生産研究
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67 巻, 6 号
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特集1 プロダクションテクノロジー研究
特集に際して
研究解説
  • 帯川 利之, 森合 主税, 松本 航, 林 遵
    2015 年 67 巻 6 号 p. 607-612
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    成熟した持続的な社会の発展に向けて,ジェットエンジンやガスタービンなどの需要が高まっており,これらの製品に使用されているチタン合金やニッケル基超耐熱合金等の難削材を高能率に切削加工する技術の開発が求められている.本論文では,難削材切削加工の主要な技術として,近年注目を集めている高圧クーラントの利用技術開発の動向と最近の話題を紹介する.期待される効果としては,効率的な切りくず破断,工具の長寿命化,高精度化,仕上げ面の高品位化,低コスト化である.最後にクーラントの冷却効果を飛躍的に高める方法について議論する.
研究速報
研究解説
  • 茂呂 隆志, 板垣 祐太郎, 厖 媛, 堀口 一樹, 酒井 康行, 新野 俊樹
    2015 年 67 巻 6 号 p. 617-623
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    Additive Manufacturing(AM)技術のひとつであるレーザー焼結法には,微細性が高く,比較的自由に材料を選択できるという特徴がある.筆者らはこの技術を組織工学担体の製造に応用することを提案しており,食塩を混合した粉体を材料とし,造形後にフィラを溶出することで組織工学担体に求められる高い空孔率が実現できることを報告している.一方で,フィラの高い熱伝導率は造形の微細性の低下を招いていた.本報ではフィラとして比較的熱伝導率の低いポリグリコール酸(PGA)を用いたレーザー焼結法を提案し,微細性の向上や90% 以上の空孔率の達成が可能であることを確認した.提案手法で組織工学担体を試作し,培養における性能も調査した.
研究速報
  • テ テ チョウ, 杉山 澄雄, 柳本 潤
    2015 年 67 巻 6 号 p. 625-629
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    金属を繰り返しリサイクルする時,金属中に蓄積される不純物が大きな問題になってくる.アルミニウム合金のリサイクルや精製のプロセスにおいて,アルミニウム合金スクラップから不純物元素を効率良く分離する技術は非常に重要である.本研究では,半凝固による後方押し出し法を用いることでアルミニウム合金スクラップ中の不純物元素を分離させた.光学顕微鏡での観察,ロックウェル硬さ試験,電子プローブマイクロアナライザー(EPMA)を用いた分析により,不純物元素は押し出し部分の結晶粒界に,精製されたアルミニウムは押し出されなかった部分に濃縮されることが明らかになった.
  • 瓜屋 祐, 柳本 潤
    2015 年 67 巻 6 号 p. 631-635
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    近年,比強度の高い炭素繊維強化樹脂(CFRP)に注目が集まっている.これまで成形性が低いため量産が困難と考えられてきたが,内部構造と成形条件の制御によってプレスの可能性が示されたため成形性を金属と比較できる成形試験方法を提案した.CFRP は圧縮に弱いため,材料が一方向に絞られる際に引張荷重を負荷した引張曲げ試験を曲げ・絞りの成形試験として提案し,張出し試験としてはエリクセン試験を参考として成形性の評価を試みた.試験片の固定方法や試験条件など,CFRP に適した条件を探り評価を実現した.
  • 于 豊銘, 岡部 洋二, 呉 奇, 重田 尚樹
    2015 年 67 巻 6 号 p. 637-640
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,極限環境下にある複合材料中に発生したAE 信号を,光ファイバセンサで遠隔計測するため,光ファイバを導波路とした設置方法を検討した.その結果,遠隔計測でも広帯域にわたるAE 波を高感度で計測できることが確認でき,しかも,AE 波に含まれるモードの変換挙動から,遠隔センサでも光ファイバの接着点と同じ波形を計測可能であることがわかった.さらにCFRP 直交積層板において,AE 波の支配的モードとトランスバースクラックおよび層間剥離との関係に基づき,曲げ負荷下で生じる損傷の形態を診断可能となることがわかった.
  • 土屋 健介, 盧 毅申, 加藤 光利, 伴野 洋二
    2015 年 67 巻 6 号 p. 641-645
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,小型生産機械群を用いた高品質・低コストの革新的生産システムを開発する.個々の部品を全数検査するのではなく,生産工程をモニタリングすることで,製品の機能を保証する.この生産システム実現のために,まず,機械自身の動作を計測するための精密センサを内蔵した,小型射出成形機と小型プレス機を開発した.小型生産機械は80mm x 130mm x 80mm のサイズで,製品と計測データの1 対1 対応が実現できる.また,加工機を小型化したことによって,成形については1 個取りが可能になり,プレスについては加工力と作動力のS/N 比が向上した.次に,プロセスおよび製品の評価のためにMT 法(Mahalanobis-Taguchi Method)を導入した.その結果,従来のスペック評価では検出されなかった「良品でないもの」を検出することができた.これらの小型生産機械を用いて,微小部品を加工する実験によって,生産機械の動作計測データから製品の品質を判定できることがわかった.このことから,製品の品質向上と管理コストの低減を同時に実現できる可能性があることを示した.
