生産研究
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66 巻, 1 号
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特集 乱流シミュレーションと流れの設計(TSFD)
巻頭言
特集に際して
研究速報
  • 半場 藤弘
    2014 年 66 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    一様等方乱流の理論では2点速度相関が波数空間で定式化される.非一様乱流のモデリングでは2点速度相関は複雑なためその代わりに1点速度相関を扱うことがほとんどである.本研究では非一様乱流のエネルギー輸送をより深く理解するため,2点速度相関に基づくエネルギーの輸送方程式の定式化を進める.特に2点の位置の差を表す座標空間でのエネルギーの流れの項を考察する.
  • 横井 喜充
    2014 年 66 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    乱流による輸送促進と輸送抑制からなる動的平衡が果たす役割を磁気リコネクションを対象に調べる.動的均衡の妥当性を検討するために,自己無撞着な乱流モデルが提案される.そのモデルは,平均場(密度,運動量,エネルギーなど)の発展方程式のほか,乱流統計量(電磁流体乱流エネルギー,その散逸率,乱流クロス・ヘリシティなど)の発展方程式からなる綴じた方程式系から構成される.そこでは,乱流エネルギーや乱流クロス・ヘリシティに代表される乱流が外部から注入されることなしに,平均場の非一様性から自発的に生成され維持される.乱流モデルを用いた数値計算の結果,リコネクション率は乱流のレベルに依存すること,乱流クロス・ヘリシティはリコネクション領域の周りに正負四重極状に空間分布すること,輸送促進が生じる領域を動的均衡によって対称点近傍の狭い領域に限局するクロス・ヘリシティのはたらきによって,高速リコネクションが達成されること,などが示された.乱流モデルによるこの結果は,乱流中の動的均衡が高速リコネクションを実現するのに役割を果たしていることを示している.
  • 有木 健人, 半場 藤弘
    2014 年 66 巻 1 号 p. 15-17
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    乱流統計理論的手法により得た二次非線形代数Reynolds応力モデルについて,そのモデルが含む時刻履歴効果の機能を,簡単な非定常流れ(二次元一様伸縮流,単純せん断流,軸対象流)に適用して調べた.その結果,履歴効果によって,乱流粘性の歪み速度に対する応答に遅延が生じることが判明した.また乱流エネルギー生成率を調べることで,履歴効果によって平均流から乱れへのエネルギー転化率においても遅延が生じることが分かった.
  • 中村 優佑, 半場 藤弘
    2014 年 66 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    k-εモデルにおいて,乱流エネルギーkの輸送方程式は,DNSを用いて各項のモデルが検証できるが,乱流エネルギー散逸率εの輸 送方程式は,厳密な輸送方程式とモデルの各項が対応しない.
    そこで本研究は,フィルター操作を用いて,低波数側から高波数側へのエネルギー輸送を散逸率と 再定義し,その輸送方程式を導出し,チャネル乱流での直接数値計算の結果を用いて,エネルギーの流れを確認した.
    これにより,ε輸送方程式のモデル検証と改良につながると期待される.
  • 鈴木 貴之, 加藤 千幸
    2014 年 66 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    密度変化によりキャビテーションを表現する均質媒体モデルは単独翼のキャビテーション発生時の揚力を過小評価するという問題がある. 著者らはこれまでの研究で, この問題は媒体の膨張収縮に伴う運動エネルギーの損失に起因することを示した. この知見に基づき, 均質媒体の膨張と収縮時に体積力を付加することによりこの運動エネルギーの損失を補うモデルを開発し, NACA0015翼まわりのキャビテーション流れを対象に解析を行った.その結果, 今回提案したモデルは, 付加した体積力により損失を補うことで既存のモデルのキャビテーション発生時の揚力を過小評価するという問題を改善していることがわかった.
  • 郭 陽, 加藤 千幸, 山出 吉伸, 太田 有, 岩瀬 拓, 高山 糧
    2014 年 66 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    遠心ファンにおける内部流れから発生する騒音は計算空力音響学(CAA)によって計算された.音源は遠心ファンにおける乱流のラージ・エディ・シミュレーション(LES)の予測手法を用いて得た.計算された音圧レベル(SPL)は300 Hz以下の範囲の中でCurleの式の結果よりも良い解析結果を得ることができた.また得た結果はこの周波数範囲における実験データとかなり一致している.音圧レベル(SPL )は,高周波数領域で過大な予測される.軸方向に垂直な面における流体の力は,翼通過周波数(BPF) 600 Hzの SPLのピークに重要な役割を果たす.
