近年, 高分子化学の進歩により医療用材料の種類が非常に多く生産されるようになった.しかし古くから医療用繊維材料として利用しているガーゼ, 包帯なども経験的にのみ使用され, 何ら科学的な究明がされていない.この点に着目して今回は, 医療用繊維材料の市販品について物性的な因子を追求しようと実験を試みた.また廃棄処分時の性能などを検討した.
その結果形態試験は, ガーゼは日本薬局方の規格に準じた製品で良質であることが判った.包帯は日本薬局方にも, JIS規格にも規定されていないが, どちらかに規定されるべきものと思われる.基本的物理量については, 包帯はガーゼと晒木綿の中間的な値を示している.廃棄処分時の衛生的機能は, 消毒処理による影響が大きく作用する.したがって原布の性能より低下を示すものが, 沈降速度, 曲げ剛さ, 引張強さなどである.また吸上げ性および引張伸び率などは, 逆の傾向を示す場合もある.白度 (%) は, 消毒処理によって増加する傾向が認められる.
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