一連の塩素化炭化水素系溶剤に界面活性剤を溶解し, 界面活性剤が持つ水の可溶化作用の大きさが, 溶剤の違いによって受ける影響を, 溶剤の誘電εを用いて整理した.さらに酸性色素 (Azure Blue V) を用いて, 綿およびアクリル白布に対する汚染性によって, Azure Blue Vの可溶化とεの関係を検討し, ドライクリーニングにおける再汚染性に言及した.
各溶剤のεは, 界面活性剤や水の混入によってほとんど影響を受けなかったが, 一方, 電導度はジオクチルスルポコハク酸ナトリウム (DOS) の添加によって大きく増大し, この傾向はεが高いほど顕著であった.また, ポリオキシエチレンモノステアレート (EOS) は, 水の可溶化にほとんど寄与しないが, DOSは大きな可溶化力を持ち, その効果はε5で極小を表わした.Azure Blue Vによる白布の汚染率の大きさは, εに対して必ずしも各溶剤の水の最大溶解量と対応しておらず, ε7に極小を表わした.DOSは汚染率を低下させる効果を示したが, この効果は高いεを有する溶剤系で顕著になる傾向を示した.
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