生産研究
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68 巻, 3 号
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特集 工学とバイオ研究
特集に際して
研究解説
  • 立澤 彩佳, 高橋 治子, 松永 行子
    2016 年 68 巻 3 号 p. 183-187
    発行日: 2016/05/01
    公開日: 2016/05/30
    ジャーナル フリー
    ハイドロゲルは,生体に近い性質をもつことから再生医療における細胞足場としての利用が期待されている.また表面の微細構造により細胞接着性が変化することが知られており,様々な微細構造をもつ足場の研究が注目されている.微細構造の中でも,生体内組織の筋線維,神経線維などと同様の階層構造を有する束状構造体は,強度の強さ,複雑な三次元構造から,人工臓器の作製において有用な構造であると考えられる.しかしハイドロゲルで束状構造体を作製する場合,線維を撚り合わせて作製する方法では,ゲルの強度の問題から作製は困難であり,別の方法を検討する必要がある.本解説では,マイクロ流体デバイスと相分離現象を示す瞬時架橋可能なポリマーブレンド溶液を利用することによる,細胞足場のための束状構造ゲルの形成と再生医療への展望について我々の研究成果を紹介する.
  • 篠原 満利恵, ポウデル サパナ, 清水 航平, 小森 喜久夫, 酒井 康行
    2016 年 68 巻 3 号 p. 189-194
    発行日: 2016/05/01
    公開日: 2016/05/30
    ジャーナル フリー
    膵臓・膵島移植は,血糖コントロールが困難となった重篤な1 型糖尿病に対する根治療法となり得る治療法であるが,絶対的にドナーが不足している.そのため,胚性幹細胞(embryonic stem cells, ES 細胞)や人工多能性幹細胞(induced pluripotent stem cells, iPS 細胞),間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells, MSC)などから分化誘導して得られた膵島組織を用いる再生医療への期待が高まっており,世界的に関連技術の開発が盛んに行われている.本稿では,膵島組織を構成する細胞の中でも特に重要な膵β細胞のin vitro での調製,移植用の組織を形成するための培養,移植組織を保持するための移植用デバイスの作製等の支援技術の現状と課題を関連の研究を紹介しながら解説する.
  • 木村 圭一, 堀口 一樹, 木戸 丈友, 宮島 篤, 酒井 康行
    2016 年 68 巻 3 号 p. 195-199
    発行日: 2016/05/01
    公開日: 2016/05/30
    ジャーナル フリー
    肝臓は薬物の代謝において重要な役割を果たしており,培養ヒト肝細胞を用いたin vitro 試験は,創薬スクリーニングで最も重要なもののひとつ である.一方で,研究用に提供される正常かつ成熟な肝細胞は慢性的に不足しており,iPS 細胞から分化誘導により得られた肝細胞は,高価かつ倫理上問題のある初代肝細胞を代替するという期待が持たれている.しかしながら,現状のiPS 細胞由来肝細胞はヒトの正常な成熟肝細胞と比較すると機能が著しく低く,実用に耐えない.そこで本稿ではiPS 細胞の肝細胞分化誘導法の到達点を概観するとともに,得られた肝細胞の更なる成熟化のための新たな手法について解説を行う.
研究速報
  • 梅垣 祐介, 池内 与志穂
    2016 年 68 巻 3 号 p. 201-204
    発行日: 2016/05/01
    公開日: 2016/05/30
    ジャーナル フリー
    脳が機能するには,その構成要素である神経細胞が正しく形作られる必要があり,その異常は脳の発達障害を引き起こす.神経細胞の形態形成メカニズムとして,タンパク質合成の神経特異的な調節が重要な役割を果たしていることが知られている.この分子機構の解明に向け,本研究では神経細胞においてmTOR シグナル伝達経路の活性に依存して生産量が変化する新生タンパク質を網羅的に探索した.神経系細胞では見出された遺伝子から生産される二種類のアイソフォームの量がmTOR 抑制により減少した.一方,非神経系細胞では一種類のアイソフォームのみがmTOR の制御を受けた.これらの結果から,特定のアイソフォームの生産が神経特異的に制御されていることが示唆された.
研究解説
研究速報
  • 川瀧 紗英子, 粕谷 マリア カルメリタ, 畑中 研一
    2016 年 68 巻 3 号 p. 211-212
    発行日: 2016/05/01
    公開日: 2016/05/30
    ジャーナル フリー
    細胞にフルオラス溶媒からの酸素と培地からの栄養分とを同時に供給することを目的として,DMEM 培地とフルオラス溶媒の両方が3T3-L1 細胞に接するような培養系を構築し,細胞の様子を観察した.マイクロチャネル二層系では細胞が培地中と同様に生育するのに対し,フルオラス溶媒のみでは細胞形態が通常と異なることがわかった.また,T-flask を用いた(逆さまの)培養系でも3T3-L1 細胞を培養することが可能であり,フルオラス溶媒を存在させることによる細胞増殖を観察することができた.
研究解説
特集 生産数理グループ
特集に際して
研究速報
研究解説
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