  • ムハマド イスラム ナズルル, 北澤 大輔
    2014 年 66 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    3次元のMEC海洋モデルを用いて,岩手県釜石湾の流れ場,水温場,塩分場の数値計算を行った.2009 年1月の潮汐による海面の変化,水温,塩分の観測結果は,概ね再現できた.さらに,湾口防波堤による影響を予測したところ,防波堤近傍では流れの変化が見られたが,全体の流れ場の変化は小さかった.今後は,防波堤の形状を詳細に再現するために格子解像度を上げるとともに,生態系への影響の観点から防波堤の影響を調査する.
  • ~利便性とエネルギー消費率に基づく乱流制御の新しい評価手法~
    長谷川 洋介, Frohnapfel Bettina, Quadrio Maurizio
    2014 年 66 巻 1 号 p. 39-42
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    従来,内部流における抵抗低減技術は,流量一定条件,もしくは圧力勾配一定条件の下でその性能が評価されてきた.制御が有効に働いた場合,流量一定条件では抵抗,及びポンプ動力が低減される一方,圧力勾配一定条件では流量が増加し,ポンプ動力も増加する.しかし,工学応用の観点では,利便性の指標である流量とエネルギーコストの指標である圧力勾配のいずれかが一定に保たれることは稀であり,むしろ両者を同時に変化させて,最適点(妥協点)を探索する必要がある.そこで,本研究では,流体を輸送するのに必要となる時間(利便性)とその実現に要するエネルギー消費(コスト)に着目し,新しい制御評価手法を提案 する.更に,この評価手法を用いて,過去に報告された抵抗低減制御結果を再評価する.
  • 金 敏植, 加藤 信介, 大場 良二, 大浦 理路
    2014 年 66 巻 1 号 p. 43-45
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
研究解説
  • 黄 孝根, 吉冨 透悟, 加藤 信介
    2014 年 66 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,業務用ビルのエネルギー削減と温熱快適性のための効果的な内部負荷の処理システムを開発し,評価することである.発熱機器の表面における放熱性状について,対流・放射連成シミュレーションによる検討を行う.実験と同様な条件で解析を行うため,測定結果を境界条件として与える.シミュレーションの解析結果から,各機器の熱伝達の変化及び表面ごとの対流と放射によって発生する放熱性状を確認する.また,機器の有効発熱量を推定し,解析モデルの精度を向上させる.
  • 中島 慶悟, 大岡 龍三, 菊本 英紀
    2014 年 66 巻 1 号 p. 53-59
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    都市空間の流れ場における特徴的な乱流構造の輸送現象への寄与及びメカニズムを解明することを目的として温度成層を考慮した都市境界層におけるLarge-eddy simulation(LES)を行った.都市キャノピー上端(z/H=1.0)における主流方向平均風速の勾配が最も大きくなることによって発生した強いEjection(低速流体が上方に流出する現象)は上空に輸送されるため上空におけるレイノルズ応力及び乱流熱フラックスに大きく寄与する.LESから得られた乱流統計量を用いて推定した渦動粘性係数νtのモデル係数Cμと乱流プラントル数Prtは標準k-εモデルで用いられる値より小さくなる部分があり,都市境界層において標準k-εモデルの予測精度は低くなると考えられる.
  • 有馬 雄祐, 大岡 龍三, 菊本 英紀, 山中 徹
    2014 年 66 巻 1 号 p. 61-68
    発行日: 2014/01/01
    公開日: 2014/03/18
    ジャーナル フリー
    地球温暖化など気候変動が進んでおり,建築は気候から多大な影響を受ける.気候に適した設計を行うために,気温や日射などの気象要素から成る標準気象データを用いた熱負荷計算が行われる.現在は,各地域の過去の観測値を基にして作成された標準気象データを使用することが一般的である.しかし,建築物は長期にわたり使用され,その間に気候は変動する.そのため,将来の気候へ適応した,長期的な省エネを実現する建築設計のためには気候変動を考慮した熱負荷計算が必要である.そこで本研究では,GCMの予測する気象データを領域気象モデルによって力学的ダウンスケーリングを行い未来の標準気象データの作成する.
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研究解説
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