日本生態学会誌
Online ISSN : 2424-127X
Print ISSN : 0021-5007
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56 巻 , 1 号
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宮地賞受賞者総説
  • 宮竹 貴久
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 1 号 p. 10-24
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    花の開花、珊瑚の配偶子放出、昆虫の交尾など、生殖活動を行うタイミングが決まっている生物は多い。集団間で繁殖するタイミングがずれると生殖隔離が生じる。本論では、生殖隔離において生物の時間的な側面がどのように関わっているのかについて議論する。多くの生物の行動や生理的な反応は、一定間隔で生じる事象、すなわちリズムを伴って生じる。生物リズムは、約1日に近い周期の長さを持つサーカディアンリズム、それよりも長いインフラディアンリズム(>24h)、それよりも短いウルトラディアンリズム(<24h)の3つに分けられる。野外で生殖隔離に生物の時間現象が関わっているとされる事例についてこの3つのリズムの分類に沿って紹介する。次に、近年急速にその理解が進んだ体内時計を司る分子遺伝的機構と異時的な生殖隔離(Allochronic reproductive isolation)の関わりに着目して研究されたショウジョウバエとミバエの研究事例を紹介する。とくに時計遺伝子の多面発現効果が、交尾時刻の変化を介した生殖隔離を引き起こしうる可能性についてウリミバエを用いたモデル研究について解説する。最後に、アロクロニックな生殖隔離の研究における今後の問題点について議論する。時計遺伝子と種分化の関係という新しい研究領域が開かれつつある。
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  • 浅見 崇比呂
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 1 号 p. 25-27
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
総説
  • 清水 健太郎
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 1 号 p. 28-43
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    DNAの遺伝情報を生態学研究に活用する分野として、分子生態学が発展してきた。しかしながら、これまで使われたDNA情報としては、親子判定や系統解析のためのマーカーとしての利用が主であり、遺伝子機能の解明は焦点になっていなかった。ゲノム学の発展により、これまで生態学や進化学の中心命題の1つであった適応進化を、遺伝子機能の視点で研究しようという分野が形成されつつある。これを進化生態機能ゲノム学Evolutionary and ecological functional genomics、または短縮して進化ゲノム学Evolutionary genomicsと呼ぶ。進化ゲノム学は、生態学的表現型を司る遺伝子を単離し、DNA配列の個体間の変異を解析することにより、その遺伝子に働いた自然選択を研究する。これにより、野外で研究を行う生態学・進化学と、実験室の分子遺伝学・生化学を統合して、総合的な視点で生物の適応が調べられるようになった。本稿では、モデル植物シロイヌナズナArabidopsis thalianaの自殖性の適応進化、開花時期の地理的クライン、病原抵抗性と適応度のトレードオフなどの例を中心に、進化ゲノム学の発展と展望について述べる。
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特集 軍拡競走理論と検証
  • 佐々木 顕
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 1 号 p. 44-45
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
  • 東樹 宏和, 曽田 貞滋
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 1 号 p. 46-52
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    軍拡競走による急速な形質進化は、集団間の適応的分化を促進する。近年、「共進化の地理モザイク」を扱った理論・実証研究により、同じ種と種の組み合わせであっても相互作用の進化・生態学的な動態が地理的な変異を示すことが明らかにされつつある。本稿では、著者らが取り組んでいるヤブツバキ(Camellia japonica)とツバキシギゾウムシ(Curculio camelliae]の作用系を例にとり、種間相互作用に起因する自然選択がいかにして集団間で変異し、形質の適応分化を促すのか、その要因を考察する。
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  • 佐々木 顕
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 1 号 p. 53-62
