本研究は, さきに当誌に収録された報文1) の続編をなすもので, 前報が購入色出現度数のポリア・エッゲンベルゲル分布への適合を論考したものであるのに対し, 本研究は, 購入色の出現度数を, 色彩嗜好の集中と安定の角度より論究したものである.研究の目的, 方法は, 前報に等しい.
前報で得た基礎分布表に基き, 各年度の色数と購入点数との累積比率を求めたところ、少数の色に購入点数の過半が集中していることが認められた.また, ローレンツ曲線を描いて求めた集中度の値は, 最高限に近い値を示し, 集中度が著しく高いことを知り得た.これにより, ファッションの多様化という通念は, 色彩については必ずしも真実とは言い切れないことが確かめられた.
さらに, 嗜好が集中する色のうちには, 数年にわたり, 嗜好集中型としての性格を保ち続ける色があることが明らかとなり, 流行寿命の短週期化という通念も, 色彩については, 修正を要することが確かめられた.
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