日本生態学会誌
検索
OR
閲覧
検索
56 巻 , 2 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
宮地賞受賞者総説
  • 鎌田 直人
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 106-119
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    ブナアオシャチホコ(以下、本種)はブナ林で大発生し、ブナの葉を食いつくす葉食性昆虫である。大発生しない場所も含め、本種は、地域間で同調しながら8-11年の周期をもった個体数変動を示すとともに、同じ周期をもって日本のどこかで大発生をひきおこしている。このような地域間で同調する周期的な密度変動をもたらすメカニズムにどのような生物的要因や気候要因が関与しているのか、長い周期を引き起こすメカニズムのひとつである「時間の遅れを持つ密度依存性」を考慮して、その具体的な過程を検証した。本種の密度が増加すると、鳥類の餌に占める本種の割合が増加する機能の反応が認められるが、鳥類の密度は変化しないため、さらに高密度になると捕食率は逆に低下する。甲虫の捕食者であるクロカタビロオサムシは、高い繁殖能力と速い発育、飛翔による成虫の移動による数の反応が起こり、密度依存的な死亡要因として働く。しかし、密度の減少過程における時間の遅れは認められない。ブナの葉の質の空間的異質性も大発生と密度変動に関係している。陽葉は餌としての質が悪く、低密度時にはほとんど食べられない。しかし、大発生すると陽葉まで食べなければならないため、大発生の際には密度を引き下げる要因として働く。また、ブナが強い食害を受けると、翌年の葉に誘導防御反応が起こり、本種の死亡率を高め、体サイズを小型化させる。しかし、強い食害を受けないと誘導防御反応は起こらないため、大発生せずに密度が減少する場合には働かない。昆虫病原菌であるサナギタケは、大発生時だけでなく、大発生せずに密度が減少に転じる際にも、時間遅れの密度依存的な死亡要因として働くため、本種の周期的な密度変動を引き起こしている要因と考えられる。感染の翌年に子実体が発生して土中の菌密度を高めることと、昆虫に対する感染が起こらなくても土壌微生物として個体群を維持できることが、サナギタケによる死亡に時間の遅れを作り出す機構である。本種の大発生には場所依存性が認められる。特定の標高で大発生する機構としては、「多様性=安定性仮説」や「資源集中仮説」のほかに、養分循環に関係したブナの葉の質も原因のひとつと考えられる。また、西南暖地で大発生の頻度が少ない理由としては、ブナ林の垂直分布や降水量が関係しているものと推測される。
    抄録全体を表示
  • 前藤 薫
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 120-121
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
  • 肘井 直樹
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 122-124
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
総説
  • 宮本 康
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 125-133
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    植物を介した植食者間の間接効果の普遍的特長を、3種系の相互作用を対象としてメタ解析を用いて検証した。室内実験・野外実験・野外調査により間接効果を植食者の密度変化として評価した44例を対象に(1)間接効果の符合と強度の特徴、(2)研究期間に応じた間接効果の強度の変化、(3)間接効果と直接効果の相対強度、の3点を検証した。解析の結果、(1)植物の変化を介した植食者間の間接効果は3つの植物の変化様式(量・質・すみかの変化)の間で強度に違いがない反面、符合(正・負)には違いがあることが明らかになった。植物の量の変化を介した間接効果はマイナスの効果に、植物上のすみかの変化を介した間接効果はプラスの効果に偏り、さらに、植物の質の変化を介した間接効果はプラスとマイナスの効果が均等に生じていた。また(2)事例数の多い「植物の質の変化を介した間接効果」に注目した場合、その強度は実験期間の長期化に応じて減衰しないことが示された。さらに、(3)植物の質の変化を介した間接効果では、その強度は直接効果に較べて大きいことが示唆された。特に(1)と(3)の特徴は栄養カスケードに代表される他の間接効果とは対照的なことから、植物を介した植食者間の間接効果のみの特徴である可能性が考えられる。
    抄録全体を表示
  • 田中 健太, 北本 尚子, 島谷 健一郎, 後藤 晋
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 134-144
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    マイクロサテライトなどの多型性の高い遺伝マーカーが登場することによって、植物個体群の花粉散布パターンを詳細に調べることが可能になった。花粉散布パターンの測定は今日、森林断片化の影響、異なる送粉者の効率、野外における近交弱勢、雄性繁殖成功を高めるための繁殖戦略など、様々な研究で応用されている。本総説では、遺伝マーカーが果たしてきた役割をこれらの研究主題毎に整理するとともに、その長所・短所および今後の課題を、生態学的研究手法と比較しながら考察した。
    抄録全体を表示
特集 環境教育「生態学会と初等中等教育の連携をめざして」
  • 広瀬 祐司
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 145-148
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
  • 古本 大
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 149-157
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    高校生物のカリキュラム的な制約と時間的な制約によって、野外調査を行うことはなかなかできないのが実状である。その中で、本校独自のカリキュラムとして高校生物の授業や宿題の中で、校内の樹木観察や磯採集などを行っている。これらの課題により、生徒たちは抽象的な生物というものではなく、個々の種を知ることの大切さを初めて認識するようになった。また生物部の短期的な活動として、生物の採集を合宿先や日帰りで行ける海、山、川などいろいろな場所で行い、持ち帰って飼育している。採集・飼育によって、生徒はその生物の分布や生活環境について考えるようになった。長期にわたる研究としてはセミの抜け殻調査や幼虫の羽化の研究、成虫の再捕獲調査など多岐にわたる調査を1995年以降、毎年夏に行ってきた。セミの研究については毎年、大阪府高等学校生徒生物研究発表会で発表させるとともに、数年分をまとめて学生科学賞に応募してきた。賞への応募は研究内容を深めることや、生徒の目的意識を高める効果があった。これらの実践により、生徒は種の多様性や自然環境の大切さを感じるようになっていったようだ。