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    ショウジョウバエにはコマエバチ科の寄生蜂に対して、包囲作用による抵抗性を持つ系統がある。この抵抗性には遺伝的変異があり、抵抗性の低いショウジョウバエ系統を寄生蜂存在下で継代飼育すると、わずか数世代で抵抗性(寄生蜂卵に対する包囲作用で寄生を阻止する確率)は急上昇する。本稿ではこのような寄主抵抗性と捕食寄生者の毒性(ビルレンス)の共進化理論を紹介する。寄主と捕食寄生者の個体数変動はニコルソン・ベイリー型動態に従い、それぞれの集団は抵抗性の程度とビルレンスの程度の異なる多数の無性生殖クローンからなるとする。また抵抗性や毒性への投資にコストを仮定する。この共進化モデルから二つの重要な結果が導かれる。第一に、抵抗性のコストが毒性のコストと比較して大きいとき、捕食寄生者は有限の毒性を維持するのに、抵抗性に全く投資しな、寄主が進化する。このとき寄主にとって寄生のリスクよりも抵抗性のコストの方が重いのである。この結果に該当するかもしれない実例をいくつか報告する。第二の結論として、上記を除く広いパラメータ領域において、寄主の抵抗性と捕食寄生者の毒性の軍拡競走が起きることが分かった。抵抗性と毒性はお互いに進化的に上昇し、寄主の抵抗性がコストに耐えかねるほど大きくなり、ついに寄主が抵抗性を破棄する(抵抗性最小の寄主遺伝子型が侵入して置き換わる)まで続く。寄主の抵抗性放棄につづいて捕食寄生者の毒性も低下し、系は共進化サイクルの出発点に戻る。この共進化サイクルは報告されている抵抗性と毒性に関する高い相加遺伝分散の維持を説明するかもしれない。また、共進化サイクルによる寄生リスクの分散は個体群動態の安定性にも寄与する。
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  • 津田 みどり
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 1 号 p. 63-72
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    穿孔性の昆虫やゴール形成者のように餌とレフュージを兼ねる植物組織(資源)内で寄生を免れる生物を対象として、寄主の穿孔力と寄生蜂の産卵管長の間で展開される軍拡競走の様相をニコルソン・ベイリー型モデルで予測した。モデルの特徴は、軍拡競走形質との間にトレードオフのある形質(内的増加率)だけでなく、相乗効果を発揮する形質(種内乗っ取り競争、寄生回避)もあることや、種子やゴールなどの資源のサイズ(寄主の密度依存的競争に影響する)を考慮した点である。これまではあまり注目されてこなかったカオティツクな挙動にも注目した。軍拡競走形質と相乗効果を持つ形質の助けもあり、穿孔が深いタイプと産卵管が長いタイプがそれぞれ寄主と寄生蜂の集団を席巻しやすく、穿孔深度と産卵管長の最終的な集団平均値を高くした。しかし1.資源が大きい、2.穿孔(競争)のコストが高い、3.寄生蜂が不在または低密度、のいずれかのときには、穿孔が浅い寄主タイプが集団に残るため、穿孔深度の集団平均値がやや小さくなった。穿孔が深く競争に強い寄主タイプおよび産卵管の長い寄生蜂タイプのみの集団になった場合には、カオスや擬周期など不安定になりやすかった。これらの大まかな傾向は、寄生蜂の産卵管長に伴う種内競争での優劣の仮定にかかわらず見られた。産卵管長と種内乗っ取り競争の間に相乗効果があるときには、資源が大きいときに寄生蜂が絶滅しやすくなり、続いて寄生を免れる必要がなくなった寄主集団では、穿孔コストにより穿孔も浅くなった。反対に、産卵管長と種内乗っ取り競争の間にトレードオフがあるときには、資源サイズが大きいときでも寄主と共存し、軍拡競走によって寄主は穿孔が深く寄生蜂は産卵管が長くなった。寄主-寄生蜂系における軍拡競走が個体群動態と平行して、他形質とのトレードオフだけでなく資源サイズに大きく左右されることが示された。
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  • 佐々木 顕
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 1 号 p. 73-77
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    本特集をまとめるにあたり、軍拡競走の理論と検証の統合を目指す研究のモデルケースになると考えられる3つの例を論じることにする。第一の例は、本特集でとりあげたSasaki-Godfrayモデルのきっかけになったショウジョウバエ抵抗性と寄生蜂ビルレンスの軍拡競走に関する飼育実験、第二は本特集および第52回生態学会のシンポジウムを組織する理由となった東樹と曽田によるヤブツバキとツバキシギゾウムシの防御・攻撃形質の軍拡競走の野外研究と津田によるマメゾウムシの穿孔深度と寄生蜂の産卵管長の共進化に関する理論的研究、そして最後にバクテリアの抵抗性とその溶菌性フアージ病原性軍拡競走に関するBucklingの共培養進化実験についてである。
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学術情報
連載1 えころじすと@世界(3)
連載2 野外研究サイトから(3)
連載3 博物館と生態学(1)
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