生産研究
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69 巻, 1 号
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巻頭言
特集 乱流シミュレーションと流れの設計(TSFD)
特集に際して
研究速報
  • 半場 藤弘
    2017 年 69 巻 1 号 p. 5-8
    発行日: 2017/01/01
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー

    渦粘性モデルは乱流の予測に広く用いられるが,予測精度が低い流れの一つとして直円管内の旋回乱流がある.本研究ではレイノルズ応力方程式モデルを流体粒子の軌跡に沿って積分し,時間的に非局所的な渦粘性モデルを導き,旋回に伴う履歴効果によって実効的に渦粘性が減少することを示した.本モデルで得られた円管内旋回流の速度分布は実験とよく一致し,渦粘性の減少によって円管の旋回がゆっくり減衰することを説明できた.

  • 横井 喜充, ブランデンブルグ アクセル
    2017 年 69 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2017/01/01
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー

    絶対渦度の結合係数として非一様なヘリシティはReynolds 応力の表現に入る.通常の渦粘性とは対照的に,この非一様ヘリシティ効果は乱流による輸送抑制や構造形成の役割を担いうる.回転乱流の直接数値計算(DNS)を用いて,非一様なヘリシティによる大規模流れの生成が確かめられる.この効果の興味深い応用例として,台風やサイクロンの生成・維持機構,太陽など構成内部の対流層での角運動量輸送機構などが示唆される.

  • 小山 省司
    2017 年 69 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 2017/01/01
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー

    レイノルズ平均流れの数値計算(RANS)では,ナビエ・ストークス方程式にレイノルズ平均を施し,出現したレイノルズ応力をモデル化してその支配方程式を閉じることにより平均量を求める.本研究では,このRANS のための乱流モデルを提案する.k-εモデルは一つの代表的な乱流モデルで,RANS において最も広く使われている.しかし,k-εモデルでは正確に予測できない複雑な流れ場に対して,レイノルズ応力をその輸送方程式を解くことで与える,応力方程式モデルを使うこともある.ただし,応力方程式モデルは,レイノルズ応力の6 成分を解くために計算時間がかかるという欠点を持ち合わせている.近年,吉澤により,応力方程式モデルから渦粘性係数の輸送方程式を抽出し,それを利用するモデルが提案された.本研究では,このモデルの簡明さと計算時間を節約できるというメリットを生かすことと,その適用範囲を広げるという目的で,吉澤モデルをブシネスク近似の下,浮力乱流に拡張する.そこでは,渦粘性係数と同様に,渦熱拡散率の輸送方程式を導入する方法でモデルの確立を目指している.

  • 稲垣 和寛, 半場 藤弘
    2017 年 69 巻 1 号 p. 21-24
    発行日: 2017/01/01
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー

    ヘリシティの効果は電磁流体力学においては重要視されているものの,中性流体の乱流モデルにおいてはあまり注視されてこなかった.近年の数値計算の結果は中性流体においてもヘリシティは重要な役割を果たしていることを示している.そこで本研究では乱流運動エネルギー方程式におけるヘリシティの効果を考察した.圧力拡散項に着目した結果,流体の回転運動とヘリシティによってエネルギーを空間的に輸送する項が導かれた.この効果は慣性波によるエネルギーの輸送と対応するものとなっていることが示唆された.

  • 金本 孝太, 半場 藤弘
    2017 年 69 巻 1 号 p. 25-29
    発行日: 2017/01/01
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー

    2 スケール直接相互作用近似を用いて物理的起源の不明なエネルギー散逸率の輸送方程式の消散項のモデリングについての考察を行った.消散項に対応する二つの項を粘性率を用いて摂動展開すると,それぞれの主要項が打ち消し合う必要がある.本研究ではその打ち消し合いを拘束条件として用いて,エネルギースペクトルの関数型を求めた.さらに応答関数を修正することによって,展開の次の項からモデル項が導かれる可能性を示した.

  • 北澤 大輔
    2017 年 69 巻 1 号 p. 31-34
    発行日: 2017/01/01
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー

    鹿児島県南部に位置する池田湖では,1982 年に開始された導水事業や近年の気候変動によって,底層水が貧酸素化している.そこで,池田湖の底層の貧酸素化を改善する一手法として,導水事業の取水を底層から行うことを提案し,流れ場-生態系結合数値モデルを用いた数値シミュレーションによってその効果を予測した.その結果,主に鉛直方向の移流促進により,水面下50m 以深の溶存酸素濃度の上昇が見られた.

研究解説
  • 片岡 和人, 池上 貴志, 占部 千由, 斉藤 哲夫, 宇田川 佑介, 荻本 和彦
    2017 年 69 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 2017/01/01
    公開日: 2017/01/27
    ジャーナル フリー

    再生可能エネルギー発電は天候に依存し出力が不確実に大きく変動する.そのため,今後の電力システムの運用計画や設備計画においては,再生可能エネルギー発電の出力変動特性を把握する必要がある.本研究では,このために行われるIntegration Study で使用するために,電力システムにおける風力発電の合計出力実績データを用いて,風力発電の短周期出力変動およびランプ変動の分析を行った.また,風力発電機の持つ出力変化率制限制御による短周期変動量の低減効果,今後想定される風力発電設備容量に基づいて算出した電力システムの一般発電機が供給する残余需要のランプ変動の分析を行った.

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