日本流のモノづくりは熟練者の持つ技術によって支えられており, それらの共有や創造の重要性が近年唱えられている。しかし, 技術の重要注が問われる中で熟練者が持つ技術とはどのような性質を持っており, その構築メカニズムがいかなるものかは十分に理解されていないのが現状である。
そこで本稿は, 日本のモノづくりにおける技術の源泉が知識であることを再認識し, その構築メカニズムを形式知 (表現することができ, 容易に共有・伝達できる知識) と暗黙知 (五感に基づき, 容易に表現し難い知識) の相互関係から繰り広げられるプロセスによって明確にする。さらに, このメカニズムと実際のモノづくりを照らし合わせて検討し, 知識が蓄積されるための「鍵」(仮説の設定, 変数の認識, 習熟サイクルなど) 並びに暗黙知を表出化するための「要素」とその手段を検討する。
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