グラフト率は約10%, 約20%, 及び約30%のスチレングラフト重合生糸を用いて, 12目付羽二重と16目付パレス・クレープを製織し, これらグラフト重合絹布の水分移動, 保温性や油脂汚れの洗浄性について, 2, 3検討した.
その結果, 羽二重及びパレス・クレープの両製品において, グラフト率が増加するほど吸湿速度が遅く, 吸湿率や透湿率は低下した.又, グラフト率の増加に伴い吸水速度や吸水率は著しく低下した.
絹布の保温性はグラフト重合によって向上した.その効果は, 10%前後の比較的低いグラフト率において最高となり, それ以上のグラフト率では保温性の向上効果は少なかった.
グラフト重合によって, 絹布は油性汚れに対して汚染防止効果がみられ, かつ, 洗浄性も向上した.
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