異なった土壌型の上に生立するスギ人工林, スギ・ブナ・ミズナラ混交天然林およびススキ草原において, 大型土壌動物の個体数, 現存量およびその深さに伴なう変化と, これに関与する土壌の理化学的性質や根の量との関係を京都大学芦生演習林において調らべた.個体数, 現存量はスギ林で343,6.654g(湿重)/m^2,混交天然林で195,2.853g, ススキ草原で261,23.909gであった.個体数いいずれの植生下でも, 表層から深くなるにつれて急激に減少し, 現存量もスギ林を除いて, 深くなるにつれて減少することを示した.また, 大型土壌動物は40cm以下からは全く採集されなかった.これらのことから, 大型土壌動物の調査には, 夏の場合, 40〜50cmまで掘ることが必要であると思われる.大型土壌動物は主として表層に生息するものと, 土壌中, 深くに生息するものの2つに分けることができ, 深いところに生息するものは, 個体重50mg以上になる大きなもので, 自ら穴を堀り移動できるものであるが, その個体数は少なく, 表層に生息するものは30mg以下, とくに5mg以下の小さなものが多く, 土壌表層の孔隙を利用して生活しており, その個体数は多い.大型土壌動物の垂直分布と土壌の孔隙量, 有機物量(炭素含有率)や土壌中, 根の分布との関係は, 植生, 土壌型によって, 異なり一定の傾向を示さなかった.
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