生産研究
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65 巻, 4 号
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特集 ICUS特集
特集に際して
研究解説
  • 沢田 治雄
    2013 年 65 巻 4 号 p. 353-358
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    東日本大震災では,国土地理院との契約によって撮影された航空写真はweb上で配布されるなどの利用が図られたが,撮影枚数が極めて多く,津波被害の判読には人手と時間が必要だった.一方,衛星データは国際協力によって数百シーンが日本に提供され,被災前後の画像を利用することで被災把握が迅速に行えた.しかし,津波による田畑の冠水地を示す情報として使われたものの,被災直後の人名救助などに実際に使われた例はほとんどない.大規模災害に対しては,リモートセンシングデータの活用目的とその手段をあらかじめ準備しておくことが肝要である.
研究速報
  • 沼田 宗純, 原 綾香, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 359-363
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    東日本大震災のような広域的な災害ほど,被害の全容を掴むことは容易ではないため,テレビ報道で取り上げられた市町村には積極的な支援が届き,逆に,報道されない市町村に対しては支援が不十分となる等,テレビ報道の有無が災害対応に影響を及ぼすことがある.そこで本研究では,報道された市町村と支援の関係を明らかにするために,報道と義援金の関係,報道とボランティアの関係を分析した.
    その結果,被害量とボランティア数や義援金総額は必ずしも比例関係にあるわけではなく,被害が大きいにも関わらず,ボランティア数や義援金総額が少数・小額の市町村が多く存在することがわかった.また同規模の被害量であっても,市町村によってボランティア数や義援金総額は大きな偏りが生じている.これは,特定の市町村に報道が集中していることが原因と考えられる.
  • 沼田 宗純, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 365-371
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,発災直後の効果的な災害対応を実現することを目的とし,東日本大震災直後における矢吹町の初動対応を分析した.その結果,必ずしも役場の職員が常時対応しなくても運用できる業務(炊き出し,給水,物資の仕分け運搬など)に多くの職員が配置していることが分かった.矢吹町職員約130名を効果的に配置し災害対応を行うためには,業務のレベルや内容を分類し,必要なリソースを配分することが求められ,本研究では災害対応を4種類に大別したように,これを地域防災計画上でも明記することで,担い手別の業務に対し,役場が中心的に果たすべき業務とそれ以外に分けることができるため,最適なリソースを配分し,効果的な災害対応が可能となる.今後は,初動対応マニュアルとうの整備に本研究の成果を活用したい.
  • 沼田 宗純, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 373-377
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,東日本大震災直後のゴールデンタイムの報道時間に着目し,分析を行った.その結果,2011年3月13日から通常の娯楽等の番組編成に変わったことが確認された.また,その後の特集番組では,全て池上彰氏による震災関連の解説であることが分かった.
    今後の大規模災害時において,ゴールデンタイムには視聴者のニーズ,経営上の観点等,番組編成上の検討要素を考慮し,必要があれば娯楽等に迅速に切り替え,多様なステークホルダーのニーズに応えることが重要である.
  • -気仙沼市を事例として-
    沼田 宗純, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 379-385
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    東日本大震災では,新聞やテレビの既存のメディアに加えTwitter等のソーシャルメディアが様々な情報を発信した.そこで本研究では,どのような内容を,どの媒体を使い発信すると効果的な災害対応に繋がるのかをモデル化するための基礎的な検討として,東日本大震災後の気仙沼市に関するTwitter,新聞,テレビが発信した内容を分析した.その結果,「避難」について,全てのメディアが重要度高く情報発信し,「ガレキ」,「水揚」,「仮設住宅」については,Twitter以外は重要度高く取り上げていることが分かった.また,Twitterは「注意」や「心配」など,住民に直接呼びかけ,河北新報は店舗の「営業」と「その時間」などの生活情報,読売新聞は亡くなった方を特定するような報道,NHKは「会社」など経済活動に関する報道がそれぞれ特徴的だったことを確認できた.
  • 川崎 昭如, ヘンリー マイケル, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 387-394
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    東日本大震災後の海外諸国の対応と各国民の行動にはどのような関係があったか.また,自国から退避が勧告されたにもかかわらず退避しなかった外国人や,その逆の行動をとった外国人の意思決定の理由や信頼をおいた情報は何であったか.本稿では,震災直後の各国政府の対応を整理し,東日本大震災時に関東地方に居住していた外国人を対象としたアンケート調査より,震災後の退避行動とその意思決定の理由,信頼をおいた情報源を,諸外国の勧告レベルごとに分析し,関係性を分析した.
