生産研究
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68 巻, 2 号
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特集 ITSが切り開く次世代モビリティ社会
特集に際して
研究解説
  • 須田 義大, 大口 敬, 中野 公彦, 大石 岳史, 小野 晋太郎, 吉田 秀範, 杉町 敏之
    2016 年 68 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    新たなモビリティ社会の実現のためには,車両制御以外の様々な課題に対する取り組みが必要である.まず,全ての自動化のレベルでHMI が重要課題となる.次に,自動運転により人間にはできない高度な運転が実現できる一方で,一般交通への受容性評価もまた重要課題である.さらに,自動運転の実用化に向けては,自動運転に関する総合的なエコシステムを整え,社会制度との適合性を含む社会受容性を確保する必要がある.本稿では,このような自動運転により新たなモビリティ社会を築くための様々な重要課題と展望について述べる.
  • 大口 敬
    2016 年 68 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    道路は一義的には移動のための交通機能を提供する場であるが,都市部の街路ではさらに多様な機能を持つ一方で,都市間の街道は交通機能に特化する.街路・街道それぞれには,高規格から低規格まで階層性がある.本稿では,こうした分類と階層機能で規定されるさまざまな移動の場の機能特性に基づき,主としてその安全性の向上の観点から,自動運転技術の導入が有効な分類・階層や条件について考察し,その導入へ向けた可能性と課題を論じる.
  • 小川 雅也, 本田 克弥, 佐藤 啓宏, 工藤 俊亮, 大石 岳史, 池内 克史
    2016 年 68 巻 2 号 p. 107-113
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,災害時に人間に代わって作業するロボットシステムの研究が広く行われている.特にヒューマノイドロボットは人間用の機器を扱うことができるため,緊急時に即時対応できるという点で期待も大きい.このヒューマノイドロボットを直感的に操作する方法として,人間の動作をカメラなどによって観測し,ロボットに適用して操作する方法がある.しかし人間とロボットの間には構造の違いがあり,さらに動作遅れやネットワーク遅延などの問題もあるため直接人間の動作を適用することはできない.そのため大局的判断・指示を人間が行い,ロボットが半自律的に動作実行する遠隔操作が望ましい.本研究では動作を抽象表現するタスクモデルを用いて,ビジョンセンサによる安定的なヒューマノイドロボットの遠隔操作システムを提案する.
  • -入力画像の特性が判別性に及ぼす影響の評価-
    山口 莞爾, 福元 和真, 松下 侑輝, 川崎 洋, 小野 晋太郎, 池内 克史
    2016 年 68 巻 2 号 p. 115-121
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    近年,ドライブレコーダーなどの車載カメラの増加とWeb による画像や動画の共有サービスの一般化により,世界中の都市の風景画像や映像をインターネットから取得することが出来るようになってきた.これらの情報は,都市の三次元モデル生成への応用や,地図の頻繁な更新,あるいは景観シミュレーションなど,幅広い応用が期待されるが,そのためには撮影された位置の情報が必要となる.しかし,GPS などの位置情報が,必ずしも画像や映像に付加されているとは限らない.そこで,このようなシーン情報から撮影位置を同定する研究が盛んに行われているが,ほとんどの研究は,ある程度の位置が分かっていることを前提に,詳細な位置合わせをするものであった.一方で,世界中の都市を対象として,大域的な位置推定を目指した研究例はほとんど無い.そこで,本論文では世界中の映像を対象として,大域的な位置推定を行うことを目標とする.大域的な位置推定ができれば,既存の詳細位置合わせ手法を適用できると考えられる.提案手法では,Google Street View の画像を学習データとして深層学習(Deep Learning) による認識を行うものとし,認識に際して,カメラごとの特性の違いや,視点の位置姿勢が異なることよる見えの変化に対応するものとした.都市の数が増えると難易度が上がると考えられることから,今回は,主要都市のみを対象として,どの程度の認識が可能か検証を行った.実験の結果,提案手法により,従来よりも高い認識率を実現できることが分かった.
研究速報
研究解説
  • 山下 拓也, 荒川 大輝, タン ジェフリートゥチュアン, 鄭 仁成, 須田 義大, 日比 元明, 石原 敦, 瀬川 雅也
    2016 年 68 巻 2 号 p. 131-134
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    我々は先行研究としてStavic-4H と呼ばれる電動アシスト付きの人力車を開発した.この車両は従来にはないレバーの押し引きによる直感的な操舵法を特徴としている.本研究では,これに加えブレーキを片輪だけ効かせて行うスキッドステアによる操舵を組み合わせることにより最適な操舵が実現されるのではないかと考え,スキッドステアの有無による操作性の違いについて評価することを目的とした.実験の結果,スキッドステアを組み合わせることにより操舵に要する力が減少することが確認され,操舵の組み合わせにより操作性が向上したといえる.本論文は2015年12月11日に日本機械学会の第24回 交通・物流部門大会(TRANSLOG2015)で発表した.
  • 荒川 大輝, タン ジェフリートゥチュアン, 須田 義大
    2016 年 68 巻 2 号 p. 135-138
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    渋滞や環境問題といった交通の諸問題の解決策として,超小型モビリティ・ビークルに注目が集まっている.このモビリティの運動性能を向上させる手法として,前輪を自由にすることで,車体傾斜に追従させて操舵する手法が考えられる.一方で,このような手法を用いた車両のさらなる発展のためには,車両の構造が運動性能に与える影響を調査する必要がある.本研究では,車両構造の中でも,本車両の特徴である前輪に着目し,そのキャスター角とトレールが運動性能に与える影響について調査を行った.本論文は2015年12月9日に日本機械学会の第24回 交通・物流部門大会(TRANSLOG2015)で発表した.
