生産研究
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最新号
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特集 事前防災・事前復興の重要性
特集に際して
研究速報
  • 森野 僚太, 川口 健一, 倉田 眞秀, 平澤 涼一郎, 田口 朝康, 丸山 喜照, 横山 眞一
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻4 号 p. 235-238
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    近年,木材を拘束材とする座屈拘束ブレース(以下,木質BRB)の開発研究が多く行われている.これらのほとんどは製品開発を目的とした個別の性能実験に留まり,木質BRB全般に共通する力学的知見の整理・蓄積についてはまだ十分に進んでいない.そこで本研究では,日本国内における木質BRBの既往研究を極力網羅的に取り上げ,木質BRBの力学的性状を定性的に整理した.特に,芯材と木材の間のクリアランスの有無が芯材の変形性状に鋭敏な影響を与えることや,めり込みや乾燥収縮といった木材固有の課題について,既往知見を整理・集約して提示した.

  • 川﨑 新世, 大原 美保, 栗林 大輔
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻4 号 p. 239-242
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    災害に対する強靭な地域社会の実現には, 事業所の事業継続力の向上と事前の備えが不可欠である. 平成30年(2018年)7月豪雨災害は, 西日本の広域に渡る浸水・土砂災害を引き起こし, 事業所の建屋・設備等の直接被害や, 停電, 断水や道路閉塞等による間接被害をもたらした. 本研究では, 本災害後に広島県・岡山県の事業所を対象として実施したアンケート調査結果をもとに, 事業所規模等に応じた生産活動と売上額の回復の推移について更なる分析を行い,多様な事業所に対する生産活動回復曲線の作成を行った.

調査報告
研究速報
調査報告
  • 相川 智彦, 森田 敏文, 池田 博久, 薄根 孝之, 長木 広峰, 花岡 桃可, 中野 仁詩, 沼田 宗純
    原稿種別: 調査報告
    2025 年77 巻4 号 p. 263-271
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    首都圏で震度6弱以上の地震が発生した場合,都心に向けて八方向に優先啓開ルートを設定し,郊外から一斉に進行する「八方向作戦」に基づく道路啓開計画が策定されている.首都高速道路はその中核を担い,発災後24時間以内に緊急車両の通行を確保することが使命である.そこで本研究では,首都圏での迅速な道路啓開を実現するための知見を得るために,2024年4月3日に発生した台湾花蓮地震における道路・橋梁被害と復旧状況を調査し,早期復旧の要因を分析した.その結果,旧橋の活用や仮設資材の迅速な利用,地元業者の即応体制など,柔軟な判断が交通機能の早期回復に寄与したことが分かった.

研究解説
  • ハッチャーソン ジョエル, 沼田 宗純
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻4 号 p. 273-278
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    本研究は,アメリカンスクール・イン・ジャパン(ASIJ)の災害対策の現状およびコミュニケーション体制を対象とし,生徒の防災意識,組織としての備えなどを調査した.本研究では,50名の高校生を対象とした量的アンケートデータと,危機管理およびコミュニケーションを担当する2名の教職員への質的インタビューを統合した混合的手法を採用した.調査結果によると,90%の生徒が自然災害リスクに対して中程度から高い意識を持っている一方で,66%がネットワーク障害時に信頼できる通信手段を持っていないことが明らかになった.さらに,44%の生徒がキャンパス内に少なくとも1か所の「安全でない場所」を挙げており,空間的な安全認識の格差が示された.また,質的分析の結果,ASIJは包括的な防災マニュアルを整備し,バス運転手への訓練体制も整備していることが確認された.しかし,一方で提案されている生徒向けモバイルアプリは,低年齢の生徒や公共交通機関を利用する生徒にとって十分に包摂的でないことが課題として示された.

国際シンポジウムの開催報告
  • Licht NAGAMORI, Idi Fazlul Bin Zainuddin, Ismail Bin Mahedin, Nurrul A ...
    原稿種別: 国際シンポジウムの開催報告
    2025 年77 巻4 号 p. 279-285
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    東京大学生産技術研究所附属 災害対策トレーニングセンター(DMTC)では,2025年8月からマレーシア政府関係者を対象とした6か月間の専門的な災害対策トレーニングプログラムを実施している. このプログラムは2025年8月に開始され,複数の省庁から選抜された19名の参加者が来日し,日本の災害対策に関する制度設計や実践的な取組を学んでいる. プログラムは,まずマレーシア国内での事前研修から始まり,2025年9月以降は日本での本研修へと展開し,講義,ワークショップ,現地視察などを組み合わせた構成となっている. 本稿は,その一環として開催されたシンポジウムの内容をまとめたものであり,マレーシアの防災戦略を共有するとともに,災害レジリエンス分野における両国の連携強化を目的として実施したものである.

