15回までドライクリーニングを繰返したときの, 繰返し洗たくに伴なう紳士用スーツ地の力学的性質ならびに風合い変化をKES-FB計測システムを用いて測定した.また, 布の品質評価としての総合風合い値 (THV) の洗たくによる物性変化および風合いの耐久性におよぼす影響についても考察した.
冬用スーツ地40種, 夏用スーツ地20種について測定した結果, 洗たく1~2回において, 布は大きく緩和し, 洗たくを繰返すと布が疲労していく様相が, 引張り, 曲げ, せん断の基本力学特性の変化から捉えられた.そして, これらの変化は冬用の試料よりも夏用の試料のほうが大きい傾向が認められた.
風合い変化は, 冬用スーツ地では“こし”の低下, “ぬめり”“ふくらみ”の増加, 夏用スーツ地では, “こし”“はり”の低下がみられた.
THV (洗たく前の測定値) が洗たくによる物性変化におよぼす影響は冬用試料において顕著に認められ, THVの低いものは洗たく1回目の布の性質変化が大きく, 15回後にはTHVの低い布の特性値はTHVの高い布のそれに近づく傾向が認められた.
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