卵白, 卵黄, 牛乳およびゼラチンなどの性質の異なる4種のたん白質汚染布を作製し, 原料脂肪酸 (C
6~C
18, C
18-F
1, C
18-F
2) の異なる石けんによるたん白質汚染布の洗浄効果について基礎的な研究を試みた.
その結果, たん白質汚れの石けん洗浄においては, 汚れ基質としてのたん白質の性状や, 布への付着状態などにより多少異なるが, 一般に原料脂肪酸の融点や石けんの溶解度, 加水分解度, 表面張力, 浸透力などの性質に大きく左右され, 一般家庭に多くみられる低温洗浄 (室温) では常に高い洗浄効果を期待しえないが, 中温洗浄 (40℃) では浸透力の大きいミリスチン酸および親水性の高いオレイン酸などを原料とする石けん (NaおよびK塩) が高温洗浄 (80℃) ではすぐれた表面活性を有し, 加水分解度の高いミリスチン酸, パルミチン酸およびステアリン酸などを原料とする石けん (NaおよびK塩) がそれぞれたん白質汚れに対してすぐれた洗浄効果を有することが認められた.
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