着衣量の個人差に, 個人要因のいかんがどのようなかかわりをもつかを追究した.個人要因として, 各人が心がけることによって修正可能な認識, 着衣の快適性因子の重視度および生活習慣を取り上げ, 着衣量に標準化着衣量を適用した.冬期, フィールド調査によって得た840名の日本人事務職員のデータを解析に供した.
着衣量を支配する個人要因は, 着衣習慣と健康に関する認識, 快適な着衣の条件に関する重視度, スポーツ・運動, 乾布摩擦およびこたつに入る生活習慣などであることがわかった.薄着の者と厚着の者とでみられた対照的な特性は, 妥当なものと解釈できる.
温熱的に不快を生ずるような薄着あるいは厚着をしている者では, 温熱的に快適であった者に比べて, 快適な着衣の条件に関する因子の重視度に偏りがみられ, こたつに入る時間が長く, 一方, 冬期におけるかぜ罹患率が高いことがわかった.
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