商品開発や設計・生産は, 製品を造るだけでなくブランド創造していることを常に意識する必要がある。ブランドづくりにおいて消費者の感情は大きな位置を占めることから, 感情反応をデザインすることが必要となっている。商品開発, 設計, 生産においても消費者の知覚品質や感情反応を目標とした管理が必要である。いろいろな感情の中でも消費者のエモーションは大きな影響を及ぼすので, カスタマーサイエンスとして研究を蓄積しなくてはならない。
今回の研究では, 商品のコミュニケーションツールとしてのデザインが消費者に与えるエモーションを取り上げた。具体的には, 浴槽などの住まいの設備に関する5社のインターネット上のホームページデザインについてエモーション反応を調査したところ, デザインの違いがエモーションの違いとなって表れることが分かった。このことは単に, マーケティング活動への反応として意味を持つばかりでなく, 製品評価への影響, そしてブランド形成への影響として捉える必要がある。
エモーションの測定に際しては, 論者らが創案した新尺度“EmoM”を研究に用いた。この尺度は, これまで多く使われてきた尺度である“SAM”に代わるものである。この新尺度を用いることにより, ホームページデザインが視聴者のエモーションに与える影響を, より感度よく測定することが可能となった。
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