日本生態学会誌
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64 巻 , 2 号
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総説
  • 牧野 崇司, 横山 潤
    原稿種別: 本文
    64 巻 (2014) 2 号 p. 101-115
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    生物間相互作用において第三者の存在がその進化的帰結を変えることが知られている。動物媒花と花粉を運ぶ送粉者の相互作用も例外ではなく、他の開花種や植食者などの第三者の影響を受ける。本稿で着目する酵母や細菌もまた、送粉者が得るべき蜜を横取りすることで花と送粉者の関係に変化をもたらすことが予想されるものの、彼らは肉眼では見えないこともあってほとんど注目されてこなかった。しかし近年の分子的手法の普及にともない、蜜内の微生物に関する興味深い知見が次々と報告され始めている。本稿の前半ではそうした成果を整理し、送粉系への影響を考察するうえで必要となる基礎知識をまとめ、1)微生物が多様な植物種の蜜から検出されていること、2)微生物のなかには様々な植物種から検出される「常連」の種が存在すること、3)微生物は花蜜に含まれる糖やアミノ酸を消費し、その濃度や成分比を変えること、4)微生物が送粉者もしくは空気を介して分布を広げる一方で、5)蜜内への微生物の定着を制限する要因が存在することを紹介する。そして後半では、微生物の侵入により植物の繁殖成功が低下する例のほか、現時点で予想される、植物・送粉者・微生物間の相互作用について私たちの見解を述べる。ここで強調したいのは、微生物が、植物と送粉者に害をもたらすだけの盗蜜者とは異なる側面を持つという事実である。すなわち、送粉者に花粉を運ばせたい植物と、送粉者に自らを運ばせたい微生物の思惑は送粉者の誘引という点において一致している。実際に、両者の協力関係を示唆する事例(微生物が生み出すアルコールや熱を報酬に送粉者を誘引している可能性)も報告されている。蜜内微生物の研究は、花形質の進化や群集の構築過程、協力関係の進化など、様々な方面に発展する可能性を秘めているものの、現時点では、たとえば「ある微生物がどのように花から花へと広まり、どの植物種を経由しながらシーズンを過ごすのか」という種ごとの生活史さえ断片的にしか見えていない状況である。本総説で示すアイデアの数々が本邦の研究者を刺激し、花と送粉者の相互作用に関する私たちの理解をさらに前進させること、ひいては見えない第三者が介入する様々な生物間相互作用系の解明に貢献することを期待している。
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特集1 境界で起こるプロセスに注目して河川生態系を理解する
  • 石川 尚人, 森 照貴
    原稿種別: 本文
    64 巻 (2014) 2 号 p. 117-118
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
  • 河内 香織
    原稿種別: 本文
    64 巻 (2014) 2 号 p. 119-131
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    本論文は、特集号のテーマである"生態系の境界"における現象について、河川に焦点を当てつつ理解を深めることを目的として執筆した。様々な現象が相互作用する渓畔林と渓流、河川上流域と沿岸海域における有機物と生物のつながりに着目して、筆者が行った北海道での研究を中心として既発表論文の解説に他文献のレヴューを加えた形で展開した。最初に、河川上流において渓畔林から渓流への粗粒有機物の流入について概説した。温帯における河川上流域は渓流の周囲が渓畔林に覆れているため、渓畔林と渓流とが密接に相互作用する場所である。渓畔林で生産された有機物の一部は渓流に流入することにより、水生動物の食物資源、生息場所、あるいは巣材として渓流生態系に組み込まれる。流入量やタイミングは様々な要因によって規定される。次に、上流から沿岸海域に流出した粗粒有機物の海洋生物による利用について紹介した。国内では陸上起源の有機物が沿岸に生息する海洋動物に利用されている事例、されていない事例の両方が発表されている。最後に、沿岸海域から上流に遡上したサケの上流域生態系への影響について述べた。サケマス類の生活史は、海洋由来の栄養分を河川上流部の水域および陸域生態系に還元するという特徴を持っている。1990年代以降、窒素安定同位体比による分析手法が確立したのを契機として、サケの産卵後の死骸について水域・陸域双方における食物網に関する研究が北米西海岸やアラスカを中心に進んできた。これに対し国内の事例は非常に少ないが、筆者らが行った研究を中心に概説した。隣接した生態系間の有機物の移動は有機物の栄養補償として認識されつつあり、森林-河川-沿岸海域における粗粒有機物の流れもそれぞれの生態系において重要な役割を果たしていると考えられる。したがって、日本の山地河川を含む流域管理を考えるうえで、上流域から沿岸海域までを大きなひとつのまとまりとして考え、その中における粗粒有機物の移動という視点を持つことが必要である。
