日本生態学会誌
Online ISSN : 2424-127X
Print ISSN : 0021-5007
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61 巻 , 1 号
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総説
  • 土居 秀幸, 岡村 寛
    原稿種別: 本文
    61 巻 (2011) 1 号 p. 3-20
    公開日: 2017/04/21
    ジャーナル フリー
    群集生態学では、古くから類似度指数を用いた解析が頻繁に用いられてきた。しかし近年、汎用性の高い新たな類似度や検定手法が提案されているにもかかわらず、それらが十分に普及し利用されているとは言い難い。そこで、本総説では、現在までに発表されている代表的で有用な類似度、それを使ったグラフ表示、統計的検定について解説を行う。各類似度の成り立ち、指数ごとの特性、利用方法について初学者向けの説明を試みる。各種手法の理解の助けのため、統計ソフトRのveganパッケージを用いた分析を取り上げ、例題や付録のRコードを用いてveganによる解析手順を紹介する。利用実態としては、Jaccard指数など古くから提案されている指数が近年でも多く用いられているが、Chaoによって近年開発された指数は希少種を考慮した汎用性の高い類似度指数として優れており、Chao指数の利用が促進されることが望ましい。また、類似度を用いた検定についてもPERMANOVAなどの新しい統計手法の利用が図られるべきである。今後の群集解析において、これらの手法が取り入れられることにより、より適切な生態系の評価が行われ、新たな発見につながることが期待される。
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  • 松岡 かおり
    原稿種別: 本文
    61 巻 (2011) 1 号 p. 21-29
    公開日: 2017/04/21
    ジャーナル フリー
    土壌有機物が土壌微生物に無機化されるか否かは、有機物固有の化学的性質(化学構造や官能基組成等に依存した、微生物による代謝の受け易さ)だけでなく、粘土鉱物や腐植物質といった土壌構成成分との相互作用が重要な要因であることが示唆されている。この土壌構成成分との相互作用は、土壌構成成分の多様な空間構造によってもたらされる土壌有機物と土壌微生物との空間的接触の難易度(物理的隔離)、および土壌構成成分の多様な吸着特性によってもたらされる土壌構成成分と土壌有機物との吸着力の強弱(化学的吸着)に大別されている。本総説は、異なる分析手法を用いた先行研究を引用しながら、土壌易分解性有機物の無機化過程における有機物の「物理的隔離」と「化学的吸着」の重要性を土壌微生物のスケール・視点に立って紹介する。
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特集1 河川における粒状有機物の移動と水生生物による利用
特集2 広域大気汚染の生態系影響
  • 久米 篤
    原稿種別: 本文
    61 巻 (2011) 1 号 p. 75-76
    公開日: 2017/04/21
    ジャーナル フリー
  • 大原 利眞
    原稿種別: 本文
    61 巻 (2011) 1 号 p. 77-81
    公開日: 2017/04/21
    ジャーナル フリー
    対流圏オゾンが再び大きな問題になっている。日本で測定されている光化学オキシダント(その大部分がオゾン)の濃度は、1980年代後半から全国の測定局で上昇し、その年平均濃度は1985〜2007年度の間に、約0.25ppbv/年(1%/年)の割合で上昇している。さらに、光化学オキシダント注意報を発令した都道府県は徐々に増加し、2007年には28都府県に達して観測史上最大となり、汚染地域が拡大している。2007年5月8日から9日にかけて、九州をはじめ西日本の広い範囲で光化学オキシダント注意報が発令され、大きな社会問題になったことは記憶に新しく、同様な現象は2008年、2009年にも発生した。また、離島や山岳のような清浄地域でもオゾン濃度が上昇していることが報告されている。対流圏オゾンは、工場や自動車などから排出された窒素酸化物や揮発性有機化合物が大気中で光化学反応を起こすことによって生成される。しかし、日本では発生源規制等によって、これらのオゾンの原因物質は年々減少している。なぜ原因物質が減少しているのにオゾン濃度が上昇しているのか。なぜ発生源が近くにない地域でもオゾンが上昇し、汚染が広がっているのか。これらの原因の1つとして、アジア大陸からの越境汚染の影響が考えられる。経済成長が著しいアジア地域では、火力発電所、工場、自動車等による化石燃料の燃焼などによって大気汚染物質の排出量が急増している。これに伴って、オゾンやその原因物質が大陸風下の日本に運ばれて、日本のオゾン濃度が広域的に上昇していると考えられる。オゾン以外にも、窒素酸化物、硫黄酸化物、硫酸塩・硝酸塩・黒色炭素・有機炭素などの粒子状物質(エアロゾル)、POPS(残留性有機汚染物質)、水銀などの様々な大気汚染物質が大陸から流入している。このため、東アジアにおける越境大気汚染の実態、発生メカニズム、生態系や人の健康に与える影響、将来予測などに関する総合的な研究を進めるとともに、科学的知見も踏まえた国際的な大気環境管理の構築に向けた取り組みを強める必要がある。