  • 近藤 伸也, 飯塚 裕介, 宇治田 和
    2013 年 65 巻 4 号 p. 395-399
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本稿では,東日本大震災における消防団への教訓を身につける演習の設計および運営のあり方を,能力を習得できる演習の開発という視点と,PDCAサイクルでの改善の視点から論じる.この演習は,東日本大震災における教訓として「災害における『退避』を含めた消防団活動における団員の安全確保」を消防団員が認識することをねらいとして,能力を習得できる演習を開発する演習設計フローに従って設計した.演習は15都府県で実施し,毎回PDCAサイクルで改善した.その結果,受講者が演習のねらいを認識することができた.
  • 沼田 宗純, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 401-405
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本稿では,福島県矢吹町の防災体制の再構築を目的に,その初めの取り組みとして,東日本大震災における課題を整理するものである.東日本大震災の災害対応の課題を踏まえ,以下が論点となった.(1)見直し範囲は,地域防災計画,災害対策初動マニュアル,避難所マニュアルとして各種マニュアルの一元化を行う.また,(2)見直しの視点は,震災発生時の初動体制の抜本的見直し,災害対策本部体制の抜本的見直し,必要物資の確保,必要資機材の確保(インフラ応急対応等),必要施設設備の確保(給水施設,情報伝達手段,停電時対応設備等),避難所の見直し(耐震化・充実化,設営数,基準,ルールづくり等)等である.
  • ~福島県矢吹町を事例として~
    沼田 宗純, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 407-415
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究は,「防災戦略立案システム」を構築し,行政等のステークホルダーが効果的な防災戦略を立案・実施するための意思決定を支援することを目指している.本稿では,その第一ステップとして,矢吹町を事例に,防災関連予算がどのように使われているのかを分析した.その結果,矢吹町のリスクマネジメントに関する事業は,人的・物的(財産)被害を抑止又は軽減することに貢献する部分もあるが,効果的な応急対応を実現するための事前準備により多くの予算が配分されていることが分かった.
    一方で,予算配分の分析だけでは事業の効果を図ることは難しいことも指摘した.
    本研究の目的を達成するためには,各事業(防災対策)に対し,投資対効果を評価するモデルを構築する必要がある.これにより,限られた予算や時間等のリソースから,最も効果の高い事業を選択することができ,最適な防災戦略を立案できる.
  • 沼田 宗純, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 417-423
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,行政が,「(1)平時には,介護・福祉等の生活支援業務の効率化や地域のリスク評価に基づく事前対策の立案のために活用し,(2)災害時には,生活再建支援業務の効率化だけではなく,被害情報の集約,安否確認,効果的な対応を支援する」平時から災害時のシームレスな生活支援システム(ITONAMI,人間のさまざまな“営み”)を開発することを目指している.本稿では,その事前検討として,東日本大震災における生活再建支援について,各支援メニューを分析し,情報共有が可能であることを確認した.
    一方,平時利用については,高齢者の見守り等の生活支援における利用,また,地域のリスク評価における活用方法を提示した.
  • -東日本大震災における福島県矢吹町と東京都三鷹市の関係から考察-
    沼田 宗純, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 425-431
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本稿では,最適な広域的な応援体制を構築するために,東日本大震災において「支援する側」と「支援を受けた側」の両者の視点から,それぞれの課題を分析し,これを踏まえた地域防災計画等の災害対応の見直しを図るための論点整理を試みるものである.本稿では,福島県矢吹町に対する広域支援を事例として,支援する側の三鷹市と支援を受けた側の矢吹町のそれぞれについて,応援体制の課題や教訓を整理した.
  • 沼田 宗純, 東郷 夏菜子, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 433-439
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,教育現場で災害イマジネーション力を高める授業が普及することを目的として,防災の専門家が現場へ赴かなくても,指導案を標準化することで,学校の指導者(学校の先生など)が主導的に授業できる環境を構築することを目指す.本稿では,東十条小学校,松川中学校において,学校の担任の先生が災害イマジネーションを膨らませる授業を行い,通常授業の中で,どれくらい防災の授業を行うことが可能かを確認した.その結果,学校の先生による防災の授業が十分に行うことが可能であることが確認できた.
