乳児用市販カバーオールの素材, 衣服型, サイズについて, 動作時の身体適合性の観点から問題点を考察し, 改善の方向を示唆することを目的として, 動作時の衣服の伸びと同時に, 同様の動作項目における皮膚伸びの測定, 乳児の成長率, 体型変化を計測した.結果を次に示す.
1) 衣服の各部位において水平方向に比べ垂直方向に大きな伸びを呈すること, 長径項目に大きい成長率がみられることから着丈, 袖丈方向に伸びやすいコース方向を用いることが提案された.
2) 膝部の皮膚伸びを補なうための切り替えによる凸面形成は, むしろ膝部の伸び抵抗を大きくすることから不適当であり, いせ込みやギャザーによる方法が股高の成長に伴なう膝位置の移動からも適当と考えられる.
3) 袖型は肩縫目および腕付根囲の縫目により伸びが拘束されないラグラン袖が適する.
4) 市販カバーオールにおむつ着用による胴縦囲, 腰囲増加分が見積もられておらず, 襠V方向に大きな張力が作用した.これについては棺サイズ, 挿入位置の検討が必要であることが示唆された.
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