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  • 北尾 光俊
    原稿種別: 本文
    61 巻 (2011) 1 号 p. 83-87
    公開日: 2017/04/21
    ジャーナル フリー
    ドイツ、ミュンヘン工科大学では、2000〜2006年の7年間に渡り、樹齢60年、樹高約30メートルのヨーロッパブナ林にタワーを建て、成木全体へのオゾン(O3)暴露実験を行ってきた。ヨーロッパブナ(Fagus sylvatica L.)は、ほとんどの葉が樹冠頂から数メートルの狭い範囲に密集しており、少しの位置の違いで生育する光環境が大きく異なるという特徴を持つ。光環境の違いは光合成特性を変化させ、O3による光合成影響を不明瞭にするため、ヨーロッパブナ成木の個々の葉が実際に受ける受光量を考慮に入れて、O3影響の再評価を行った。結果として、O3暴露により気孔が閉鎖することが、光合成速度の低下の主要因であることが明らかとなった。これらの一連の野外暴露実験の研究成果を基に、O3が樹木の成長に及ぼす影響について考察する。
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  • 渡辺 誠, 山口 真弘
    原稿種別: 本文
    61 巻 (2011) 1 号 p. 89-96
    公開日: 2017/04/21
    ジャーナル フリー
    アジア諸国からの越境大気汚染によって日本におけるオゾン(O3)濃度および大気からの窒素沈着量の増加が懸念されている。一方で、O3に対する樹木の感受性が窒素沈着によって変化する可能性が指摘されている。そこで、日本の代表的な森林樹種6種(ブナ、コナラ、スダジイ、カラマツ、アカマツおよびスギ)を対象に、窒素沈着量の増加に伴うO3感受性の変化を考慮したO3のリスク評価を行った。オープントップチャンバーを用いた実験でO3と土壌窒素負荷の複合影響を評価した結果、O3感受性に樹種間差異が認められ、カラマツ、ブナおよびスダジイのO3感受性はスギやコナラのそれよりも高かった。一方、O3と窒素負荷の複合影響にも樹種間差異が認められた。ブナでは窒素負荷量の増加に伴ってO3感受性が高くなったが、カラマツでは逆に低くなった。これらの結果と各樹種の分布、そして全国の光化学オキシダントや窒素沈着量のモニタリング結果を地理情報システムで統合し、O3のリスク評価を行った。その結果、O3感受性の樹種間差異と、ブナで認められた窒素沈着によるO3感受性の変化が要因となって、AOT40が高い地域とO3による成長低下率が高い地域が必ずしも一致しないと結論づけられた。
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  • 久米 篤, 渡辺 幸一, 永淵 修, 朴木 英治
    原稿種別: 本文
    61 巻 (2011) 1 号 p. 97-106
    公開日: 2017/04/21
    ジャーナル フリー
    アジア大陸からの広域大気汚染は、海を介して大陸に面した離島や山岳地域の大気環境に直接的な影響を及ぼしている。汚染源から放出されたNOxやSO2は、輸送されている間に硝酸ガスやオゾン(O3)、あるいは硫酸塩エアロゾル(SO42-)の等に変化して日本に到達する。O3濃度やSO42-を主体とした酸性エアロゾルの負荷量は、大陸からの季節風の強い冬期から春期にかけて高まり、夏期にも風向きによっては一時的な濃度の上昇が観測されている。屋久島における長期観測の結果は、冬期のSO42-負荷によって土壌や植物体表面からの溶脱が促進されていることを示している。本州・中部山岳地域の立山でも、SO42-濃度の高い強い酸性霧の発生には、中長距離輸送されてくる汚染物質が影響している。また、弱い黄砂である「バックグラウンド黄砂」の影響も、夏期や秋期に検出されている。大気汚染濃度の日変動について詳細に後方流跡線解析を行った結果、いずれの地点でも大陸からの気団の影響下で汚染濃度は高くなり、広域大気汚染の影響が明らかである。立山ではO3に加えて100μM以上の高濃度な過酸化水素(H2O2)を含んだ酸性霧が度々観測されており、葉の光合成蒸散機能にO3ストレスと類似した影響を与えている可能性が高い。日本の森林には、大気汚染に対して異なった感受性を持った様々な樹種が生育しているため、大気汚染ストレスに弱い樹種から強い樹種への樹種交代が促進されている可能性が示ある。野外で実際に植物に負荷される大気汚染物質の量は風向きや微地形の影響を強く受け、植物表面では化学的・生理学的反応が活発に進行しているため、現場における環境化学的過程の評価が必要となる。多様な影響を与える広域大気汚染の森林生態系への影響を評価するためには、地球上には人為的な大気汚染影響を受けていない場所は存在しないという前提で、大気環境影響を考慮した植物動態のモニタリングや解析手法を開発していくことが重要であろう。
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連載1 野外研究サイトから(17)
連載2 博物館と生態学(15)
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