日本の若い女性が, 西欧様式の服飾の各部の色のコオディネーションの設計について, どのような配色感覚をもつかを明らかにしようと試みた.
そのたあに, 次の3段階にわたる調査研究を実施した.
(1) 基準服飾品に関する研究
西欧様式の女性服飾について, 色のコオディネーションを設計する場合, どの服飾品を基準として他のいくつかの服飾品の色を選ぶかを検出した.基準となる服飾品を「基準服飾品」と名付けた.
基準服飾品との色のコオディネーションをとくに強く関連させて考える他の服飾品を検出し, これをその基準服飾品の「関連服飾品」と名付けた.
(2) 基準服飾品の基調色に関する研究
基準服飾品の色として選好される色のうち, 若い女性の購入実績が数年度にわたって安定して高い色を検出した.その色を基準服飾品の「基調色」と名付けた.
(3) 基準服飾品と関連服飾品との色のコオディネーションにおける配色感覚に関する研究
1の基準服飾品に関する研究によって検出した基準服飾品の色を, 2の基調色に関する研究によって検出した基調色に設定したとき, 関連服飾品の色をどのような色に選ぶかを調査した.調査結果を基として, 基準服飾品の色と関連服飾品の色とのコオディネーションを設計する場合の, 若い女性の配色感覚の像を解析した.
基準服飾品に関する研究によって, 基準服飾品が, コート, ドレス, スカートの3種であることを確かめたので, 本報文においては, これら3種の基準服飾品のそれぞれの基調色が何であるかを求めることとした.
すなわち, 木研究は, 女性の西欧式服飾の色のコオディネーション感覚に関する予備研究であるが, また, コート, ドレス, スカートの用途別色彩嗜好の分布とその安定性を対象とした婦人服飾品の選好条件に関する研究である.
同時に繊維企業の商品企画において重要な意義をもち, 実業上の効用が大きいものと考えられる.
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