重ね合わせた布の通気性について, 個々の布の通気性と重ね合わせた場合の通気性との間に法則性を見出そうとした.そこで, 布の通気の特性をあらわす定数A, Bが既知の同種あるいは異種の布を重ね合わせた場合, 重ね合わせた布のA, Bが推定できる複合則を導いた.この複合則は, 重ね合わせた布が十分な間隙を持つ場合には, 精度よく成立することが確かめられた.
また, 実用的な被服の重ね合わせについて複合則との対応を行った結果,
(1) 高風速下においては, 通気量は重ね合わせた布の内一番通気量の小さいものに支配される.
(2) 何枚かの布を密着して重ねた場合の実測値のA, Bは, 複合則から計算される値に比べB項 (毛管項) が大きくなる.このことから密着重ねの場合の布間の層は毛管の性質をもつと考えられる.
抄録全体を表示