本報では, 紡績糸で平織物の毛羽をロールペーパー起毛機で段階的に変え, これらをポリアミド系樹脂でくもの巣状ウェブの両面接着芯地で接着した場合のはく離強さを検討した.その結果を要約すると次のようになる.
1) ある起毛回数の時にはく離強さの最大値がみられる.
2) 起毛による安定した毛羽が溶融芯地の浸透, 拡散を有効にし, はく離強さを大きくする.
3) 同一織物の, はく離強さに影響する毛羽の起毛状態と布の表面摩擦とは関係がある.この測定には, 布同志を摩擦する平均動摩擦力の測定の方が摩擦子で摩擦するKESシステムでの摩擦係数の測定よりも, 本実験の範囲内では, はく離強さに関係する起毛状態のちがいを適切に表わすことができる.
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