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  • 石川 尚人
    原稿種別: 本文
    64 巻 (2014) 2 号 p. 133-142
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    食物網研究は生態学の中心的課題の1つである。陸域と水域の資源が混合する複雑な河川生態系において、捕食・被食関係を介した物質やエネルギーの流れを明らかにするために、各種生元素の同位体比は強力なツールとなる。本稿では、近年研究が進んでいる生物の放射性炭素14天然存在比(Δ14C)を測定する手法を中心とした、同位体手法の応用事例を紹介する。14Cは半減期5,730年の放射性核種であり、年代測定や生態系の炭素滞留時間を推定するツールとして注目されている。一方、河川食物網に対する陸域・水域由来資源の相対的な貢献度を推定するためにも、14Cは有効なツールとなりうることが近年明らかになってきた。なぜなら河川を含む流域内には、大気CO2から地圏へと隔離された14C年代の古い炭素リザーバーが、複数存在するからである。このような炭素リザーバーの多くは、現世の大気CO2とは異なるΔ14C値をもち、たとえば食物網のソース推定などに応用することができる。また、既に大きく研究の進んでいる炭素安定同位体比(δ13C)や他の生元素の安定同位体比、あるいは近年開発が進んでいる化合物レベルの同位体分析と14C測定とを組み合わせることで、従来分けることのできなかったソースを分けられるようになり、物質やエネルギーの詳細な流れの解明につながることが期待される。このことは、本特集号のテーマである「流域における境界研究」に対しても、大きなブレイクスルーをもたらす可能性をもっている。
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  • 森 照貴, 石川 尚人
    原稿種別: 本文
    64 巻 (2014) 2 号 p. 143-150
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
    流域スケールで見られる河川性生物群集の変異などを理解するために、「陸域と水域」、「上流域と下流域」の“つ ながり”に注目した概念(河川連続体仮説)が1980 年に発表された。これは対象とする河川区間で生じる事象について、区間内だけのプロセスだけでなく、陸域や上流域からの影響を考慮する必要があることを提示したものである。この概念を契機に、河川生態系と隣接する生態系との間にある“つながり”に注目した研究が進んだものの、既存研究の多くは、河川を上流から河口にかけて、一本の線(ライン)として捉えるものであった。しかし、流域スケールにおける河川は、水系ネットワークと呼ばれる樹木の枝ぶりに類似したネットワーク構造を示し、本流と支流がつながる「合流点」という環境が多数存在する。この合流点もしくは合流点下流部では、合流点上流部とは異なる環境や生物群集が存在することから、流域スケールでの河川生態系を理解するうえで、「本流-支流」のつながりも重要であると考えられる。そこで、本論文では特集号の総括として、様々なつながりを統合することで、河川生態系に対する理解を試みた河川連続体仮説について触れ、この概念以降の進展についてまとめる。さらに、既存研究ではあまり注目されてこなかった水系ネットワークに注目し、「陸域-水域」、「上流-下流」とともに「本流-支流」のつながりの重要性について紹介する。そして、「本流-支流」のつながりをネットワークの構造的な特徴と関連付けることで、流域スケール内での環境変異や生物群集のパターンだけでなく、流域間での変異に対しても理解が進む可能性があることを最後に提示する。
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  • 土居 秀幸
    原稿種別: 本文
    64 巻 (2014) 2 号 p. 151-152
    公開日: 2017/05/19
    ジャーナル フリー
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