生産研究
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67 巻, 3 号
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特集1 工学とバイオ研究
特集に際して
研究速報
研究解説
  • 厖 媛, ストコ  ステファニー リアナ ウタミ, 堀本 洋平, 安斎 正博, 新野 俊樹, 酒井 康行
    2015 年 67 巻 3 号 p. 259-264
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    本稿では,障害を受けた患者肝の代替が可能な肝組織相当物の構築に関する融合的なアプローチに焦点を当てる.このような大型の移植可能肝組織は,体積当たりの肝機能がin vivo のそれと同等でありかつ総体積は500 cm3 となるが,現状の技術では特に細胞への物質供給が制限因子となってその構築は容易ではない.この点を解決するために我々は,ボトムアップ的およびトップダウン的な組織工学的手法の融合に基づく新たな工学的方法論を提案する.これは,臨床学的に意義のある大きさでありながら高い単位体積当たりの肝機能を発揮させるために,ミクロからマクロに至るスケールでの物質供給の同時改善を可能する手法である.
  • 吉田 洵也, 平野 敏行, 佐藤 文俊
    2015 年 67 巻 3 号 p. 265-272
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    タンパク質のような巨大分子のカノニカル分子軌道(CMO)計算においては,初期値の精度が解を得るための重要な要素となる.擬カノニカル局在化軌道(QCLO)法は巨大分子の高精度な初期値作成方法の1 つである.これまでのQCLO 法プログラムはペプチド鎖を前提とするため,ヘテロ分子に対しては適用が困難であった.そこで,任意の化学構造を取り扱う新たなQCLO プログラムを開発し,ヘテロ分子に対してもQCLO 法を適用可能にした.本研究ではヘテロ分子FAD を活性中心として持つタンパク質グルコースオキシダーゼ(GOX)モデルに対して,新たなQCLO 法プログラムを用い,初期値の精度を解析した.また,CMO 計算により得られたGOX の活性中心の電子状態について解析した.
特集2 生産数理グループ
研究解説
  • 柿添 友輔, 中岡 慎治, 合原 一幸, 岩見 真吾
    2015 年 67 巻 3 号 p. 275-279
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    ウイルス感染動態を定量・予測するには,数理モデルによる解析が必要不可欠である.様々な数理モデルの中で最も広く用いられている基本モデル(T'(t)=-βT(t)V(t), I'(t)=βT(t)V(t)-δI(t), V'(t)=pI(t)-cV(t)) は,今日まで様々なウイルスの感染動態を捉えてきた.基本モデルは,ウイルス感染実験に適用した場合,細胞数とウイルス粒子数の測定による変化を連続的なものとして仮定する.しかしながら実験時,測定による細胞とウイルス粒子の減少は瞬間的に行われるため,本仮定が十分なものかどうか明らかではない.そこで本研究では,ウイルス感染実験の測定時における細胞数とウイルス粒子数の瞬間的な変化を厳密に考慮したモデルを構築し,SHIV-KS661 及びSHIV-#64 感染実験データを解析した.そして,基本モデルと新しく構築したモデルにおいてパラメータ推定に明確な差が生じないことを確認した.
研究速報
研究解説
  • 青井 紀之, 合原 一幸
    2015 年 67 巻 3 号 p. 287-292
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    画像などの分類問題において高い精度を示している深層学習という多層モデルの学習アルゴリズムの研究が現在盛んに行われている.他方で,カーネル法という,2つのデータ間の“内積”を計算することによって高次元データなどを分析する手法がある.このカーネル法の枠組みで多層モデルに関する研究はあまりされてこなかった.そこで本研究解説では,部分空間カーネルを用いた新しい多層モデル(多層カーネルマシン)とその学習アルゴリズムを考案し,いくつかのデータセットに対してその性能を評価した.その結果,いくつかのデータセットに対して既存手法に比べて高い性能を示すことを確認した.
  • 森 竜太, 香取 勇一, 合原 一幸
    2015 年 67 巻 3 号 p. 293-296
    発行日: 2015/05/01
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    短期的シナプス可塑性を持つことで知られる動的シナプスは過去の神経活動をシナプス伝達効率の変化として記憶することができるため,時系列信号を扱う情報処理において重要な機能的役割を担っている可能性があるが,その役割については未だ不明な点が多い.そこで本研究では,動的シナプスを含むリカレントニューラルネットワーク(RNN)の短期記憶性能を評価した.その結果,動的シナプスがRNN の短期記憶性能を大きく向上させることが分かった.この結果は,動的シナプスが短期記憶において重要な機能的役割を担っていることを示唆する.
研究速報
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