前報では, 紳士用スーツ地60種のドライクリーニングによる収縮, 力学的性質ならびに風合い変化について検討した.本報では, これらの変化をより詳細に捉えるため, 繊維組成, 織物組織, 糸構造, 仕上げ加工の異なる7種類の試料を選定し, その力学的性質, 風合い変化におよぼす影響を洗たくと仕上げプレスによる変化に分離して検討した.
その結果, 前報の平均的な変化とほぼ同傾向がみられたが, 前報で用いなかったポリエステル試料の変化挙動は大きく, 特にプレスのみによっても大きな影響を受け, 圧縮, 表面特性の変化には洗たくによるそれらとは逆傾向がみられた。また, 洗たくおよびプレス操作のみによっても曲げヒステリシス幅が著しく減少し, その結果, “こし”, “はり”の減少をもたらし、紡績糸使いの試料のほうが加工糸使いの試料よりこれらの変化幅が大きく, 羊毛の試料は, プレスおよび洗たくによる変化ともに小さいが, ミルド仕上げの試料はクリア仕上げの試料に比べて圧縮, 厚さ, 表面特性の変化が大きく, また, プレスの影響も大きいことが認められた.
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