日本生態学会誌
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58 巻 , 2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
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宮地賞受賞者総説
  • 鏡味 麻衣子
    原稿種別: 本文
    58 巻 (2008) 2 号 p. 71-80
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    食物網動態を解析する上で、寄生者はその小ささから無視される傾向にある。しかし、湖沼の食物網において、植物プランクトンに寄生するツボカビは重要な役割を果たす事が明らかになってきた。分子生物学の発展と培養系の確立によって、これまで困難であったツボカビの種多様性や遺伝的多様性の解析、ツボカビ症の蔓延機構の解明、寄生寄生者間の共進化関係の検証など、生態学的研究の可能性も広がっている。本稿では、ツボカビについて、その系統関係、生活史、観察・培養方法、植物プランクトン-ツボカビ関係、および食物網の中での位置づけについて紹介する。植物プランクトンの多くの種がツボカビに感染する。ツボカビは真菌類の中で最も祖先的な位置を占め、遊走子を作ることが共通の特徴である。遊走子は寄主を見つけると細胞表面に付き、寄主細胞から栄養を吸収し、胞子体となる。胞子体が成長すると新しい遊走子を水中へ放出する。ツボカビの寄生特異性は高く、特定の植物プランクトン種の個体群密度を短期間で減衰させるため、植物プランクトンの季節遷移を制御する重要な要因である。ツボカビ症の蔓延は、ツボカビが植物プランクトンよりも早く増殖した場合にのみ起こる。その環境条件については未だ統一見解はなく、植物プランクトンの成長にとって悪い環境条件で蔓延する場合もあれば、好適な条件で蔓延する場合もある。植物プランクトンは様々な手段でツボカビから防御しており、化学的防御や感染した場合にあえて早死にする過敏感反応、遺伝的多様性の維持などが知られている。ツボカビ遊走子は、その細胞サイズと含有栄養素(不飽和脂肪酸やコレステロール)から、動物プランクトンによって良い餌であることが明らかになった。動物プランクトンはツボカビを捕食する事で成長に不可欠な栄養素を獲得し、成長が促進される。大型の植物プランクトン(>50μm)は、動物プランクトンには食べられにくく湖の底へ沈降すると考えられてきたが、ツボカビに寄生された場合、そのツボカビの一部(遊走子)が動物プランクトンに捕食されるため、ツボカビを介して食物網に組み込まれることが明らかになった。すなわち、ツボカビは湖沼食物網の中で、利用されにくい大型植物プランクトンを食物網に介入させ、植物から動物への物質転換効率を上げる役割を担っていると捉えることができる。ツボカビを介した物質経路マイコループの存在が新たに解明された。
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  • 渡辺 泰徳
    原稿種別: 本文
    58 巻 (2008) 2 号 p. 81-83
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
  • 中野 伸一
    原稿種別: 本文
    58 巻 (2008) 2 号 p. 83-85
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
総説
  • 大園 享司
    原稿種別: 本文
    58 巻 (2008) 2 号 p. 87-101
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    カナダで実施されたリター分解の地域間比較プロジェクト(Canadian Intersite Decomposition Experiment、以下CIDET)の概要とこれまでの成果を紹介する。CIDETでは、(1)カナダのさまざまな地域で採取された針葉樹や落葉広葉樹の葉など、のべ37リタータイプの実験材料について、元素分析、有機物組成の近似分析とともに、固体^<13>C核磁気共鳴光度計(solid state 13C NMR spectroscopy)による詳しい化学性の測定がなされた。(2)カナダの主要な生態気候区に含まれる21サイト(森林18サイト、湿地3サイト)において、11リタータイプ(葉10タイプ:アメリカネズコThuja plicata、アメリカブナFagus grandifolia、アメリカカラマツLarix laricina、ダグラスモミPseudotsuga menziesii、バンクスマツPinus banksiana、アメリカヤマナラシPopulus tremuloides、クロトウヒPicea mariana、アメリカシラカンパBetula papyrifera、ワラビPteridium aquilinum、ウシノケグサ属草本Festuca hallii、1タイプ:アメリカツガTsuga heterophylla)の長期的な分解過程がリターバッグ法により調べられた。実験対象となった21サイトの年平均気温は-9.8〜9.3℃、年降水量は266〜1,783mmの範囲にある。これまでに6年間の分解にともなうリター重量残存率の変化と窒素・リンの動態についての結果が報告されている。これらの結果に基づいて、気候変数とリター化学性変数から分解速度や窒素動態を予測する経験的な重回帰モデルと、Forest Litter Decomposition Model (FLDM)とよばれる数学モデルが提案されている。
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特集 エンドユーザからみたDNA バーコーディング
  • 長谷川 雅美, 梨本 真, 松木 吏弓, 伊藤 元己
    原稿種別: 本文
    58 巻 (2008) 2 号 p. 103-
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
  • 松木 吏弓, 阿部 聖哉, 島野 光司, 竹内 亨, 梨本 真
    原稿種別: 本文
    58 巻 (2008) 2 号 p. 105-112
