近年, 国際競争の観点からコストダウンを第一義としたアパレル企業の多くが生産拠点を中国, ASEAN, NIES諸国に移行した.その結果, 国内では空洞化現象が起きると共に生産技術を流出し, 存亡の危機に直面している.国内企業がこの現状を打破するためには, 諸外国に先駆けた縫製技術の伝承が必要と考えられる.その基本対策としては, 縫製形態に対応した作業者の習熟特性を的確に把握し, 合理的な生産活動を展開することが重要である.
そこで, 本研究は, 習熟を考慮した縫製作業における生産システム設計に応用する基礎資料を得る目的で, カッターシャツ縫製工程の一部をモデル化したミシン縫製形態3種類の作業難易の異なる習熟実験を若年者, 高齢者を対象に実施し, 作業難易と習熟の関係について, 比較・検討した.実験結果の解析には達成度手法を適用し, 習熟解析を行い, 若年者と高齢者の各縫製形態に対して習熟が容易に把握できる習熟評価指標を提示した.
抄録全体を表示