研究解説
  • ―白浜町椿地区での実施事例―
    伊藤 嘉信, 中野 仁詩, 大塚 晴紀, 中村 元気, 花岡 桃可, 磯貝 勇輝, 上野 悠仁, 須川 絢加, 中尾 創, 前田 春樹, 吉 ...
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻4 号 p. 287-293
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    災害対策トレーニングセンターでは,南海トラフ巨大地震による孤立の可能性が高い和歌山県西牟婁郡白浜町椿地区を対象フィールドとして,2023年度から災害対策トレーニングプログラムを実施している.本稿では,2025年7月29日から30日にかけて実施された中高生向け研修「孤立集落サバイバル合宿 2025 at TSUBAKI」を主な対象として,避難所運営トレーニングプログラムの手法を検討する.避難行動から避難生活までの流れにおける対応能力を向上させるために,提供すべきコンテンツと求めるアウトプットを提案する.

特集 プロダクションテクノロジー研究
特集に際して
研究解説
研究速報
  • 任 宗偉, 後藤 愛実, 長田 哲, 方 正隆, 杉田 直彦
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻4 号 p. 301-304
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    歯車歯面における摩擦は,動力伝達系における主要なエネルギーロスの要因の一つである.近年,歯車の加工の高効率化を目的として,焼入れ後のハードホブ加工による仕上げが注目されている.ハードホブ加工による歯面には周期的な加工目が形成されるが,それが摩擦特性に及ぼす影響については十分に検討されていない.本研究では,歯車歯面の加工目を模擬した焼入れ後ローラ試験片を製作し,加工目の方向性および周期が摩擦係数に与える影響を実験的に評価した.加工目は,旋盤加工による一方向パターンと,5軸加工機によるボールエンドミル仕上げによる二方向パターンで形成した.摩擦試験の結果,一方向加工目では,うねりの高さが一定である条件下において,摩擦係数が最小となる最適なピッチが存在することを明らかにした.また,二方向加工目においても,加工目周期の組み合わせにより摩擦が低減される条件が存在することを確認した.本研究は,歯車加工プロセス設計や表面テクスチャリング技術の最適化に有用であり,動力伝達効率の向上や摩耗抑制に貢献する可能性を示している.

  • 陳 偉堃, 齋藤 理, 岡部 洋二
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻4 号 p. 305-308
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,広帯域レーザー超音波ガイド波を用いたハニカムサンドイッチパネル(HSP)内の浸水検出手法を提案した.具体的には,ガイド波の伝播速度が浸水により変化する現象に着目し,その逆数であるスローネスを指標として損傷領域を可視化する.まず,数値解析により,低周波と高周波の両方で浸水領域における位相速度の低下を確認した.そして,アルミニウム製HSPを用いた実験により,スローネス分布上で浸水位置を特定可能であることを示し,提案手法の実用性を検証した.

  • 徐 傳恒, 齋藤 理, 岡部 洋二
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻4 号 p. 309-313
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,光ファイバセンサを高温環境中での超音波センシングに適用可能にするため,耐熱性に優れた光ファイバ被覆の開発を試みた.まず,光ファイバにカーボンナノチューブ(CNT)フィルムを吸着させ,その外周に金めっきを施した結果,800℃で1時間加熱した後も,光ファイバは十分な強度と柔軟性を保つことができ,曲率半径9.5mm以下まで曲げても破断しなかった.さらに,CNT-金被覆を施したPSFBGセンサは,高温でも十分な反射光スペクトルを保ち,さらに,1.5MHzの超音波を受信することができていた.

  • 土屋 健介, 盧 毅申, 末永 陸照, 齋藤 清和
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻4 号 p. 315-320
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    小径工具や回転工具の長さ測定するための接触式工具長測定器を開発した.この工具長測定器は,小さな接触力を維持するためにシーソー構造と空気圧による押付機構から構成されている.シーソー構造体の先端にある接触プローブを工具に接触させ,レーザースケールを用いてシーソー構造体の動きを正確に測定することにより,工具長を測定する.開発した工具長測定器を評価するため,プローブ押し込み試験を実施し,0.1µmの分解能を確認した.また,精密加工試験では,開発した工具長測定器を用いた工具長調整によって,従来の調整方法より加工精度が向上することが確認できた.さらに,工作機械の動作特性をサブマイクロメートルレベルで計測できることも確認できた.