  • 木村 文信, 門屋 祥太郎, 梶原 優介
    2015 年 67 巻 6 号 p. 647-650
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,金属・樹脂直接接合において,加工条件が接合強度にどのような影響を与えるかを調査した.薬品処理によって20 nm 程度の微細孔からなる多孔質構造を金属部材表面に形成し,その金属部材をインサート成形することで,樹脂部の成形と同時に金属・樹脂の直接接合を行った.調査する加工条件としては,成形する際の金型のキャビティ内圧力の大きさと,後処理として行うアニーリングの時間に着目した.接合強度の評価としては,重ね継手構造の接合サンプルの引張試験を行い,引張せん断強度を測定した.試験の結果から,キャビティ内圧力が大きくなるほど,アニーリング時間が長くなるほど接合強度が大きくなることが確認できた.また,接合強度が大きいものでは,試験によって母材破壊が生じており,非常に強い接合が実現できることを示した.
特集2 阪神・淡路大震災から20年 ~地震防災研究の最前線~
特集に際して
調査報告
研究速報
  • 西崎 慶, 大矢 俊治, 川口 健一
    2015 年 67 巻 6 号 p. 661-666
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    天井落下による事故は後を絶たない.天井落下に対する事後安全策としては,フェイルセーフの役割を果たす天井落下防止ネットなどが有効である.本研究では,まず天井落下防止ネットの基本的な力学特性を理論,数値解析により調べ,ネット一本当たりに生ずる軸力が設計時に安全側となる簡易式を薄膜理論に基づき提案した.さらに,3m ×4m の大きさのケーブルネットへ天井材を実際に落下させ,ケーブル端部にかかる軸力や中央点サグなどを計測したため,その結果を報告する.
  • 梶原 和博, ポカレル ラマ モハン, 清田 隆, 小長井 一男
    2015 年 67 巻 6 号 p. 667-671
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(Mw 9.0)は,震源から遠く離れた関東地方沿岸部に深刻な液状化被害をもたらした.将来の液状化被害に備えるにあたっては,これまで多くの自治体でハザードマップの整備が行われてきたが,このマップに被害に関する定量的な情報が含まれると,防災へのより効果的な利活用が期待できる.そこで,本研究では,液状化指数と液状化沈下マップ(Konagai et al., 2013)から得られた道路沈下量の関係を道路種別毎に整理する.ここで得られた関係を用いて,液状化による道路沈下量を定量的に予測する新しいハザードマップの構築を試みる.
  • 梅原 由貴, 清田 隆, キアロ ガブリエル, 柳浦 良行
    2015 年 67 巻 6 号 p. 673-676
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    ボーリング時の地盤試料採取方法の一つであるGel-Push サンプリング(GP)手法は,試料採取時にジェルが試料表面を覆いサンプラーとの摩擦を減らすことで,主に礫地盤で高品質試料を採取可能とされる.しかし,砂質地盤への適用可能性についてはあまり検討されていない.本研究では,東北地方太平洋沖地震で液状化した千葉市美浜区の砂質地盤から採取したGP 試料と従来法のトリプルチューブ試料を用いて,GP の当該地盤への適用可能性を検討した.間隙比,せん断波速度を指標とした試料の品質評価からGP の優位性を確認できたが,その差は非排水繰り返し強度には影響を及ぼさない程度だった.
  • 宮本 裕俊, 清田 隆, キアロ ガブリエル
    2015 年 67 巻 6 号 p. 679-682
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    2010 年から2011 年にかけて発生した一連のクライストチャーチ地震(ニュージーランド)により,クライストチャーチ市内では,広い範囲での大規模な液状化が観測され,多くの一般住宅や道路およびライフラインに被害が生じた.また,Avon 川近郊を中心に側方流動による大きな地盤変位も確認されている.本研究は,クライストチャーチ地震で発生した液状化噴砂試料を用い,せん断ひずみ100% まで載荷・計測できるよう改良された中型中空ねじりせん断試験機を用い非排水繰返しねじりせん断試験を実施した.また,クライストチャーチ噴砂試料の液状化時における数%~大ひずみレベルの挙動について,既往研究による豊浦砂の実験結果と比較・検討を行った.