    抄録全体を表示
  • 布谷 知夫
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 158-165
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    環境教育を実施する際には、「環境」自体が非常に複雑であり、またその環境と人間との関わりが課題となるために、まずその対象とする自然環境の多様さ、そして自然環境に依存する人の暮らしや認識の多様さを理解することが大切である。また環境についての認識が個々人の経験に依存して多様であるため、環境教育については一般的な知識を伝え、映像を見せることだけでは不十分である。特に子どもを対象とした環境教育では、その生活の場にある実物の自然を観察することから始めるのがふさわしい。まず実物の体験をすることで、後に学ぶ知識の意味が理解できるからである。したがって自分が住む地域の中の自然や人の暮らし、先人の地域作りの努力などについての学習を通して、その地域の良さに気づき、その地域の将来について考えるようになることを、環境教育の最初の目的とすべきである。そのような立場で行われる自然観察会の例や、学校と地域と博物館の三者が協同して行った、子どもたちによる地域の博物館づくりの例を紹介した。
    抄録全体を表示
  • 中田 兼介, 藪田 慎司
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 166-173
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    自然教育の目的の一つは、子供たちに自分の身の回りの自然を好きになってもらう事である。動物の行動は人間の行動と機能的、外形的に共通する部分が多く、子供たちを自然の中で振る舞う動物を観察するよう導く事は、自然への親近感・共感を引きだす事に通じ、自然教育の目的に適うものである。そして、動画資料を使用する事で自然教育における行動観察の効果がより高められるだろう。動画を事前学習で使えば、子供たちの観察に対するモチベーションやセンスを高める事ができる。自然観察の最中では、人の目ではなかなか見る事のできない現象を見せる事ができる。そして動画撮影を行なう事を目的とする事で、観察会を一過性のイベントに終わらせる事なく、後の議論や成果発表に繋げて行く事ができる。一方、動物を扱うフィールド生物学者はしばしば研究対象を動画に撮影する。このような動画資料を研究者が持ちより、広く利用できるように公開すれば、自然教育の現場を支援すると言う意味で重要な貢献になるだろう。筆者たちを含む有志のグループは、このように考え2003年からインターネット上で「動物行動の映像データベース」(http://www.momo-p.com)というウェブサイトを立ち上げて運営している。このサイトには研究者と教育関係者を含む一般の利用者とを繋ぐ様々な機能が用意されており、研究者は特に教育関係者の事を考慮せずとも、自ら所有する動画資料をインターネットに接続されたコンピュータから登録するだけでよいのである。
    抄録全体を表示
  • 広瀬 祐司, 布谷 知夫
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 174-180
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    本特集の寄稿者が掲げる環境教育の目標は、「豊かな」自然とその「恵み」を享受する主体として人の心を強く認識している。それは人の心に訴えかけて、自分の暮らす地域とその自然環境を「好きになること」、「大切にすること」、そしてそこに住む他者に共感を覚えることである。そのための手段として、環境を論理的に解釈するだけでなく、環境と親密になり共感を覚える多種多様な手法・文化を排除しないという方向性が示されている。環境教育を進める上では制度やプログラムなどの大切さとともに、人と人とのコミュニケーションの問題が重要な課題となっている。筆者らは研究者がアイデアとデータ収集の方法を提案し理論的な基盤を用意する、博物館の学芸員が仲介・組織し、教員と地域の民間団体が組織的に活動する、このように互いの特性を生かした連携が望ましいと考える。教員にとっては、博物館を利用する中で多くの人々と出会い、最新の自然の情報、研究成果を手に入れることができる。現在、市民や学校の教員・生徒を巻きこんだ調査が博物館の支援で多数実施されている。調査結果は学術誌に掲載されることはほとんどないが、このような野外調査の成果を学術論文として発表できなくとも、環境教育において無意味であるとは考えられない。生態学の普及・教育に関する貢献として評価し、推進してゆくべきではなかろうか。むしろ生態学会としては、学術的な問題点を明らかにして、それをどのように改善可能なのかを、学術研究の専門家が助言できるような連携の構築が望ましい。そのためには教員、博物館学芸員、生態学研究者、地域の自然をよく知る人が日常的に互いの立場を尊重しながら連絡体制を持つことが必要である。連絡の窓口をどこに設置するのかについては、博物館・大学・教育委員会・ウェブ上と様々な選択肢があるが、日本生物教育会の都道府県支部や各地区ブロックとの連携には博物館を拠点とした体制が好適であろう。
    抄録全体を表示
学術情報
  • 久保 拓弥, 粕谷 英一
    原稿種別: 本文
    56 巻 (2006) 2 号 p. 181-190
    公開日: 2016/09/06
    ジャーナル フリー
    生態学のデータ解析で一般化線形モデル(generalized linear model; GLM)が普及していくにつれ「GLMだけでは説明がむずかしい現象」にも注目が集まりつつある。たとえば「過分散」(overdispersion)はわれわれがあつかう観測データによくあらわれるパターンであり、これは「あり・なし」データやカウントデータのばらつきがGLMで解析できなくなるほど大きくなることだ。この過分散の原因のひとつは個体差・ブロック差といった「直接は観測されてないがばらつきを増大させる効果」(random effects)である。この解説記事ではこのrandom effectsも組みこんだ一般化線形混合モデル(generalized linear mixed model; GLMM)で架空データを解析しながら個体差・ブロック差を考慮したモデリングについて説明する。
    抄録全体を表示
記事 シンポジウムレポート「日本生態学会のめざすところ―純粋科学、基礎科学、応用科学のはざまで」
連載1 えころじすと@世界(4)
連載2 野外研究サイトから(4)
連載3 博物館と生態学(2)
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top