  • 楊 燕, 和田 健太郎, 大口 敬, 井料(浅野) 美帆, 牧野 浩志
    2016 年 68 巻 2 号 p. 139-143
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    高速道路サグ部など単路部ボトルネックにおける交通渋滞発生時交通量は必ずしも一定ではなく,確率的に変動する事象として把握されている.この変動は個々の車両の運転挙動に違いがあることが主要因だと考えられている.東名高速道路下り大和バス停付近サグ部を対象に,複数ビデオカメラを画像処理することによって多数の運転挙動データを収集し,追従挙動モデルとそのパラメータ同定手法を精査して各走行データに適用した.得られた特性より,車両個体差の特徴を分析した.
  • ガスパイ サンディメイ, 大口 敬, 和田 健太郎, 井料(浅野) 美帆
    2016 年 68 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    交差点におけるタンデムソーティング戦略 (TSS) は,右折・左折専用現示のある交差点における容量増強のアプローチである.この戦略では,ある現示の車両のみ交差点に到達できるよう上流部の信号で制御を行うため,それらの車両をより多くの車線を利用して効率的に捌くことができる.ただし,現示間の需要の偏りが大きい場合など,上流信号におけるスプリットがある一定値を越えると,交差点の捌け量が低下する.本研究では,こうした状況におけるケーススタディを行う.その結果,(1) 捌け量の低下が生じている場合でもなおTSS がない場合に比べてTSS 導入時の容量が高い,(2) TSS 導入時のサイクル長を短くすることにより,容量の増加と信号遅れの削減が同時に達成できることがわかった.
  • 臼井 健人, 和田 健太郎, 大口 敬, 井料(浅野) 美帆
    2016 年 68 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    本研究は,確率的な需要の到着を考慮して,信号路線の総遅れ時間の期待値を計算する手法を示す.提案手法は交通流の変分理論(VT)に基づくものであるが,確率的な需要を考慮した場合,交通流ダイナミクスは確率的な最短経路探索問題の解として記述され,その厳密な求解は困難なものとなる.そこで,以下の二つを組み合わせた近似解法を提案する:(1) 最短経路が持つ特性による解集合(経路の候補数)の縮小;(2) Clark approximation の援用.モンテカルロ計算による期待値との比較実験の結果,提案解法は実験で用いたいずれの道路設定においても精度よく期待値を計算できることがわかった.
  • 弘津 雄三, 岩岡 浩一郎, 新倉 聡, 大口 敬
    2016 年 68 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    車両感知器は信号制御等の基礎となる交通管制システムの中核装置である.そのため,精度の高いデータ収集が求められており,保守点検業務を定期的に行い,その機能の保全を行っている.車両感知器はデータ精度の低下を伴いながら故障する場合があり,また様々な交通環境にさらされるため,その検出に対して効果的かつ効率的な手法が求められている.著者らは交通量,占有時間を集約し,統計的な数値から異常を検出する手法を提案し,その有効性を確認した.本稿では交通環境が異なる3地域を抽出し,提案手法を適用し,結果を比較分析する.
  • 楊 波, 鄭 仁成, 貝塚 勉, 中野 公彦
    2016 年 68 巻 2 号 p. 163-167
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    無信号交差点での事故防止技術は,交通事故の減少にとって重要な課題である.近年,路車間,車車間通信技術の発展により,車内信号というシステムが実現可能になってきている.これは,ITS 通信技術を用いて,交通信号を車内で表示するものである.従来の著者らが提案した手法では,ギャップアクセプタンス理論の臨界ギャップを6.5秒と設定して無信号交差点の状況を判断し,各車にて信号を表示したが,本研究では,ドライバの待ち時間を配慮した新たな車内信号の方式を提案した.ドライビングシミュレータで実験を行い,交差点における通行支援の効果を評価する.結果によると,新方式において操縦安定性と安全性が向上する傾向が見られた.
  • 増井 太志, 霜野 慧亮, 鄭 仁成, 中野 公彦
    2016 年 68 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    道路標識は安全で円滑な交通を実現するために必要不可欠であるが,ドライバは運転行動に集中しているためその情報を見落とすことが考えられる.ドライバの視行動を阻害せず標識情報を効率的に提供するために現在車内標識が実用化されている.一方でそのような機器を用いた場合に運転行動がどのように変化するかを評価し,論じた研究は少ない.本研究ではその点に着目し,ドライビングシミュレータを用いて地上標識による情報提供と車内標識による情報提供とを比較・評価する.本稿では評価実験の内容を中心に,情報提供法の違いによって運転操作や視線移動等に生じた差異について検討する.
一般
研究速報
  • -市販検出器MCTとの直接比較-
    根間 裕史, 小宮山 進, 金 鮮美, 梶原 優介
    2016 年 68 巻 2 号 p. 175-178
    発行日: 2016/03/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
    超高感度THz波検出器であるCSIPの現実的な感度を,市販検出器として広く用いられているMCTとの直接比較で評価した.実際の使用条件に似せて,常温試料観察用の開口を持つ構成で,専用に作製した発光体からの同一の光を,CSIPとMCTそれぞれで検出した.結果は,CSIPの感度がMCTに比べて300程度高いことを示す.これは,低温の閉空間で評価された従来の結果と矛盾せず,現実条件でCSIPの特性が優れていることが実証された.
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