  • 呉 杰祐, 清田 隆, 片桐 俊彦
    2015 年 67 巻 6 号 p. 683-686
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    地震時の液状化の検討は,基本的にN 値を利用して行われてきた.また,液状化強度とせん断剛性率との相関が良いことは多くの研究で示されてきた.しかし,これまでの研究では,一定の相対密度で異なる構造を有する砂質土のせん断剛性率と液状化強度特性の関係をまとめた例は少ない.そこで本研究では三軸試験機を用い,同一の密度(Dr=50%)で異なるせん断剛性率(Gd)を有する供試体を,排水繰返し載荷履歴や再液状化試験により作成し,それらの液状化強度とせん断剛性率との関係を検討した.応力履歴回数が増加するほど動的せん断剛性率と液状化強度の値が上昇することを確認した.一方,再液状化実験結果より,元の供試体より更に低い液状化強度とせん断剛性率が得られた.本研究では,この値を単一密度供試体(Dr=50%)の液状化強度とせん断剛性率の下限値に相当するとみなした.
  • 清田 隆, 小池 陽平, 片桐 俊彦, 藤田 哲之
    2015 年 67 巻 6 号 p. 687-690
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    埋設物等の埋戻し部における液状化対策工法のうち,埋戻し土の固化,特にセメントを用いた改良土では室内配合設計で十分な掘削性を確保した場合であっても,過強度発現による掘削時の施工性に問題が残されている.本研究では,埋設構造物埋戻し部の液状化対策工法として,泥固化処理等に実績のあるフライアッシュ系改良材(FAI)の適用性に着目し,主に液状化強度特性と再掘削性にについて一連の室内実験を実施して検討を行った.一軸圧縮試験より,FAI 添加率および養生日数が一軸圧縮強度に及ぼす影響,およびFAI 改良土とセメント改良土の掘削性能の違いを確認した.また,液状化強度特性に及ぼすFAI 改良効果を明らかにし,再掘削性を考慮した埋戻し土の地盤改良は,添加率2%のFAI 改良土が適切であることを示した.動的計測による微小せん断剛性率により,FAI 改良による液状化対策効果を把握できることを示した.
  • 清田 隆, 米良 有玄, ハン シンエ, 片桐 俊彦, 大塚 悠大, ハウスナー クリスチャン
    2015 年 67 巻 6 号 p. 691-694
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    著者らの研究グループは,ジオセルの土中引抜け抵抗力を高めるため,擁壁に対して垂直に縦材を配した改良型ジオセルを開発してきた.本研究では,この改良型ジオセルを用いた補強土擁壁の地震時安定性を土中引抜き試験と振動台模型実験により検討した.また,擁壁の補強効果に及ぼす盛土材粒径の影響を検証するため,盛土地盤材料として粒径の揃った砂(D50= 0.25mm)と礫(D50= 15.2mm)を用いた.実験は,改良型ジオセル補強土擁壁模型のほか,比較のためジオグリッドで補強された擁壁模型,及び無補強の擁壁模型でも実施した.その結果,改良型ジオセルにより補強された擁壁模型は,他の擁壁模型と比べて高い耐震性を示した.また,ジオグリッドで補強された擁壁模型では,盛土材粒径が補強材の目合いよりも大きくなるとその耐震性が低下する傾向が確認された.
調査報告
  • 清田 隆, 合田 且一朗, ポカレル ラマ モハン, キアロ ガブリエル, 片桐 俊彦
    2015 年 67 巻 6 号 p. 695-700
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    2015 年4 月25 日に発生したカトマンズ北西部を震源としたネパール地震(Mw7.8)は,ネパール中部地域に大きな被害を与えた.地震動の大きかった地域では,適切な補強がなされていなかった組積造の建物が多く倒壊し,多くの犠牲者が生じた.また,地盤に関しても多くの被害が生じ,道路の被害や寸断などが生じた.本報告では,地震発生から約1 週間後に実施された現場被害調査を基に,同地震における構造物被害と地盤災害の様子をまとめた.カトマンズでは歴史的構造物の被害や幹線道路の盛土の沈下,カトマンズ北部の山地や震源地周辺では,道路沿いに落石・斜面崩壊が多く発生した.震源に近づくほど家屋の倒壊や斜面崩壊の数と規模が大きくなる傾向が確認された.
研究速報
研究解説
  • 馬渡正道 , 土屋健介
    2015 年 67 巻 6 号 p. 705-712
    発行日: 2015/11/01
    公開日: 2015/11/30
    ジャーナル フリー
    熟練技能者が手作業で行っている技能をロボットで自動化する必要性が産業界で高まっている.しかし,人間の動作は言葉で正確に表現することが困難である上に,時間的摂動および空間的摂動を伴っており,このことが自動化を困難にしている.本研究では,書道の運筆作業を題材に取り,モーションキャプチャーを用いて得られたデータにスプライン関数を適用し,技能の数理モデル化を実現する.そして,人間の時間的摂動を適切に処理するために同型変換法という手法を導入し,また空間的摂動を適切に処理するためにMin-Max ノルムを適用し,自動化用の動作の基礎を確立する.
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