日本生気象学会雑誌
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59 巻, 1 号
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総説
  • 藤井 直人
    2022 年 59 巻 1 号 p. 3-13
    発行日: 2022/07/30
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル フリー

    夏の暑い日には汗が出て,不快に思う人も多いかもしれないが,発汗は体温調節反応として重要な役割を果たし,我々にとって欠かせない機能の1つである.発汗研究はin vitroでの実験を中心に行われ,その結果,汗生成の様々なメカニズムが明らかとなった.しかし,in vitroでの汗腺の応答が,体温上昇時のヒトの発汗応答と必ずしも同様であるとは限らない.本総説では,in vitroの汗腺の研究結果を紹介しながら,最近の in vivoにおけるヒトの発汗メカニズム研究の知見について概説する.

原著
  • 西村 一樹, 玉里 祐太郎, 山口 英峰, 小野寺 昇, 長﨑 浩爾
    2022 年 59 巻 1 号 p. 15-24
    発行日: 2022/07/30
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル フリー

    1週間の睡眠指標の変動が社会的時差ボケを評価する指標に成り得るものと研究仮説を立てた.本研究は1週間の睡眠指標の変動,クロノタイプ,平日と休日の睡眠時間の中央値の差(社会的時差ボケの従前の指標)の関係から明らかにした.対象者は男子大学生1,000名とした.対象者は1週間の起床と就寝時刻を記録した.さらに,睡眠時間と睡眠指標の1週間の変動の指標を算出した.クロノタイプはミュンヘンクロノタイプ質問紙(MCTQ)日本語版を使用した.平日と休日の睡眠時間の中央値の差と1週間の起床,就寝時刻の標準偏差,睡眠時間の変動係数の間に有意な正の相関関係が観察された.社会的時差ボケが休日の睡眠の延長のみならず,起床や就寝時刻の不規則性によっても引き起こされる可能性が示唆された.本研究の知見は,平日と休日を合わせた1週間の睡眠指標の変動が,社会的時差ボケを評価する新しい指標に成り得る可能性を示すものである.

  • 野本 茂樹, 岡島 慶治, 高橋 龍太郎
    2022 年 59 巻 1 号 p. 25-35
    発行日: 2022/07/30
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル フリー

    冬期において高齢男性の排尿回数に影響を及ぼす諸条件を検討した.インターネットで関東地方在住の65歳以上の高齢男性を研究協力者として募った.約10日間の調査期間中,排尿時間とおおよその尿量の記録,1回のアンケート調査などをお願いした.また居間と寝室の温湿度を10分毎に自動計測した.活動時の居間温が低いか国際前立腺症状スコアが高いと活動時の排尿回数が増加する傾向がみられた.就寝時の寝室温が高いかピッツバーグ睡眠質問票の得点が高いかあるいは過活動膀胱症状スコアが高いと就寝時の排尿回数が増加する傾向がみられた.就寝時の寝室温が高くなると睡眠障害が起こりやすく,睡眠が浅くなることによって過活動膀胱症状が表出し,その結果就寝時の排尿回数を増加させるという一連の反応が考えられた.また一日あたりの排尿回数は国際前立腺症状あるいは過活動膀胱症状が悪化すると増加する傾向がみられた.

  • 櫻井 博紀, 戸田 真弓, 戸田 南帆, 高橋 吾朗, 酒向 慎貴, 久野 祐功, 渡邉 茂樹, 佐藤 純
    2022 年 59 巻 1 号 p. 37-43
    発行日: 2022/07/30
    公開日: 2022/09/03
    ジャーナル フリー

    高気圧環境によるストレス軽減効果を調査するため,被験者(成人男女16名)を微高気圧(大気圧+10 hPa)と空気質(酸素,二酸化炭素濃度)を調整した空間に短期暴露し,精神気分尺度と自律神経系に与える影響について検討した.微高気圧暴露は,「微高気圧」と,空気質も変化させた「微高気圧+酸素付加」,「微高気圧+酸素付加+二酸化炭素抑制」の3条件で行った.測定項目は,不安・抑うつ尺度および気分尺度と,自律神経指標として血圧,心拍数,心拍間隔変動周波数を取得した.微高気圧暴露単独は,気分尺度,抑うつ尺度を改善させ,暴露中に副交感神経活動が賦活された.さらに,空気質を調整することで,微高気圧暴露単独の場合よりもストレス軽減効果および不安・抑うつ尺度の抑制効果が大きかった.これらから,微高気圧に加えて空気質を調整することで,ストレス緩和効果がより強く得られることが明らかになった.

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