一定引張り荷重下での繰返しせん断変形により, 布の諸力学特性は変化するが, 布の疲労が極限に至る以前は諸力学特性は, 常に元の特性値へ近づく回復挙動を伴う.
本報では, 疲労過程における, 引張り, せん断特性の諸力学量の回復特性を調べ, おのおのの回復曲線について, 次式を用いて解析を行った.
Zp-1=α+β・exp (-
t/T0) ・・・・・・・・・・・・ (1)
Zpは, 計測値の元の特性値に対する比を示し, αは残留力学量, βは回復力学量,
T0は, 回復時定数をあらわす. (1) 式で示される曲線は, 力学量の回復曲線に良くフィットすることがわかり, また回復特性値α, β,
T0は, 布の諸力学特性の疲労に伴う回復特性を良好に表わすことが確められた.α, β,
T0の値を適用することにより今後は, 布素材や編構造の違いによる被服材料特有の回復特性を数量化して評価することができ, また疲労現象の予測の精度を高めることができると思われる.
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