  • -インドネシアの孤児院におけるPPバンドメッシュ工法の適用-
    沼田 宗純, 渡辺 正幸, 黒田 正人, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 441-446
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,バンダアチェ市の孤児院の男子寮にPPBM工法を適用した事例を紹介した.施工に先立つPPBM工法による耐震補強セミナーでは,振動実験映像での耐震性理解と共に,実習による施工技術の把握が行われインドネシア側の理解が深まった.実際の孤児院男子寮の施工において,PPBM工法は,現地の材料を用いて,現地の人々が問題なく対応可能なこと,現地の生活習慣上許容される技術であることなどが実証できた.さらに,施工上の幾つかの改善点も見つかり,今後の普及のための工程管理の向上も図ることができた.
  • 村上 友基, 沼田 宗純, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 447-451
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    石垣構造物の地震時による崩壊を防ぐには,事前に耐震性能を把握し,その性能が不十分な場合は,適切な耐震補強を実施することが不可欠である.そこで本研究は,2次元拡張個別要素法を用いて石垣構造物の地震動応答解析を行い,その結果を踏まえて,耐震補強策を検討した.
    本研究では,石垣に対する耐震補強法としてアンカー補強を選択した.無補強時とアンカー補強時の比較に加え,アンカー補強の違いによるパターン分けで,石垣構造物に対する耐震補強の必要性と補強パターンによる地震動応答の変化の傾向を示し,アンカー補強の有効性を検討した.
  • 藤生 慎, 大原 美保, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 453-457
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    我が国では近い将来,大規模地震の発生が懸念されており,莫大な数の建物被害が想定されている.これらの建物被害に対して迅速に被害認定を行い生活再建のための罹災証明書を発行するためには,莫大な数の人材が必要となる.しかし,危険かつライフラインが途絶した環境の被災地内に多くの調査員を派遣するには,調査員の安全や衣食住の確保に関する問題など,多くの困難を伴う.そこで筆者らは,地震後の迅速な被害認定・罹災証明書発行のために,ITを用いて被災地内と被災地外を有機的に結び付け,被災地外の人材を有効活用することを可能とする遠隔建物被害認定システムを提案した1), 2).本稿では,提案システムのうち被災地内の要員が被災建物の写真撮影を行うプロトタイプシステムの開発,要素技術の検討,被災地内からの写真アップロードシステムを用いた実証実験について述べる.
  • 菅田 寛, 加藤 孝明
    2013 年 65 巻 4 号 p. 459-463
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    平成15年,犯罪対策における多機関連携と官民協働の必要性が示されて以降,放火火災対策においても基礎的自治体の取組が求められている.しかし,公式統計を用いて放火火災のリスクを全国の基礎的自治体にわたり比較するという試みは,陽にはなされていない.本報告では,わが国の放火火災予防の枠組みを要約するとともに,探索的に実施したクラスター分析の結果を報告する.クラスター分析の結果は,人口及び放火の関係が線形ではなく,その内実をより慎重に検討する必要のあることを示すものとなった.
  • 中村 仁, 鳥山 治之, 塩崎 由人, 加藤 孝明
    2013 年 65 巻 4 号 p. 465-468
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    欧州諸国は,欧州連合が2007 年に採択した洪水対策に関する新しい政策指令を受けて,洪水マップを策定している.本研究速報では,今後の研究展開上の予備調査として,主として文献調査によって,欧州諸国における洪水マップの作成と利用実態,洪水マップと保険制度の関連を概括的に整理する.また,特にオーストリアにおいて,政府と保険業者のパートナーシップで洪水マップの作成と公開を実施しているプロジェクト(HORA project)に着目して,その概要を紹介する.
  • 近藤 伸也, 定池 祐季
    2013 年 65 巻 4 号 p. 469-472
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    人と防災未来センターでは,これまで組織としての危機管理対応の考え方を身につけることをねらいとした目標管理型危機管理対応図上訓練(SEMO)を開発し,地方自治体の防災担当職員を対象とした研修を実施している.職員数約100人の小規模自治体である北海道厚真町では,町の災害対策本部事務局員を対象としてSEMOを適用した図上訓練を実施した.本稿では,その事例を訓練の設計と体制の視点から紹介する.
