生産研究
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73 巻, 2 号
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特集 モビリティ:ポストコロナを見据えて
特集に際して
研究解説
  • 鹿野島 秀行, 伊藤 昌毅, 小野 晋太郎, 平岡 敏洋, 中野 公彦, 大口 敬, 須田 義大
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/30
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルス感染症の流行は社会のあらゆる分野に多大な影響をもたらしたが,モビリティの分野においてはその影響は如実で,大幅な交通需要減少,交通機関における感染症対策等の実施等,対応に追われた。一方,人々の生活や社会構造に起きた変化の一部,例えば各種活動のオンラインでの代替等,感染症流行後においても不可逆なものとして長期的に残存することが予想される。本稿では,かかる時代の変化を踏まえた今後のモビリティのあるべき姿,目指すべき方向性について論ずるものである。

  • 平岡 敏洋, 霜野 慧亮, 須田 義大, 小野 晋太郎, 内村 孝彦, 梅田 学
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 2 号 p. 93-99
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/30
    ジャーナル フリー

    自動運転はシェアリングサービスとの相性が良いとされてきたが,新型コロナウイルス感染症の流行を経験した社会では,利用者の心理的な抵抗が増えることが予想される.また,感染症対策として,密閉・密集・密接を避けるように行動変容することが求められた結果,人の移動量は減少し, BtoC の物流は大幅に増加した.本発表では,このようなポスト感染症時代において,自動運転技術が必要かつ有効であると思われる場面について検討するだけでなく,今後どのような新しい技術が期待されるのかなどの自動運転技術の将来展望について論じる.

  • カシモフ フィズリ, 鳥海 梓, 大口 敬
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/30
    ジャーナル フリー

    ドライバー挙動の制御は,信号交差点を設計するうえで最も重要な側面のひとつである.信号灯器位置は,安全性,円滑性,ドライバーの快適性それぞれの観点から,信号切り替わり時における発進や停止/通過の判断と動作に影響をもたらすと考えられる.そこで本稿では,アメリカ,日本,ロシア,イギリス,フランス,ドイツにおける典型的な信号灯器位置を対象に,異なる位置に設置された信号灯器の視認性や先行車がいる場合の阻害状況について比較した.その結果,交差点流入側であるNear-side に設置された信号灯器は,停止線近傍では視認しづらいため,発進時の円滑性が低下する可能性が示された.一方,交差点流出側であるFar-side に設置された信号灯器は,先行車によって遮蔽されやすいことがわかった.

  • 韓 天陽, 伊藤 昌毅, 白畑 健, 大口 敬
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/30
    ジャーナル フリー

    これまでも交通信号制御に強化学習を適用する事例は存在するが,古典的な強化学習の信号制御では,複雑な交通状態の違いを無視したモデルフリーな適用がほとんどである.交通予測の外生的な不確実性を考慮するとモデルフリー強化学習は現実に即しているとは言えない.そこで本提案では,強化学習の定式化に,これと独立な予測モジュールを取り入れる.すなわち,深層強化学習(DQN)による信号制御に待ち行列推定モデルを導入する.待ち行列推定モデルとしては,input-output 法と衝撃波理論法の2 つを用いる.実証分析を通して,単独交差点を対象に強化学習を用いた信号制御において予測を導入する意義を確認した.今後,適切なアルゴリズムを設計することが必要である.

  • カラ ジャヤ ヴェルシニ, 鳥海 梓, 陳 湘冬, 林 犀, 大口 敬
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 2 号 p. 113-118
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/30
    ジャーナル フリー

    協調型自動運転車(CAV)の普及導入段階のシナリオのひとつとして,高速道路上にCAV 専用車線を設置することが考えられている.このような専用車線の出口では,CAV は,隣接する通常車線の手動運転車の車間に合流しなければならないため,その設置箇所や構造は,合流挙動を左右する手動運転車の車間時間分布を考慮しながら慎重に設計する必要があるといえる.そこで本研究は,高速道路における手動運転車の車間時間分布に対する影響要因を分析し,これらに応じたCAV の合流可能性の変化を把握することを目的とする.阪神高速道路のZen Traffic Data を分析した結果,特に自由流状態においては,車間時間分布のうち,想定されるCAV の臨界車間時間より長い車間時間が占める割合が道路形状によって変化することが確認された.

  • 楊 晨, 林 犀, 陳 湘冬, 鳥海 梓, 李 萌
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/30
    ジャーナル フリー

    協調型自動運転車両を普及初期段階において安全かつ円滑に走行させるためのひとつの方策として,自動運転専用車線を設置し,専用車線とその他の通常車線の間の車線変更は,特定の区間でのみ許可することが想定される.このような区間における車線変更操作は複雑であり,検討の価値がある.本稿では,協調型自動運転車両が,許可された車線変更区間内で車線変更を完了するための動的な軌跡の計画方法を提案する.軌跡の計画プロセスは,周囲の他車両のリアルタイムな走行状態に基づき,安全性,快適性および効率性の間のトレードオフを考慮するものである.また,提案する方法の性能を,交通シミュレーションを用いて検証した.

  • 鳥海 梓
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 2 号 p. 125-130
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/30
    ジャーナル フリー

    わが国においては,都市機能や生活機能が集積する拠点間を交通ネットワークで繋ぐ「コンパクト+ネットワーク」な国土構造の実現が重要とされており,道路ネットワークの評価においても,今後は,拠点配置との関係の考慮が求められる.しかしながら,都市拠点がカバーする圏域の大きさや形状は,地勢や人口分布状況などによって大きく異なる.本稿では,GIS を用いて公共施設等の位置情報から都市拠点を抽出し,風配図を用いて各都市拠点がカバーすべき集落・住区の方位や距離の分布を可視化することで,このような地域による差異を把握するとともに,道路ネットワークを評価に必要な視点を考察する.

  • 張 ハンウェイ, 佐藤 祐大, 川崎 洋, 峯 恒憲, 小野 晋太郎
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/30
    ジャーナル フリー

    ビッグデータの時代から,車両のプローブデータを用いるデータマイニング研究が広くて注目されている.本研究では,プローブデータと天気情報を共に使って,データマイニング手法での急ブレーキ推定を行った.天気情報を獲得するため,ディープネットワークで,ドライブレコーダー動画から天気状況を推定できるモデルを学習した.更に,気象観測所から天気情報も収集し,比較実験を行った.実験結果によって,天気情報が含めたモデルは,プローブデータのみのモデルより精度が些少な向上があることを確認できた.

  • 大江 健斗, 楊 波, 杉町 敏之, 櫻井 俊彰, 槇 徹雄, 中野 公彦
    原稿種別: 研究解説
    2021 年 73 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2021/03/01
    公開日: 2021/03/30
    ジャーナル フリー

    車両接近通報装置は低速時の走行音が小さい電気自動車などの接近を歩行者に知らせるシステムである.このシステムは周辺環境や状況によっては歩行者に煩わしさなどを感じさせる原因となる可能性がある.そのため,安全性を確保しつつ周辺歩行者に対して受容性の高いシステムが求められる.本研究は深層学習を用いて情報提示が必要な歩行者を判断し,指向性スピーカーによって適切に情報提示を行う車両接近通報装置を考案し,実車実験によって安全性および受容性を評価した.実験の結果,考案した車両接近通報装置は安全性を確保しつつ,適切な歩行者に対してのみ情報提示できることを確認した.

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