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    植食性動物の食性解析は、肉眼や顕微鏡下の観察による消化管や糞の内容物分析が一般的であるが、咀嚼や消化で形状が大きく変化するため、餌種の判別は非常に困難である。そこで、糞内容物のDNA分析から餌植物を同定・推定する方法について検討を行った。まず、亜高山帯から山地帯にかけて生育している植物700種を採集し、rbcL遺伝子の一部領域(262 bp)の塩基配列を決定し、DNAデータベースを作成した。DNA配列の比較から、364種の同定と112種の近縁種の推定が可能であることが示された。このデータベースを用い、ノウサギ糞のDNAからrbcL遺伝子の解析領域をPCRで増幅し、餌植物の推定を試みた。検出されたDNAはすべてデータベース内のDNAと一致し、植物種を推定することができた。同様に、カモシカやヤマドリ、バッタの糞から抽出したDNAからも植物種を推定することができたことから、本方法は植物食の動物の糞から針植物推定に汎用的に利用できると考えられた。構築したrbcL遺伝子のデータベースは糞DNAによる食性解析を目的としたため、解析領域の短いDNA配列だけでは種の分類や同定をする上ではやや解像度が劣っていた。近年、DNA配列を用いた生物種の同定に関して、DNAバーコーディングプロジェクトが進められており、植物では葉緑体DNAのtrnH-psbAスペーサー領域が候補の一つとして提案されている。そこで、本研究で収集した植物を用いて、trnH-psbAについても塩基配列を決定し、検討を行った。国内に生育している植物816種についてtrnH-psbAの配列を決定し、比較したところ、約8割の641種は単独の配列として識別でき、rbcLと比べより種判定の解像度が高いことが確認できた。しかし、解析領域の長さは種によって大きく異なり、10倍以上の差が認められること、難読配列があること、この配列からはすべての植物種を同定することはできないことなど、DNAバーコーディングの標的として課題もあることが示された。DNAバーコーディングでは、分類学、生態学、法科学、考古学、自然教育など様々な分野での活用が期待されているが、植物ではこれらすべてを満たす理想的な配列はないため、目的や用途に応じてDNA配列を選定あるいは組み合わせていく必要があると考える。
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  • 松村 清隆, 佐藤 加奈, 野方 靖行, 坂口 勇
    原稿種別: 本文
    58 巻 (2008) 2 号 p. 113-121
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    海洋に生息する生物の多くはその生活史のなかで大きく形態や行動、生息域を変化させる。さらに生活史の詳細がわかっていない海洋生物も多く、特に顕微鏡観察が必要なサイズのプランクトン幼生期をもつものでは、その形態から種を判別するのは困難である。DNAバーコーディングは、こういった海洋プランクトンの種判定に非常に有効な手法である。我々は発電所などの冷却水路系に侵入しその壁面に付着する代表的汚損生物であるアカフジツボMegabalanus rosaの付着時期を予測するためにフジツボ幼生の種判定技術の開発を行なった。ミトコンドリアDNA上の12S rRNA遺伝子領域の塩基配列を比較することで、日本沿岸に生息する主なフジツボの種判定が可能となり、さらにPCR-RFLPにより主要汚損種であるアカフジツボの幼生を検出する技術を開発した。また、野外採集混合プランクトンサンプルからリアルタイムPCRによってアカフジツボ幼生を定量的に検出することが可能になった。このような海洋プランクトン、海産無脊椎動物幼生のDNA情報による種判定や系群解析は、海洋生態系や生物進化に関する研究の手段としてだけでなく、水産資源調査や海洋環境調査の強力なツールとなってきている。今後目的に合った多様なDNAデータベースが構築され、正確でより簡便な検出、定量の技術が開発されることで、海洋プランクトンにおけるDNAバーコーディングの利用分野はもっと広がっていくと考えられる。
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  • 神保 宇嗣, 吉武 啓, 伊藤 元己
    原稿種別: 本文
    58 巻 (2008) 2 号 p. 123-130
    公開日: 2016/09/17
    ジャーナル フリー
    DNAバーコーディングによる同定法では、形態や生態のかわりに、同定したいサンプルのDNAバーコードと専門家が同定した証拠標本のそれとを比較し、最も類似するバーコードを持つ種を同定結果とする。この手法には、網羅的なバーコードデータベースとオンライン検索システムから構成される同定支援システムが必要であり、Barcode of LifeプロジェクトではこれらはBarcode of Life Data Systemsとしてオンライン公開されている。我が国ではこの手法に対する関心はまだ高くなく、研究基盤を確立するには研究者や利用者側からの活動の集約が不可欠である。そこで著者らはDNAバーコードに関する活動拠点として「日本バーコードオブライフ・イニシアティブ(JBOLI)」を昨年設立した。この組織は、本手法に関する啓蒙普及と活動支援を目的して、国内向けに情報発信・関連組織との調整・データベース整備・同定支援システム作成を行っている。DNAバーコーディングに基づく同定には明白な限界も存在するので、より正確な同定には各生物種の様々な情報も活用する必要がある。現在、世界的な種情報データベースプロジェクトが立ち上げられている。種情報の集積が進めば、DNAバーコードによる同定支援システムで候補種を絞り込み、その結果をもとに種情報データベースを検索することで、種情報への容易なアクセスと正確な同定が可能になる。
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学術情報
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連載2 博物館と生態学(7)
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