同一衣服材料で構成され, 人体をおおう面積の異なる種々の女性服装について, 局所別熱抵抗およびクロー値をサーマル・マネキンにより計測し, つぎのような結果が得られた.
1) 全身をおおう衣服 (きもの (A) , ワンピースドレス (B) , ブラウス+スカート (C) およびブラウス+ズボン (D) のクロー値を比較すると, 立位ではA>C>D>B, 椅坐位ではA>B≒C>Dの順になり, いずれも布の熱抵抗に比して4倍以上の値を示した.
2) 袖丈, スカート丈, ズボン丈の異なる衣服のクロー値は, 人体をおおう衣服面積が大なるものほど大であり, また同一面積ファクター (
fcl) を有する衣服のクロー値はブラウス>スカート>ズボンの順になる.
3) 袖丈およびスカート丈の異なる衣服を組合せて着用した場合, 衣服のクロー値を増大させるためにはスカート丈を増加する方が袖丈を増加するより有効である.
4) 種々の上衣, 下衣の組合せにおいて上衣および下衣のクロー値の和とそれらを連結したアンサンブル衣服のクロー値との間にはほぼ直線的関係が存在する.また衣服の重量とアンサンブル衣服との関係でも同様のことがいえる.
抄録全体を表示