  • 石川 哲也, 近藤 伸也, 川崎 昭如, 大原 美保, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 473-479
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,2011年台風12号豪雨水害で被災した十津川村を事例として,地方自治体のインタビュー調査から地域での情報伝達の現状と課題を明らかにした.そして被災者を支援する活動を行った十津川村出身者によるツイッターアカウントを対象として,情報発信経路と情報種別の観点からツイッターデータを分析し,情報発信の主体ごとの拡散性の高い情報種別の特定や,時間推移ごとの災害情報の拡散性について定量化するとともに,他の通信手段と比較したソーシャルメディアの効果的利用方法の可能性を検討した.
  • -パッサク川の水害実態に関する調査報告-
    小森 大輔, 川崎 昭如, 森田 敦郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 481-485
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本研究では,流域開発に伴って水害リスクが潜在的に増大したチャオプラヤ川下流域における氾濫制御による洪水緩和を検討するために,パサック川流域の洪水特性およびパサックジョラシッドダムの貯水池操作の解析を行った.パサック川流域における流出特性と洪水発生の関係より,雨季におけるパサックジョラシッドダムの貯水池操作は9月に最低貯水量を設定し,10月まで貯水をする操作をすることが効果的であることがわかった.パサック川上流域の洪水を全てパサックジョラシッドダムだけで貯水することは困難であり,洪水緩和機能の負担を明確にし,洪水緩和と水資源確保のバランスがとれた流域管理が重要である.
  • -地方行政・地方自治行政の災害対応についての基礎調査-
    川崎 昭如, 小森 大輔, 森田 敦郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 487-489
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    タイ王国の地方行政制度は,2つのラインによる少し複雑な形態をとっており,それぞれ災害対応や情報共有や連携が取れる体制になっているのか分かりにくい.本稿では,タイ王国の地方行政と地方自治行政における防災対応の体制の理解を目的として,チャオプラヤ川下流域および東北部の地方行政や自治組織に対するヒアリング調査を実施した.本稿では,限られた数のヒアリング調査をで得られた情報もとに,地方行政と地方自治行政における災害対応の役割とその実態を部分的に整理することを試みた.
  • -流域社会と灌漑システムの変遷に関する予備的考察-
    森田 敦郎, 小森 大輔, 川崎 昭如
    2013 年 65 巻 4 号 p. 491-496
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本稿は,チャオプラヤ・デルタにおける水管理の変遷と社会の関係を描き出す試みである.20世紀前半の開発は,デルタ全体を一つの灌漑システムへと再編するものであった.このシステムは,雨季の灌漑(水の均等な配分),乾季の灌漑(選択された地域への給水),雨季の洪水防御(指定氾濫地域への導水)という三つの目的を持つ.これらの三つの機能は,それぞれ絡み合いながら歴史的に発展してきた.だが,1990年代に進行した農業変化と産業化にともなって,三者の葛藤は顕在化しつつあり,水管理に新たな課題を突き付けている.
  • ヘンリー マイケル, 川崎 昭如, 目黒 公郎
    2013 年 65 巻 4 号 p. 497-500
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    During the 2011 Thai flood, people searched for information regarding the disaster to better understand the situation and make decisions or preparations regarding whether to evacuate their homes or businesses. However, many people experienced information-related difficulties such as incorrect or conflicting reports, false rumors, congestion in networks such as hotlines, and so forth. In order to improve information dissemination in the future, a survey was conducted to understand how people collected their disaster information. This paper analyzes the results from the perspective of income level in order to propose effective information dissemination considering the difference in quality of living-related factors.
  • ダッカ近郊農村における取り組みの事例から
    松下 朋子, 佐原 孝紀, 川崎 昭如, 大原 美保, 近藤 伸也, アンサリー メヘディ アーメッド , ラーマン Md. マフィズール ...
    2013 年 65 巻 4 号 p. 501-508
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    バングラデシュ人民共和国は,水害に対する脆弱性が極めて高く,通信インフラの活用による防災対策を推進することへの関心は高い.本研究では,日本で先行的に蓄積されている自然災害対策の知見や情報通信分野での先端的な技術を活かし,現地の実状とニーズに沿ったローカライゼーションを行うための基礎的な調査・分析を行うことを目的とする.本稿では,バングラデシュのある農村における洪水災害情報システムプロジェクトの事例調査と住民へのインタビュー調査結果を紹介する.
