織物繊維の定量は混用 (紡) 率測定に必須であるが, その簡便な方法としてKBr錠剤を用いる赤外吸収スペクトルの適用を考え, それがどの程度の精度と信頼性をもって適用し得るかを詳細に検討した結果, 次のような所見を得た.
1) KBr錠剤の調製を適当な条件下でおこなえば, 織物繊維試料を用いる場合も変動係数1.5~2.5%の精度と再現性をもって適用でき, 加成性においても3~4mgの程度までは各繊維の各特性吸収がLambert-Beerの法則にしたがって直線的に増加する.
2) これらを基にして二種混紡の混合率の測定をおこなう時, それぞれ特定の波数領域において二種繊維の混合比に応じてスパクトルが特異な変形を示すので, それを観察することにより, かなりの程度まで混紡率が推定できる.
3) 更に高い精度を要求するときは, 二種繊維の混合比と, 適当に選定した2つの特性吸収の吸光度比とによって作成した検量線を用いて測定でき, この値は溶解法による測定値ならびに最小二乗法により算出した値とよく相関する.
4) この方法は操作的にも時間的にも溶解法に比べ簡便であるので溶解法の代りとして, またはそれと併用することにより有利に適用できると考えられる.
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