本研究では, 冠動脈内の石灰化した付着物を, 血管壁を傷つけることなく切除するために, カテーテル先端の微小切削工具を開発した。従来の工具はダイヤモンド砥粒を電着したものだったが, 手術中に砥粒が脱落する問題があった。この問題を解決するために, 筆者らはおろし金形の切削工具を提案した。直径2mmの砲弾形の酸化アルミ工具表面に, 高さ20μmの切刃を加工して, 水中で200,000rpmで回転させることで, 要求機能が満たされた。工具の要求は, 硬い付着物が削れて軟らかい組織は傷つけないという選択切除であるが, この相反する要求を実現したメカニズムは, 工具と血管壁の間の血液に発生する圧力が血管壁を弾性変形させて, 工具と血管壁の接触を防いだためであることがわかった。[本要旨はPDFには含まれない]
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