が危惧され,同時に新型コロナウイルスの脅威にさらされている.温暖化が進むwith コロナ時代,私たちはどの様な生活をすればよいのだろうか?

    私たちは,細胞レベル,分子レベルまで掘り下げて,暑熱馴化について解明できた.水チャネル,ガスメディエーター,シャペロンタンパク質である熱ショックタンパク質(HSPs),温度センサー,そして免疫グロブリンが暑さ(熱)により影響を受けることを見出した.そして,それらの分子は暑さ(熱)などの様々な外的因子に対する耐性や寛容を形成することに関与している.

原著
  • 大橋 唯太
    2020 年 57 巻 2 号 p. 67-80
    発行日: 2020/11/12
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

    本研究では,岡山県内の異なる地理的特徴をもつ3地域を対象に,季節性インフルエンザの流行の特徴と気象・気候の関係性を分析した.冬により低温な気候をもつ県北地域でインフルエンザ流行の開始やピークが早まるような特徴はなく,各地域の月平均気温(平年偏差)と流行レベルの関係も不明確であった.一方で,週平均気温とその週の流行レベルとのあいだにはある程度の関係が認められたが,気温よりも蒸気圧のほうが地域による差も年による差も小さくなる傾向がみられた.たとえばレベル2(定点あたり報告数が10以上)の流行時には県南・県北,暖冬年・厳冬年によらず週平均蒸気圧6hPaが目安となり,この数値は既往研究で示されたインフルエンザウィルスの1時間生存率60~70%,感染率70~80%の条件に相当していた.

  • 長野 和雄, 志村 恭子, 三嶋 真名美, 井上 司, 桐山 和也, 須藤 美音, 堀越 哲美
    2020 年 57 巻 2 号 p. 81-94
    発行日: 2020/11/12
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

    本研究はアスファルト道路舗装材の改質によって夏季の屋外歩行者への熱的影響を緩和できるかを検討した.密粒,透水性,遮熱性,保水性アスファルト舗装および対照として芝生を加えた5種類の舗装体を豊田市内の屋外試験場に各5m四方の大きさで敷設した.観測項目は,各舗装体における鉛直温度分布・4成分放射量・蒸発水量,代表1点における気温・湿度・風向・風速・降水量・全天日射量,透水性舗装および保水性舗装の2小試験体の含水量変化であった.

    最も表面温度が低かったのはアルベドが約0.2であった芝生で,次いでアルベドが約0.3と最も高かった遮熱性舗装であった.アルベドが芝生と同程度であった保水性舗装の表面温度は遮熱性舗装よりわずかに高かった.これは芝生と保水性舗装では蒸発冷却によって表面温度上昇が抑えられていたためである.遮熱性舗装とは対照的に,密粒・透水性舗装はアルベドが0.1未満のため表面温度が非常に高いが,上向き短波長放射量は非常に少なかった.そのため新たに開発した体感指標・有効受感温度OETを用いて評価すると,全放射の体感影響は遮熱性舗装が最も大きく,保水性舗装が2番目に小さく,芝生が最も小さかった.ただし晴天日が続くと芝生の蒸発冷却効果は低下するが保水性舗装では継続するため,保水性舗装は歩行者の熱ストレス緩和に対し効果的と評価された.

短報
  • 山下 駿, 多胡 雅毅, 織田 良正, 織田 正道, 山下 秀一
    2020 年 57 巻 2 号 p. 95-99
    発行日: 2020/11/12
    公開日: 2021/04/23
    ジャーナル フリー

    Wet bulb globe temperature (WBGT) ≥28℃では熱中症患者が急増するとされるが,その算出は複雑で,一般家庭では通常の室温の方が室内熱中症予防の指標として利用しやすい.環境省は地球温暖化防止を念頭に推奨室温を28℃としているが,室内熱中症予防を目的とした推奨室温は明らかにしていない.本研究は,訪問看護利用中の65歳以上の患者の自宅において,室内熱中症予防に理想的な室温の決定を目的とした単施設前向き観察研究である.対象は59例で,中途脱落者は3例であった.Internet of Things制御のセンサーを各対象者の自宅に設置し,14日間5分おきに室温と湿度をモニタリングしWBGTを計算した.WBGT≥28℃になる割合は,室温26℃未満で0%,26℃台で18.4%,27℃台で38.9%,28℃以上で68.0%であり,室内熱中症予防の推奨室温は26℃未満が望ましいと推計された.

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