日本生態学会誌
Online ISSN : 2424-127X
Print ISSN : 0021-5007
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59 巻 , 1 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
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原著
  • 白水 由季, 島野 光司
    原稿種別: 本文
    59 巻 (2009) 1 号 p. 1-12
    公開日: 2016/10/08
    ジャーナル フリー
    希少種であるカワラニガナやツメレンゲが生育し、比較的自然度が高い長野県松本市を流れる梓川の礫河原で、植生と環境要因との関連を明らかにし、希少種の保全や、在来植生にとって必要な環境について考察した。また、同じ扇状地でも砂が多く堆積する立地を持つ千曲川でも調査を行い、礫河川と砂河川で植生の違いも考察した。礫河川の梓川では、テリハノイバラ、カワラハハコなど礫地に出現する種が確認された一方、砂河川の千曲川では、クサヨシ、オギなど低湿地に出現する種や、カヤツリグサやスベリヒユなどの畑地の1年生草本が多く確認された。種組成によって梓川と千曲川の立地を序列化したDCA結果、第1軸の値が高くなるほど、有意に水際からの距離、水面からの比高が減少し、砂礫の粒径が小さくなり、1、2年生草本が増え、木本や被度による帰化率は減るなど植生が変化する傾向が示された。河川植生には、水際からの距離、水面からの比高などで表される撹乱頻度の違い、また、立地の水分環境に影響を与える粒径の違いなど、複数の環境要因が複合的に影響を与えていると考えられる。河川における多様な種組成は、多様な生育立地から生じていることが明らかになった。
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大島賞受賞者総説
総説
  • 原山 尚徳, 上村 章, 石田 厚
    原稿種別: 本文
    59 巻 (2009) 1 号 p. 29-38
    公開日: 2016/10/08
    ジャーナル フリー
    植物体の通水性は葉のガス交換に影響を及ぼす重要な要因の一つである。植物体内の通水経路は、根・茎・葉に大別される。近年、葉の通水性が葉のガス交換特性を決める重要な生理生態特性として注目を集めるようになってきている。しかしながら、日本では葉の通水性の測定はまだ一般的ではない。本稿では、葉の通水コンダクタンスを測定する代表的な方法の一つである減圧チャンバー法(vacuum chamber method)について、その測定原理や測定方法を説明し、実測例を交えながら方法のレビューを行う。この方法は、葉の通水性を測定する他の方法に比べて若干測定に時間を要するが、比較的簡単に信頼性の高いデータを得ることが出来る。また、キャビテーションを生じている葉の測定にも向いている。本稿によって、今後日本で葉の通水性のデータが蓄積され、この分野が飛躍的に発展することが期待される。
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特集 根系の水と養分吸収の生理生態
  • 齋藤 隆実, 宮沢 良行
    原稿種別: 本文
    59 巻 (2009) 1 号 p. 39-41
    公開日: 2016/10/08
    ジャーナル フリー
  • 村井(羽田野) 麻理, 櫻井 淳子, 桑形 恒男
    原稿種別: 本文
    59 巻 (2009) 1 号 p. 43-54
    公開日: 2016/10/08
    ジャーナル フリー
    植物は、土壌中から多量の水分を根の表面で吸収し、維管束を経由してその一部を成長や各種成分の輸送に利用しつつ、大部分を葉の気孔から蒸散させている。地下部から地上部へ向かう水の流れは大気からの蒸散要求によって駆動されているが、流れの速さは気孔開度または植物体内の水透過性によって大きく変化する。アクアポリンの発見を契機に、植物体内の水透過性が地上部または地下部の条件に応じてダイナミックに変化することが再認識されており、特に根の水透過性の変化とアクアポリンとの関係については、多くの知見が集積しつつある。そこで本稿では、(1)根の水透過性を変動させる様々な要因、(2)根の水透過性の変化が地上部に及ぼす影響、(3)根内部の水経路、(4)細胞レベルでの水透過、(5)アクアポリン、(6)根での水吸収に必要なコストなどについて、地上部と地下部の結びつきを意識しながらこれまでに得られている知見を紹介したい。
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  • 別宮(坂田) 有紀子, 坂田 剛