  • 易 雨詩, 古島 剛
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻4 号 p. 321-325
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    近年,医療・バイオ分野では,薬剤送達や細胞操作を目的とした先端径が極微細な金属製マイクロニードルの需要が高まっている.本研究では,超塑性変形の巨大延性による破断形態を利用した革新的なダイレス引抜き加工法を提案し,超微細先端形成技術の開発を目的としている.本加工では,引抜き速度によりテーパー形状を制御し,全長70 mm未満のニードルに対しては固定式水冷コイルにより形状安定化を図った.さらに,加熱温度および引抜加速度が先端外径に及ぼす影響を評価した.その結果,最適化条件下で先端外径50 μmのマイクロニードルの作製に成功し,シリコンゴムおよび魚卵への穿刺試験において優れた性能を示した.本手法は,金型干渉や寸法制御の課題を克服し,微細針状部材の高精度加工に有効であることが示された.

研究解説
  • 梶原 優介, 陳 偉彦, 王 鑠涵, 木村 文信
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻4 号 p. 327-332
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    本論文では,電磁誘導加熱を用いて炭素繊維強化熱可塑性プラスチック(CFRTP)と亜鉛めっき鋼を直接接合する新しい加工法について報告する.熱水処理によって亜鉛めっき鋼のめっき層に酸化亜鉛のナノ構造を創製し,電磁誘導加熱によって溶融させたCFRTPのマトリクス樹脂をナノ構造に浸透させることによって両者の強固な接合(引張せん断強度約40 MPa)を実現した.破断直前の断面の電子顕微鏡像を評価することによって,CFRTP内部の繊維と樹脂の間の亀裂発生・進展が破壊の主要因であることを特定した.加えて,信頼性と耐久性を評価するために熱サイクル試験を実施し,50サイクル後でも強度低下が5%以内に収まることが実証された.

研究速報
  • 中野 文哉, 鴨田 紀一, 熊谷 あやね, 阪本 真, 園部 莉菜子, 開元 宏樹, 檜垣 万里子, 山中 俊治
    原稿種別: 研究速報
    2025 年77 巻4 号 p. 333-336
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,研究者・エンジニア・デザイナーが協働するデザインプロセスを通して,セラミックスAMの利活用を模索した.短いサイクルでスケッチと試作を反復するアイディエーションでセラミックス及びAM技術への再解釈を深め,材料特性や形状と材料の組合せで生じる機能を再発見した.得られたアイデアは,展示作品として具現化して公開した.展示を通じて得られた多様な来場者の体験と反応からは潜在的なユーザーの視点や応用のヒントが得られ,協働による探索的プロセスがセラミックスAMの新たな価値創出に寄与することが示唆された.

その他
研究解説
  • Jang Taek-Soo, 北澤 大輔, 木下 健
    原稿種別: 研究解説
    2025 年77 巻4 号 p. 337-342
    発行日: 2025/11/01
    公開日: 2025/12/06
    ジャーナル フリー

    疑似パラメータ反復法(PIM: Pseudo-parameter Iteration Method)は,非線形微分方程式を高精度かつ数学的厳密さをもって解くために設計された半解析的な反復フレームワークである.PIMは人工的な疑似パラメータを導入することで特徴づけられ,非線形微分方程式を固定点反復に適した積分形式へと変換することを可能にする.本解説では,PIMの数学的基盤と構造的利点を紹介し,とりわけ波動シミュレーションにおいて位相の忠実性を保証する分散関係保持特性に焦点を当てる.また,収束制御と数値的柔軟性を高める二重疑似パラメータ構造の革新的な活用や,Serre-Green-Naghdi型やBoussinesq型の完全非線形波動問題への最近の適用事例についても検討する.さらに,PIMと人工知能との新たな融合にも注目する.AIは,収束の最適化,逆問題の推論,領域分割などに貢献しており,ハイブリッドな計算フレームワーク内で重要な役割を果たしている.PIMの物理的一貫性とAIの適応能力の統合は,科学および工学における複雑な非線形問題の解決に向けた有望な計算パラダイムを提供する.

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