微風時 (0.6m/s) の着衣の局所別熱抵抗を, 着衣に当る風の方向を区別して実験し, スポーツウエア, 通気性の異なるワンピースについて, 風が直接当った部位と当らぬ部位の局所別熱抵抗のプロフィルが求められた.
(1) 風が直接当らない部位の総括熱遮断係数 (
RTW) の局所別プロフィルは無風時のそれ (
RT) に類似するが, それより値は小さい.風が直接当った場合はさらに小さくなるが, 減少の程度は服種によって異なる.また微風下での着衣とヌードとの熱抵抗の差, すなわち着衣による熱遮断効果 (Δ
Rw) は, 無風下でのそれ (Δ
R) と値がほとんど変らず, むしろ増加していることがわかった.
(2) 通気性の大なる布の着衣は風が着衣の内外で複雑な熱流動をおこし
RTWを低下する.通気性のない着衣は, 着衣内に停滞する空気を保つ部位ではR
TWを低下しないが, 着衣に開口部, すき間があれば風が侵入し, 低下する.
(3) 平均的にみると, 風が当る方向は着衣の前方と後方で差はほとんどない.また, ワンピースでベルトのある場合はない場合より
RTWは小さくなる.微風下での着衣の熱抵抗の減少は, おおよそ20~25%であった.
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