  • Dang Anh NGUYET, 川崎 昭如
    2013 年 65 巻 4 号 p. 509-515
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    本稿では,これまで数十年にわたり研究が進められ,かつ気候変動や環境問題への関心の高まりから世界中の研究者により近年さらに注目を集めつつある土地利用変化予測モデルに関する近年の研究動向をレビューする.情報通信技術の発展に伴い,市民参加型の土地利用変化モデルの開発など,これまでとは異なるかたちでの技術開発が行われており,セルラーオートマタやマルチエージェント,ニューラルネットワークなどを用いた当該分野の研究動向の包括的整理を試みた.
  • 澤田 義人, 沖 一雄, 遠藤 貴宏, 沢田 治雄
    2013 年 65 巻 4 号 p. 517-527
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    筆者らは分光反射スペクトルデータのクラスタリングと隠れマルコフモデルを組み合わせることで,多バンドデータで雲除去と時系列モデル化を行う離散的状態空間モデルを開発した.メコン川流域全体を対象としてMODISデータを用いた洪水域の自動監視を行うシステムを構築し,広く情報提供を行っている. また,2011年にはタイ国バンコク周辺で洪水発生し大きな被害があったが,MODISによる冠水地域抽出結果を,より高解像度のセンサーであるASTERやRADARSATのデータを用いて精度評価を行った.その結果,MODIS画素内冠水割合が95%以上の場合の正解率(一致率)はASTERに対しては96.7%,RADARSATでも69.8%であった.RADARSATのデータとの比較では結果のばらつきが大きく,ほぼ完全に検出できた時期もある一方で,雲や欠損画素が連続する場合や植生と冠水域の混在などの要因で検知できなかった場合もあった.
  • 岸 浩稔, 中西 航
    2013 年 65 巻 4 号 p. 529-532
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    東日本大震災発生直後を事例に,位置情報付き tweetを用いた被害地域の逐次把握可能性の検討について報告する.まず,震災発生直後から一週間の tweetデータから位置情報の得られるものを取得し, botなどのアカウントを適宜除外し,時刻,位置情報, user ID,内容などを含む tweetデータのリストを作成した.次に,各 tweetデータを周辺地域の人間活動指標と捉え,カーネル密度推定を用い面的な情報に変換し分布図を作成することで,逐次的・直感的な理解が可能な可視化を行った.さらに,分布図から被害状況の把握を試みた.この際に,平時の人間活動の状態と考えられる DMSP夜間光画像との比較も行った.結果として,位置情報付き tweetデータが,被害状況の面的かつ逐次的把握手段となる可能性を示した.最後に,分布図解釈のための比較データの検討など今後に向けての課題を整理した.
  • 髙野 芳行, 小島 梨恵子, 長井 宏平
    2013 年 65 巻 4 号 p. 533-537
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    高靱性セメント系複合材料(HPFRCC)は優れた引張性能を持つが,一方でひび割れ部でのせん断抵抗性能は低く,適当な量・大きさの粗骨材を混入することでこの弱点を改善する研究がこれまでになされてきた.この材料を構造部材として扱う際には,部材に広がる面的なひずみ分布と,ひび割れ面での局所的な挙動を同時に把握することが求められ,本研究では画像解析システムを導入し,この課題に取り組んだ.画像解析手法を用いてせん断梁試験を実施した結果,粗骨材を混入することによるせん断性能の向上が確認された.また現状での画像解析手法における課題も纏めた.
  • 桑野 玲子, ヘワゲ インディケティヤ サマンティ レヌカ
    2013 年 65 巻 4 号 p. 539-543
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    地盤からの土砂流出に伴い形成される地盤内空洞の周辺には,密度が低下したゆるみ部分を伴う.このゆるみの度合(密度低下)やその範囲は土の種類によって異なる.また,均等な砂では空洞部分を周辺から埋めるように体積膨張する結果,周辺部に間隙が生成しゆるみが発達するのに対して,細粒分混じり砂では細粒分が粗粒の間をすり抜けて流出し,ゆるみが発達する. 本研究では,均等な砂に生成するパターンの蜂の巣状のゆるみについて,その力学特性を定量的に評価する目的で,豊浦砂供試体内に人工的にゆるみ生成させを三軸試験を実施した.またゆる詰め供試体の三軸圧縮過程のX線CT画像からゆるみの進展範囲を把握し,ゆるみ部分の剛性を評価した.