    原稿種別: 本文
    59 巻 (2009) 1 号 p. 55-63
    公開日: 2016/10/08
    ジャーナル フリー
    根の呼吸は通常、温度と強い相関を示すことが知られている。ところが、野外で根が樹木本体につながった状態でヒノキとミズナラの個根の呼吸速度を測定した結果、日中に温度が低下していないにもかかわらず、呼吸速度が一時的に低下する現象が観測された。他の樹種でも温度に依存しない根の呼吸の一時的な低下や変動が同様に観測されていることから、温度に依存しない根の呼吸の日中変動が常緑・落葉に関わらず木本種で広範におこっている可能性がある。この根の呼吸の日中変動が葉の蒸散速度の変化と関係している可能性について筆者らの研究をもとに論じながら、植物の根と葉の結びつきを考慮した生態学研究の新たな可能性について提示する。
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  • 吉良(岡) 恵利佳, 川口 正代司
    原稿種別: 本文
    59 巻 (2009) 1 号 p. 65-70
    公開日: 2016/10/08
    ジャーナル フリー
    マメ科植物は、根に根粒菌との共生器官である「根粒」を形成することにより、根粒菌が固定した大気窒素を養分として受け取る事ができる。しかし、根粒の器官分化や窒素固定を支えるエネルギーの提供は植物側のコストとなり、過剰な根粒形成は植物の生育を妨げる。そこで植物は、「根粒形成抑制機構」を備え持つ事により、自身の生育や環境に見合った根粒数に止めて共生のバランスを保っている。中でも、一旦充分な数の根粒が形成されるとその後の新たな根粒形成が抑制される機構(根粒形成のオートレギュレーション)は、個体の根粒数に大きく影響する事が知られている。根粒形成抑制機構の研究は、抑制が働かない為に根粒数が著しく増加する「根粒過剰着生変異体」を中心に進められてきた。生理学的解析から、オートレギュレーションによる抑制が地下部と地上部間の遠距離シグナル伝達を介した全身的なものである事、抑制物質は地上部の中でも葉で作られる可能性が高い事、菌の分泌するNodファクターが根粒形成の開始と抑制の両方に関与する事等が示された。モデルマメ科植物ミヤコグサを用いた分子遺伝学的解析からは、地上部で機能する受容体型キナーゼHAR1が抑制に関与する因子として特定された。その他にも、地下部と地上部をつなぐ遠距離シグナル伝達に関与する因子についての研究が進められている。本稿では、これまでの知見に基づき、現在予想されている根粒形成のオートレギュレーションに関するモデルを紹介する。
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  • 小口 理一, 菱 拓雄, 谷 友和, 齋藤 隆実, 鍋嶋 絵里
    原稿種別: 本文
    59 巻 (2009) 1 号 p. 71-82
    公開日: 2016/10/08
    ジャーナル フリー
    本特集の基となった第55回日本生態学会福岡大会における生理生態学企画集会は、主に地上部を見て植物の生態を研究している研究者が地下部のどのような性質に注意をして研究をすすめていく必要があるのか、勉強する機会を設けるというコンセプトで開かれた。地下部の水透過性は環境に合わせて、アクアポリンを代表とするタンパク質の性質に依存し数十分のオーダーですばやく変化するとともに植物全体の水透過性に大きく影響する事、地上部の活動(蒸散)が地下部の活動(呼吸)と相関を持ち、地上部を見ているだけでは気づく事ができないコストが地下で発生している事、共生を介した栄養塩獲得能力が地上部と地下部を結ぶシグナルによって制御されている事、地下部にも地上部以上に機能分化したモジュールがありその機能ごとに場合分けが必要である事、これらの企画集会で紹介された研究結果は、地上部の研究者達にとって地下部は無視できないものである事を改めて認識させるに充分なインパクトがあったと思われる。本総括論文では、前半でまずこれらの研究成果について生態学的視点から振り返る。そして、後半では本特集によって見えて来た「地上部と地下部のつながりの理解のために必要な研究とはなにか」について、細根系の機能的ユニット、栄養塩吸収と水吸収のコスト、根の水分生理というトピックに分け、現状と展望を紹介していきたい。
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学術情報
連載1 野外研究サイトから(11)
連載2 博物館と生態学(9)
連載3 始めよう!エコゲノミクス(2)
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