  • 佐々木 翼, 桑野 玲子
    2013 年 65 巻 4 号 p. 545-547
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    微生物が生産するウレアーゼを利用して地盤中に炭酸カルシウムを析出させる地盤改良方法が注目を集めている.本研究では,細粒分を多く含む地盤に対する適用可能性を探ることを目的として,細粒分を約20%含む江戸崎砂供試体(Φ50mm×100mm)に対して微生物固化実験を行った.その結果,微生物を含む固化溶液の注入口付近に固化が集中した.また,微生物固化進行中は透水性の低下は認められなかったが,固化終了後の通水中に改良前と比べて約100分の1程度まで低下した.さらに,固化効率は40~60%程度であった.今後は強度の増加具合を定量的に調べる必要がある.
  • 佐藤 真理, 桑野 玲子
    2013 年 65 巻 4 号 p. 549-552
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    地中の水の急激な浸透に伴い,場合によっては土粒子が部分的に流出しパイピングや内部浸食を起こす.粒度の良い地盤においては,まず細粒分が卓越して流出すると推測され,細粒分流出による排水の濁りは地すべり等の地盤災害の前兆現象とされることもある.本研究では,一次元円筒カラム内に模型地盤を作成し,実地盤に則した様々な条件で水の浸透を与え,内部侵食が地盤に与える影響を明らかにした.また内部侵食を定量的に評価する為に地排水の濁度を測定し,濁度による内部浸食の評価が有効であることを示した.
  • 桑野 玲子, 大良 慎平, 桑野 二郎, 佐藤 真理
    2013 年 65 巻 4 号 p. 553-556
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    東日本大震災で発生した液状化地域には,大量の噴砂が確認されると共に多数の路面下空洞が生じた.本研究では,新木場,習志野,浦安などにおける路面下空洞調査の結果を踏まえ,液状化と空洞の発生形態を調べるために模型実験を実施した.現地調査によると,液状化地盤ではマンホール脇や舗装施工目地付近に空洞が頻発し,通常の空洞と比べると薄く大きく広がり,舗装路面下の地盤が波打つような形状で空洞が連続しているという特徴が確認されている.小型模型土槽を用いて砂地盤の液状化,および噴砂を再現し,それによる路面下の空洞の生成状況について調べた.
    まず,噴砂に伴い舗装面と地盤との隙間を砂が水平移動し,次に動水勾配の高い所や地中構造物脇の水みちなどに沿って土粒子が鉛直移動する様子がわかった.土砂が地上に噴出すると地表面下には局所的に空隙が残り,調査で観察されたものと同様の形態の空洞生成が観察された.
  • 横田 弘, 橋本 勝文, 佐々木 亮輔
    2013 年 65 巻 4 号 p. 557-561
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    セメント系材料を用いた構造物の劣化の一つに,セメント水和物の溶脱がある.これは,セメント系材料の細孔溶液中の成分が外部環境へ溶け出し,水和物組織が多孔化する現象である.本研究では,浸漬試験(実現象の再現試験)および電気泳動セル試験(促進試験)により,長期に亘る溶脱現象に伴うセメント硬化体の特性を調べ,その安定性を評価した.また,X線粉末回折による水和生成物の分析と示差熱分析による水酸化カルシウム量の測定結果により,実現象の再現試験と促進試験によって得られる溶脱現象の差異について考察した.
  • 横田 弘, 小松 周平, 古谷 宏一, 橋本 勝文
    2013 年 65 巻 4 号 p. 563-567
    発行日: 2013/07/01
    公開日: 2013/12/24
    ジャーナル フリー
    我が国の海岸保全施設は,高度経済成長期に集中して整備され,近年では,それらの構造物における劣化の顕在化が問題となっている.しかしながら,海岸保全施設の堤防や護岸は長大である場合が多く,調査や点検に多大な時間と労力が必要となるため,調査の簡略化が求められている.本研究では,護岸あるいは防波堤の胸壁に発生する鉛直ひび割れに着目し,詳細な現地調査を行った.調査結果に基づいて統計解析を行い,少数ひび割れのサンプリング調査から施設全体におけるひび割れ幅の最大値を推定する手法を提案し,その妥当性を検証した.
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